戦争の悲惨さ語り継ぐ94歳「誰も望まない」 真珠湾攻撃から80年

戦争の悲惨さ語り継ぐ94歳「誰も望まない」 真珠湾攻撃から80年

真珠湾攻撃によるアメリカ側の犠牲者は、ほとんどが兵士など軍の関係者だが、すぐ近くには幼い子どもたちも暮らしていた。

惨劇を語り継ぐ、当時14歳だった女性を取材した。

パトリシア・ベリンジャー・カウフマンさん「80年…今でも鮮明です。多くの人が目の前で死んでいくのを見るのは、想像もつかないほど悲惨でした。本当にたくさんの人が…」

94歳のカウフマンさんは、80年前のあの日、爆撃のまっただ中にいた。

真珠湾に浮かぶ白い慰霊施設の下には、沈没した戦艦アリゾナが今も眠っている。

激しい爆撃は、子どもたちも暮らしていたフォード島の目の前で起きていた。

旧日本軍の奇襲により、戦艦アリゾナが沈没した場所のすぐ近くに位置するフォード島。

アメリカ軍関係者の家族のための官舎があり、今も暮らす人たちがいる。

80年前、爆撃が起きた時には、20人余りの子どもたちが暮らしていた。

当時14歳だったカウフマンさんもその1人。

アメリカ軍幹部の父親と、母親、2歳年下の妹と暮らしていた。

カウフマンさん「父が叫んだのです。『これは訓練じゃない、訓練じゃないぞ! 本当に攻撃されてるんだ!!』と。そして突然、銃弾がドアや窓を突き破ってきたのです」

あたり一帯は火の海となり、やけどを負った兵士たちも次々と運び込まれ、想像を絶する光景だったと話す。

カウフマンさん「油が燃えさかる海から、兵士たちがはいあがって来ました。ある人は目が開けられず、ある人は油を飲んで喉が焼け、話すこともできませんでした。そして彼らは、全身の皮膚がぼろぼろになっていたのです」

戦争が始まり、日本への国民感情が悪化していく中、日本人の友人がいたカウフマンさんは、これまで1度も日本を憎むような気持ちにはならなかったという。

カウフマンさん「日本は、長崎や広島にしたおそろしいことに対して、アメリカを非難し、日本は真珠湾でアメリカに同じようなことをしました。全ては起こるべくして起こっているのです。誰も戦争など望んでいません。ただただ悲惨で、心が痛むものです」

カウフマンさんは、息子や孫、ひ孫たちに、戦争の悲惨さを語り継いでいる。

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