アインシュタインが警告した未来が目の前に!?“ミツバチ絶滅”で人類に迫る食料危機(2023年10月1日)

アインシュタインが警告した未来が目の前に!?“ミツバチ絶滅”で人類に迫る食料危機(2023年10月1日)

玉ねぎ、りんごなどこれから旬を迎える野菜や果物も並んでいますが今後食べられなくなる可能性があります。
その原因には“ミツバチ”が関係しています。
一体、何が起きているのでしょうか?

■ミツバチ減少! 温暖化で病気に…なぜ?

「もしも、地球上からミツバチが消えたなら、人類は4年で滅亡するだろう」
こう警鐘を鳴らしていたというアルベルト・アインシュタイン。いま、そのミツバチが世界中で姿を消しつつあります。
北海道・南西部の町、倶知安町。
「養蜂家の一番の仕事はハチを育てること。養蜂家の『養』でしょ。ハチ任せじゃなくて、ハチをコントロールできるかどうかが養蜂家って呼べるかどうか」
光源寺毅寿さん(53)、およそ100年前から続く、日本の伝統的な「移動養蜂」を続けています。担い手が減る中、その技術を守り続けてきました。移動養蜂とは、旬の花を追い求め、開花時期に合わせ全国を転々としハチミツを採ること。拠点は広島ですが、春は福島、夏は北海道、秋・冬は地元・広島で養蜂を行っています。
(移動養蜂家光源寺毅寿さん)「これ新女王バチ」
Q.女王バチは増やせる?
「そうそう、それを養殖していくのが仕事」
ハチミツを採り終えたこの時期は来年に備え、ミツバチを増やさなければならない大事な時期。しかし…
(光源寺毅寿さん)「もう1年中、気が抜けないんですよ。どっかでダニをつけてしまうとその群が衰退の一途をたどってしまうんで」
これがハチに寄生したダニ。温暖化の影響でハチに寄生するダニが増えやすくなっているうえ、マナーを守らない養蜂家も増えていて、病気が蔓延しやすい環境だといいます。さらに…
(光源寺毅寿さん)「アカシアっていう木の蜜を採るためにこの開花時期を狙って北海道に上がってくるんですけど、その開花時期が大体10日ぐらい早くなっていますかね」
これも温暖化の影響なのか、花の開花時期が読めず、移動するタイミングが難しくなっているといいます。
(光源寺毅寿さん)「北海道でもちょっと本州に近いくらい温度が上がってきているんで、飼い方を変えていかなければならないかもしれないし僕らが失敗できないんですよ。うちが失敗してしまうと農家さんが困るし…」

■ミツバチ“絶滅”で…人類“食料危機”の恐れ

ミツバチがいなくって困るのは、ハチミツのためだけではありません。実は養蜂家は、育てたハチを、受粉が必要な農家に貸し出しているのです。
国連食料農業機関(FAO)によると、トマトやナス、玉ねぎ、リンゴ、さらにアーモンドやコーヒーまで、私たちが口にする主な農産物のおよそ7割は、ハチが受粉しているといいます。そのため、ハチがいなくなれば人類は食料危機に陥ってしまう可能性もあるのです。海外の研究ではハチなど花粉を運ぶ昆虫の4割が急激に減少しており、今後数十年で絶滅する恐れがあると指摘しています。
背景の一つに挙げられているのが温暖化です。
(玉川大学ミツバチ科学研究センター中村純教授)「乾燥に強いとか暑さに強い植物っていうのが、増えていくっていうことが、全世界的に危惧されているところなんですよ。どこが一番ハチミツが採れるところかっていうと、例えばカナダだったりロシアだったりの寒いところ。そういう(寒い地域の)植物がなくなっちゃえば、そういうハナバチ(ミツバチなど)も絶滅しちゃう可能性は指摘されています」
さらに…
(中村純教授)「ミツバチって花の蜜だけじゃなくて花粉も利用して(栄養にして)生きている。CO2濃度が上がってくると花粉の中のタンパク質の量が少し下がるだろうと。(ミツバチの)幼虫の栄養不足につながる可能性は指摘されている」
光源寺さんも危機感を募らせています。
(光源寺毅寿さん)「全国のスーパーにならんでいる北海道産の玉ねぎのおおよそ6個に1個っていうのが、うちのハチが付けた種で農家さんが植えられてできている。その玉ねぎがなくなるってことは市場の玉ねぎの価格が異常なほど上がっていくことですよね。そういうことが起きうる未来は怖いですよね」

■「ハチ見ない」農家が悲鳴! 手で授粉作業

農家も異変を感じています。
(フジワラルーツファーム藤原新哉さん)「僕が(農家を)始めた10年前とかはこの辺りにミツバチが団子みたいになっちゃって、そのまま巣に入っていくっていうのを何度か見かけたことありますけども。今はリンゴ畑では見なくなりましたね」
こう話すのは、長野でリンゴ農園を営む、藤原新哉さん。ミツバチによる自然受粉には頼れないため、ほとんどを人の手による受粉作業で補っているといいます。
(藤原新哉さん)「この箱はハチの巣箱ですね」
藤原さんは今後を見据え、自らハチを育てたいと考えています。これ以上、人工授粉の割合が増えるとコストがかさむ可能性があるからです。
(藤原新哉さん)「リンゴだけじゃなくて訪花昆虫に頼っている作物もたくさんあると思うので、ハチがいなくなると、私たちが食べる食べ物も減っていくのではないかと思う」

■交配用ハチ届ける! 養蜂家180万匹と大移動

移動養蜂家の光源寺毅寿さん。この日、仲間の養蜂家の力を借り、育ててきたハチを4tトラックに積み込んでいました。
Q.どこにいかれるんですか?
(光源寺毅寿さん)「長崎です。花粉交配用のハチの供給」
連れていくミツバチはおよそ180万匹。このミツバチは、長崎でイチゴやメロンの受粉のために働きます。移動は気温の下がる夕方以降を狙います。さらに…
Q.氷は何のために?
(光源寺毅寿さん)「ハチを冷やすため」
Q.なかったら大変?
「無理無理。せっかく前の年から準備してきて作り上げたハチが一瞬でパァになるから」
ハチが暑さで死なないよう、400kgの氷をトラックに乗せます。
このあと、小樽港からフェリーで京都の舞鶴へ。そしてそのままトラックを運転し、長崎へ向かいます。ハチと共に2000kmの距離を移動するのです。

■「危機だと気づく」 ミツバチを守る一歩に…

このような取り組みも始まっています。
(NPO法人「ビーフォレスト・クラブ」吉川浩代表)「ハチ宿を作ってハチを増やすということに加担してもらえたなと」
奈良市のNPO法人「ビーフォレスト・クラブ」。子どもたちに、ハチが直面する問題について教えたり、保護するための、巣箱の作り方などを指導しています。
(参加者)「ちょっと難しいとこもあったけどミツバチが色々働いてくれているんだなというのを学んだ」
代表の吉川さんは活動の意義について、こう話します
(吉川浩代表)「(ミツバチは)絶滅危惧種でもないし、希少生物でもないんですよ。だから何もしないんですよ。何もしないけど、全体として減っていっているんですよ、大変ですよ、ある域超えたらもっと大変なことになりますよっていうことにまず気づくことですよ」
“アインシュタインの警告”は、現実のものとなってしまうのでしょうか。

10月1日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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