「マジ終わった」脱毛クリニック破産手続き準備 被害総額1億8000万円か 集団提訴へ【もっと知りたい!】(2023年6月13日)

「マジ終わった」脱毛クリニック破産手続き準備 被害総額1億8000万円か 集団提訴へ【もっと知りたい!】(2023年6月13日)

全国展開する医療脱毛クリニックが突然、すべて休業した問題で急展開です。クリニックは患者への返金もなく、従業員の給与も未払いのまま破産手続きの準備をしていることが分かりました。被害者は900人以上で、近く集団訴訟を起こす予定です。

■ずさんな経営…被害総額は“1億8000万円”

 元ウルフクリニック 看護師(20代):「2カ月分の給料がいまだに振り込まれてないという状態。75万円くらいですかね。イライラするというか、怒りが一番強いです」

 こう訴えるのは、男性の医療脱毛を手掛けていた「ウルフクリニック」で、看護師をしていた女性です。

 看護師(20代):「一日3食、食べていたのが、(お金がなくて)2食になったり1食になったりしている」

 ウルフクリニックは今年4月、全国5カ所あった店舗が一斉に休業。そして、先月末には突然、破産することを明らかにしました。

 運営会社から委託受けた弁護士:「5月31日までに業務の一切を停止し、破産手続き開始の申し立てを行う予定となりました」

 その裏で、ないがしろにされてきた利用客への返金対応。

 運営会社の緊急会議の録音音声:「(客への)返金のスケジュールとしては、通常のサイクルでは(返金が)厳しい状態です。正直、一気に返すと回らなくなってしまう状況なので」

 今回、番組が入手したクリニックの会議の録音や、返金対応マニュアルから次々と明らかになってくる、ずさんな経営。

 15万円の返金求める男性客(26):「最初から返金しないとなった時から、ずっと無責任だなという印象はとてもあります」

 さらに取材を進めると、驚きの実態が分かってきました。

 集団訴訟を担当 アディーレ法律事務所 重光勇次弁護士(40):「(Q.被害規模はどれくらい?)ご相談頂いているのは900人以上いらっしゃって。(被害総額は)1億8000万円とか、そういう金額にはなってくるのかなと思います」

■15万円の返金求めるも…連絡とれなくなる

 15万円の返金求める男性客(26):「元々、自分のひげや全身の毛がすごい濃かったので、なくしたいなという。コンプレックスもあって、そこから脱毛を決意」

 男性は去年4月、東京・池袋にある「ウルフクリニック」で、合わせて10回通える全身脱毛コースを、およそ30万円で契約。当時、行われていたキャンペーンが決断を後押ししたといいます。

 ウルフクリニックのホームページ:「コスパ最強 今なら全コース半額!」「安すぎて怪しいって?そんなあなたに…逆にお聞きしたい!」

 ところが、6回目の施術を予定していた今年4月、クリニック側から突然、休業の連絡がありました。

 ウルフクリニックとのLINE:「5月中旬頃の再開に向けて準備をしております。再開するまでの日にちで予約をいただいている患者様につきましてはキャンセルさせていただきたく存じます」

 しかし、結局営業は再開されなかったため、男性はクリニックに対して前払いした30万円のうち、施術を受けていない分のおよそ15万円の返金を求めますが、連絡も取れなくなったといいます。

■「電話は取らなくていい」と現場に指示も

 クリニック側は返金対応について、どのように考えているのでしょうか。取材を進めると、クリニックの内情が明らかになってきました。

 番組は従業員に配られた、返金対応マニュアルを入手しました。そこには、警察などに問い合わせるという質問があった場合の対応方法が書かれています。

 一斉休業の10日ほど前に、従業員の間で共有されたという返金対応マニュアルです。

 クリニック従業員のSNS:「流出の可能性を加味して、リーダーのみに送ってます!」

 会社の幹部が流出を恐れて送ったというマニュアルでは、解約しようとする客を思いとどまらせるよう求めていました。

 さらに、現場ではこんな指示も出されていたと、クリニックに勤めていた看護師の女性は話します。

 看護師(20代):「電話は取らなくていいみたいな感じで、上からの指示が出ていて。着信とかもできるだけ音を小さくして、電話は取らないようにしていました」

■“自転車操業”入金なくなり…社長「マジで終わった」 

 その後、全国5店舗が休業。1週間後に運営会社が開いた緊急会議の様子を録音したデータを番組は入手しました。

 運営会社の幹部:「もし録音したいって方いたら、先に言っておいてください。我こそは盗聴します。こそこそやるよりは、録音やるならやるでしてもらって構わないんで」「(客への)返金のスケジュールとしては、ご存じの通りかなり数が多いので、通常のサイクルでは(返金が)厳しい状態です。正直一気に返すと、皆さんの給料だったり、ドクターに払うお金だったりとか、そういうところが回らなくなってしまう状況なので」

 会社の幹部は、客への返金より、従業員の給与の支払いを優先すると説明しました。

 運営会社の幹部:「4月28日の給与は絶対払うと言いたいんですけど、うちのクリニックの入金の主なものは、カウンセリングの時に頂く契約金でうまく回してるんですけど。4月28日にクレジットカードの入金(客の契約金)が入ってきて、(支払いは)5月1日、2日になっちゃうのかなというレベルの話です」

 遅れて振り込まれるはずだった給与の支払いはなく、その代わりに届いたのが「会社が破産手続きを始める」という1通の手紙でした。

 看護師(20代):「急に破産するっていうのが、弁護士事務所から届いたので。従業員のことを何だと思っているのかというのがすごく強く思う」

 なぜ、運営会社は突然、破産手続きに踏み切ったのか。クリニックの内情を知る関係者が内幕を明かしました。

 ウルフクリニックの関係者:「客の契約金、数千万円がクレジットカード会社経由で入金されるはずだったが、入金がすべて止まってしまい、社長が『マジで終わった』と話していた。本社や店舗の家賃も払えていないと聞いている」

 クリニックは自転車操業に陥っていて、客からの入金がなくなったことで、従業員への給与の支払いができなくなったことが判明しました。

■被害者100人ほどで集団訴訟へ「医師に返金請求」

 では、利用客への返金はどうなるのでしょうか。

 ウルフクリニックで施術を受けられなくなった客に対し、無償で1回分の施術を行っている別のクリニックです。

 返金されないままの男性からの問い合わせが絶えないといいます。

 にしたんクリニック 男性医師:「600件くらいの問い合わせがきております。その中で実際の予約の件数が350件くらいとなっております」

 被害者を取りまとめる弁護士を訪ねると、実際の被害規模はもっと大きいことが明らかになりました。

 集団訴訟を担当 アディーレ法律事務所 重光勇次弁護士:「(Q.被害規模は?)ご相談頂いているのは900人以上いらっしゃって。非常に多い人数だと思っています。(被害総額は)1億8000万円とか、そういう金額になってくるのかなと思います」

 2億円近くにも上るという今回の被害。来月上旬には被害者100人ほどで、集団訴訟を起こす方針です。

 重光弁護士:「医療法上は医師がクリニックの経営主体というたてつけになっていますので。その医師に対しての返金請求をしたいと思っています」

(「グッド!モーニング」2023年6月13日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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