アメリカのトランプ大統領に近いFOXニュースは、当局が犯罪歴のある“不法移民”を拘束する様子を報じました。“不法移民”と暴力的な犯罪を結び付け、トランプ氏が掲げる「史上最大の強制送還」を正当化する狙いが透けて見えます。
ICE(移民・税関捜査局)は、23日だけで犯罪歴のある538人を逮捕したといいます。
ホーマン国境警備責任者
「悪人の側には必ず不法滞在の仲間がいます。重罪犯ではないかもしれないが、見過ごすつもりはありません」
トランプ大統領のホワイトハウスは、逮捕された不法移民のなかにはテロリストや性犯罪者がいると強調したうえで「我が国の国境を守るために行っている取り組みのほんの一部」と誇らしげです。
アメリカと国境を接するメキシコ北部シウダーフアレス。検問所のある橋には長い列ができていました。強制送還された人たちです。
強制送還された人
「移民局がたくさんいて、みんな捕まっています。渡航は勧めません」
アメリカには、在留資格のない人たちが1200万人が近く生活していると言われています。
トランプ大統領(20日)
「不法移民の流入。午後1時で終了だ」
トランプ大統領が看板政策に掲げる「史上最大の強制送還」。そのための取り締まりは、すでに全土で始まっています。ただ、在留資格がない移民のうち、暴力的な犯罪に手を染めて逮捕される割合はアメリカ国民の半分以下。さらに、アメリカを目指す人たちの大半は、政情不安などの理由で命の危険にさらされる恐れから、やむなく国を出てきたという事情があります。
不法移民に寛容な聖域都市の1つ、シカゴ。2022年以降、メキシコ移民を中心に5万人以上を受け入れてきました。
小島佑樹記者
「このあたり、シカゴの街の中でも有数のメキシコからの移民が多いコミュニティーとして知られています。メキシコのレストランが非常に多い街です。ただ、トランプ政権の不法移民取り締まり強化が発表されて以降、人通りがぱたりと減ったということです」
メキシコ料理店スタッフ
「もはやビジネスになりません」
「(Q.来ていない従業員が?)2人です。“出勤しない方がいいかも”そう言っていました」
「(Q.2人は在留資格がない?)そうです。怖いんです」
小島佑樹記者
「こちらのスーパーマーケットにも、住民に対して“取り締まり当局が来てもドアを開けないように”と呼び掛けるポスターが貼られています」
このコミュニティーで暮らす夫婦。メキシコからやってきました。妻は在留資格がありますが、メカニックとして働く夫にはありません。
メキシコ移民夫(在留資格なし)
「ここに住んで20年以上です。仕事も全てのことをここでしています」
メキシコ移民妻(在留資格あり)
「私たちは人間です。動物ではありません。ここに家族もいるし、ただただ悲しいです。私たちの生活はアメリカにあるんです。ここが私たちのホームなんです。夫の強制送還を恐れています。家族が引き裂かれてしまうからです。一度連れていかれたら、どうなるか分かりません。死んでしまうかもしれません。何か起きたらつらすぎます。もう若くはないんです」
移民の在留資格取得の支援や、子どもの教育支援を行う団体の代表は…。
移民支援団体 アルラージョさん
「政権の手法は恐怖心を植えつけることです。学びや交流、礼拝の場はコミュニティーにとって大切な場所です。そういった場所で取り締まりが行われるのは恐怖でしかありません。政権が手段で子どもや家族を傷つけるなんて胸が締めつけられます。新政権の政策が地域社会に及ぼす影響が本当に心配です」
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