泳ぐ宝石「ニシキゴイ」 競り市に外国人殺到 “1匹1100万円”も…熱き争奪戦【Jの追跡】(2023年12月2日)

泳ぐ宝石「ニシキゴイ」 競り市に外国人殺到 “1匹1100万円”も…熱き争奪戦【Jの追跡】(2023年12月2日)

 今月7日、新潟県長岡市で異様な熱気のなか、台車に乗せられ登場するのは、今や世界中が注目する「泳ぐ宝石」ニシキゴイです。競り市には、100人以上のバイヤーが集まりました。

 世界を魅了するニシキゴイ。その美しさの秘密とは?

 「美しいニシキゴイを手に入れたい!」。外国人愛好家やバイヤーたちの熱いニシキゴイ争奪戦を追跡しました。

■「緋写り」購入希望者が殺到

 新潟県小千谷市と長岡市の一帯は、「ニシキゴイ発祥の地」として世界中の愛好家から注目されています。

 この日も“ニシキゴイの里”には、ニシキゴイを直接仕入れに来た外国人愛好家たちの姿が見られました。

 オランダから来たバイヤー:「ニシキゴイは、とても神秘的な生き物だよ」

 ベルギーから来たバイヤー:「『緋写り(ひうつり)』というニシキゴイを買いに来たんだ」

 紅と墨だけで魅せる「緋写り」は、その派手な色彩から外国人に人気のニシキゴイです。

 この日は希望者が殺到したため、購入する順番を「くじ引き」で決めるほどです。

 ベルギーから来たバイヤー:「帰るころには財布が空になってしまいそうだよ」

■中国のバイヤー「予算は2億円」

 「美しいニシキゴイ」と評価されるポイントは大きく2つ。まずは「体形」。健康的で力強さを感じるかどうか。そして「肌の質感」。赤、白、黒が明るく美しく、色がにじんでいないことがポイントです。

 美しいニシキゴイは、どう育てられているのでしょうか。

 「ニシキゴイの匠」がいるという品評会で数々の賞を受賞するなど、世界が注目する養鯉(ようり)場を訪ねました。

 中国のバイヤーに今回使う予算を聞いたところ、「2億円」と答えました。

 この日、中国のバイヤーが買ったニシキゴイが5匹で200万円です。

■愛好家憧れる「ニシキゴイの匠」間野茂さん

 そして、「ニシキゴイの匠」と呼ばれ世界中の愛好家が憧れるのが、間野茂さん(47)です。

 中国から:「ここにいるのは、みんな茂さんのファン。芸術性、この人にしかできない」

 「茂さんが育てたニシキゴイが欲しい」と、連日、多くの人が訪れています。

 アメリカから来たバイヤー:「(茂さんの)ニシキゴイ、スーパースゴイ!」

■“猛暑”“クマ出没”で成長に不安

 世界が絶賛する茂さんのニシキゴイ。その「美しさの秘密」を追跡します。

 茂さんは、地元住民もほとんど足を踏み入れない山の中に向かいます。

 すると突然、大きなクレーターのような池が出現。そこは「野池」です。

 大日養鯉場 間野茂さん:「良くなってあがってくるか、悪くなってあがってくるか」

 この日行われたのは、春に放した若いニシキゴイを雪が降る前に引きあげる「池あげ」。長さ50メートルの地引き網で、ニシキゴイを集めていきます。

 成長したニシキゴイと感動の対面かと思いきや、茂さんの不安が、今年の猛暑。

 茂さん:「(夏の)水不足。雨が降らないと新しい水が入ってこないので(池の)水質が悪くなる。心配です」

 さらに今年は、クマが出没する事態も起こりました。野池の付近で、養鯉場のスタッフがクマに遭遇することが何度かあったといいます。

■例年以上に大変な夏を乗り越え“無事成長”

 果たしてニシキゴイは無事に育っているのでしょうか?茂さん、自らの手であげていきます。

 すると、次々と、大きく立派なニシキゴイが現れます。

 茂さん:「重たい」

 実は、この池がコイを美しく育むのだといいます。

 茂さん:「自然のミネラルとか温度の上がり下がりがある環境で、自然でしか出ない色つやがあって。若いうちは自然の野池で育てる」

 この野池、小千谷市や長岡市の全域では数千個もあるといいます。

 引きあげたニシキゴイの重さはおよそ20キロ。大人が2人がかりでないと運べないほどです。

 春に野池に入れたニシキゴイは「水不足」や「クマの被害」という例年以上に大変だった夏を乗り越え、無事に大きく成長していました。

 茂さんの兄 大日養鯉場 間野太社長(50):「収穫の秋というか。夏の苦労が報われる」

■貴重な体験にバイヤーも大興奮

 常連の外国人バイヤーが、池上げを体験することもできます。

 アメリカから来たバイヤー:「池あげを手伝えるなんて興奮するわ!」

 直にニシキゴイに触れられる貴重な体験にバイヤーたちも大興奮!

 オランダから来たバイヤー:「すごいニシキゴイだ!」

 アメリカから来たバイヤー:「アイラブユー!」

 オランダから来たバイヤー:「スゴイ!」

■新潟県錦鯉品評会 大賞を独占

 今月4日、8カ国の大使館関係者を招き行われた新潟県錦鯉品評会。

 565匹が出品されるなか、茂さんのニシキゴイが大賞を独占するという快挙を達成しました。

 受賞したニシキゴイを見たイギリスの愛好家は思わず。

 イギリスの愛好家:「ワオ!」「オーマイ…ワオ!」「ゴージャス!」「これは貴重なコイだよ」

■オークションにて「匠のニシキゴイ」争奪戦

 世界が注目する茂さんのニシキゴイ。先週、コロナ禍で中止されていた待望のオークションが、ついに4年ぶりに開催されることになりました。

 「茂さんのニシキゴイを手に入れたい」。外国人たちが続々と集まり、我先にと下見をしています。

 日本人のバイヤー:「すごくいいコイです」

 オランダから来たバイヤー:「(Q.予算は?)ライバルがたくさんいるから内緒さ」

 いよいよオークションが始まります。今回、特別にカメラ取材が許されました。

 10カ国以上150人のバイヤーが集まり、緊張が高まります。

 花道を運ばれてくるニシキゴイを見て、品定め。手や指の動きで、購入する意思を示します。

 ニシキゴイは、数十万から数百万円で次々と競り落とされていきます。

 この日のために、世界中から集まったバイヤーたち。まさに熾烈(しれつ)なニシキゴイ争奪戦です。

 お目当てのニシキゴイを手に入れたイギリス人からは笑顔がこぼれます。

 証明書の裏には、なんと茂さんのサインが書かれています。

 イギリスから来たバイヤー:「茂さんは僕たちにとってメジャーリーグーの選手と同じような存在なんだよ」

 中国から来たバイヤー:「(4匹)合わせて1000万円くらい」「(Q.予算内に入りましたか?)全部、予算内」

 アメリカから来たバイヤー:「8匹も競り落とせたよ!茂さんのニシキゴイを手に入れて最高の気分だ」

■イチオシ「紅白」 1匹100万→1100万円に

 そして、いよいよ茂さんイチオシ、将来有望な3歳の「紅白」が登場します。ここで驚きの金額が…!

 開始価格は100万円でしたが、皆が我先にとコイをのぞき込むなか…。

 番台:「150万!160万、170万、200万!」

 さらに…。

 番台:「960万、970万、980万、1000万、1100万!1100万は66番!」

 なんと1匹1100万円。競り落としたのは、日本人のバイヤーでした。

 この日は、120匹のニシキゴイが競り落とされました。 

 茂さん:「やっぱり世界の人が集まって、活気があるのはありがたいですね。楽しいですね」

 「泳ぐ宝石」ニシキゴイ。さらに、世界中の注目を集めていきます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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