今年の政治 「聞く力」の岸田首相、「まとめる力」が課題に

今年の政治 「聞く力」の岸田首相、「まとめる力」が課題に

 2022年の政治はどう動くのでしょうか。政権発足からおよそ3か月。岸田総理にとって今年の課題は何か?TBS・後藤政治部長の解説です。

 これまで「聞く力」を最大の強みとしてきた岸田総理ですが、今年は「まとめる力」も求められます。岸田総理の政権運営のスタイルは各省庁などの意見を幅広く吸い上げ、政策に反映していくところにあります。ある政府関係者は岸田総理のスタイルを次のように特徴付けます。

政府関係者
 「ある程度、役所の裁量に任せるっていうのが岸田さんのキャラクターだな」

 しかし、こうしたスタイルの“弱点”も浮き彫りとなってきました。

岸田首相(12月27日)
 「受験生の皆さんの間に不安が広がっているということを承知しています。別室受験を含め、できる限り受験機会を確保する方策について、きのう、文部科学大臣に検討を指示した」

 オミクロン株の濃厚接触者の大学受験の扱いで、政府は“迷走”しました。濃厚接触者は会場での受験は認めず、追試などで対応すると、文部科学省はいったん決めました。しかし、年明けには大学入学共通テストが行われ、大きな影響を及ぼしかねないという心配が高まるなか、岸田総理は周囲に「対応を間違えると大変なことになる」と漏らし、急遽方針を転換することを決めました。

 先月、水際対策で国土交通省が行った日本に到着する国際線の新規予約の停止要請について、“海外の日本人が帰国できなくなる”と反発を招いて方針転換したときと同様のケースといえます。世論に配慮した“柔軟な対応”とも取れますが、あらかじめ、各省庁の意見を取りまとめる政府内の調整機能が十分に果たされていないという指摘も上がっています。

岸田首相(12月21日)
 「ウイルス変異株などの新しい状況に対して、慎重な上にも慎重を期し、先手先手で対策を打ってまいります」

 オミクロン株の感染拡大の懸念が強まるなか、政府が感染対策などで“ぶれ”や“混乱”を見せた場合、世論の支持を失うことにもなりかねません。官僚組織を取りまとめ、いかにブレない危機対応を取ることができるのか、今年の岸田総理の一つの課題となります。(01日14:49)

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