小林製薬の紅麹(こうじ)を使ったサプリメントで、これまでに2人が死亡した問題で、健康被害は去年9月以降に製造されたものを飲んだ人に偏っていることが分かりました。
■人気商品だった「紅麹コレステヘルプ」
消費者・食品安全担当 自見英子大臣
「関係省庁と足並みをそろえて対応していくことが、非常に重要であると思っていまして。スピード感を持って対応していくこととさせていただいております」
小林製薬の問題となっていた3つの製品について、大阪市が国から通知を受けて回収を命じる行政処分を出しました。販売は禁止にされ、今後は廃棄命令も出す方針です。
原因の特定が難航するなか、一つ可能性として挙げられるのが…。
大阪市健康推進部 亀本啓子保健主幹
「原料である紅麹を作っている工場が廃止されていたということですので。原料の一番原因と考えられるような部分がなくなってしまっているのは、非常に残念な部分があります」
健康被害が訴えられている紅麹原料を製造していた工場は、去年12月に移転。立ち入り検査もできていません。
亀本保健主幹
「もし大阪工場が、まだ稼働しているということであれば、即座に立ち入り検査はしておりました」
厚労省によりますと、入院患者は去年9月以降に製造された「紅麹コレステヘルプ」を飲んだ人に偏っているということです。
しかも、この商品は人気だったようです。
亀本保健主幹
「2021年の4月から2024年3月までで、約100万個販売されております。回収を終了できるのか、今はまだめどが立っていない」
■「機能性表示食品」国による審査なし
今回、回収された3つの製品は「悪玉コレステロールを下げる」と宣伝した「機能性表示食品」にあたります。
機能性表示食品は食品メーカーの責任において、体にどのように良いのか表示できるのが最大の特徴です。消費者庁は…。
自見大臣
「機能性表示食品の安全性そのものに大きな疑念を抱かせる、深刻な事案として捉えております。機能性表示食品の摂取による健康被害の発生が他にもないか、現在約7000件ある届け出製品についても、緊急に点検するよう私から事務方に指示をさせていただきました」
今回の件で、すべての機能性表示食品の緊急点検を行うことになりました。
「特定保健用食品」、通称「トクホ」は国による有効性や安全性の厳正な審査がありますが、機能性表示食品は国の審査がありません。
安倍晋三総理大臣(2013年 当時)
「健康食品の機能性表示を解禁いたします」
導入にあたって、消費者庁の検討会の委員を務めていた専門家はこう話します。
消費生活コンサルタント 森田満樹さん
「機能性表示食品は国のトップダウンでできた制度でして、大企業だけじゃなくて、中小企業でもチャレンジできる。そういう経済政策として提言されて、2015年にスタートした制度です」
■専門家「紅麹全体が悪いわけではない」
それまでは健康効果を表示できる食品はトクホのみで、開発や申請に巨額の費用がかかるため、参入できる企業は限られていました。
参入が簡単になったため、安全性の評価に不安があると専門家は指摘します。
森田さん
「届け出されたものは一応ガイドラインの書類がそろっていれば、消費者庁は受理をしてしまうのですよね」
ガイドラインにそって、今まで広く食べられてきたかどうかの食経験などのデータを出せば、登録される場合があります。だからこそ、消費者は注意しなければいけないと指摘します。
森田さん
「事業者の責任のもとで売られている制度。機能性表示食品を選んでいるということは、国が認めたものじゃないものを選んでいるのだなということは、知っていただきたいなと思います」
今回、小林製薬の紅麹の健康被害についてはこう話します。
森田さん
「制度に関わった者としては、本当に残念でならないという気持ちです。紅麹全体が悪いわけではないですし、麹といっても嫌がらないで、ちゃんと分けて考えていただけたらと思います。安全性のデータもきちんと取って良いものもあるので、全部が悪いということではないのです」
■小林製薬 あす午後に記者会見へ
今週中をめどに、健康被害が確認されていない小林製薬の紅麹を原料とした製品をどう扱うのか、専門家の意見を聞く方針です。
小林製薬は被害の拡大を受けて、4月1日に予定していた入社式を中止して、今月29日午後に大阪市内で記者会見を行うとしています。
(「グッド!モーニング」2024年3月28日放送分より)
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