「Suica」などの交通系ICカードを使用している人も多いと思うが、こういった交通系ICカードが熊本県内の路線バスなどで使えなくなるという。
いったい、なぜなのだろう。
今や私たちの生活に欠かせないものとなったSuicaなど全国交通系ICカードをめぐって、今、異変が起きている。
熊本県では、路線バスなどで12月中旬以降に全国交通系ICカードが利用できなくなるという。
熊本都市バス・高田晋社長は「一部ご不便をかけることが最初のうちはあるかもしれないが、十分対応できるのではないかと考えている」と述べた。
全国交通系ICカードの代わりに導入されるのは、クレジットカードやQRコードで決済ができる機器。
熊本市によると、全国交通系ICカードの決済システムを導入したあとに取りやめるのは、全国の公共交通機関では初めてだという。
街の人からは、「困ります、Suicaがいい。駅で買い物をするとポイントがあるので」「大変ですね、別のものを使います」などといった声が聞かれた。
今回の背景にあるのは費用の問題。
熊本市・大西市長は「更新だけにかかる費用が12億円以上もかかる。 非常に高コストなものである」と述べた。
現在使っている全国交通系ICカードに対応済みの機器を更新した場合にかかる費用は、12億円以上。
一方、クレジットカードとQRコードで決済する機器に変えた場合は、6億7000万円ほどで半分ほどで済むという。
ただ、全国交通系ICカードの機器を新しく導入する時には、国からの補助金が出るが、今回の熊本県のように更新の際には補助金が出ないという問題がある。
熊本市・大西市長は「今後そういった更新や、その費用負担の問題で断念せざるを得ない自治体が全国に出てくるのはないか」と述べた。
実は、都内にも全国交通系ICカードが使えないバス会社がある。
東京・港区を走るレインボーバスは、費用の問題から全国交通系ICカード対応の機器を導入していない。
Suicaなどが使えないことについて、利用者は「(交通系ICカードは)使えた方がいい。結局マゴマゴしちゃって、現金を出すのが大変」、「これ(使えないこと)はもう仕方ない、別になんとも思わない」などと話した。
東京都交通局によると、2022年度には都バス127路線のうち、8割近くが赤字となっていて、機器の更新にかかる費用の問題は重くのしかかっていくとみられる。
交通インフラ政策に詳しい日本大学経済学部・手塚広一郎教授は、「規格の統一が第一の目的となる場合、(全国共通の決済システムが)必要になってくる。ただ、現実にはそれぞれの自治体によって取捨選択をしていく形になるのでは」と話した。
FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/