元患者「左腕切断の危険も…」致死率3割“人食いバクテリア”急増の理由は【報道ステーション】(2024年3月7日)

元患者「左腕切断の危険も…」致死率3割“人食いバクテリア”急増の理由は【報道ステーション】(2024年3月7日)

今年に入り『劇症型溶連菌』の感染が急拡大しています。これは、のどの痛みなどを起こす溶連菌のなかでも、致死率が3割にも達すると言われているものです。東京都内に住む80歳の男性は、この菌が左腕に広がり、命が危険な状態に陥りました。拡大の原因とは…。

■元患者「左腕切断 命の危険も」

新型コロナやインフルエンザのほかに、今、もう1つ注意したい感染症があります。

去年10月に発症 三河康男さん(80)
「(最初は)熱が出ました。40度近く熱が出ました。インフルエンザかなコロナかと思い、近くの病院で検査したら『三河さん大丈夫だよ。何もなってない』と」

東京・大田区で暮らす三河さん。罹ったのは去年の10月。最初は高熱が出たため、コロナなどを疑い、病院へ行きましたが、問題ないと診断されて帰ったといいます。すると…。

去年10月に発症 三河康男さん
「(腕が)だんだん腫れてきて、赤くなってきた。なんだこれ、なになにっていう感じで。足の方も少し赤くなってきて、これはちょっと普通じゃないなと。ヒビが入っているかなという感じで(整形外科)に行った」

左腕は赤黒くパンパンに腫れあがり、皮膚が突っ張り、痛みを伴ったといいます。

去年10月に発症 三河康男さん
「“人食いバクテリア”らしいんですけど、そんな菌があるんですかと」

『劇症型溶血性レンサ球菌感染症』いわゆる“溶連菌”とは、一般的にこどもの咽頭炎、つまりノドの痛みなどの原因となる菌ですが、『劇症型』は小さなキズなどの外傷から体に侵入し、急速に体の組織を破壊したり、多臓器不全などを引き起こします。致死率は3割にも上り“人食いバクテリア”とも呼ばれています。

去年10月に発症 三河康男さん
「『(もう少し)遅ければ危なかったよ』と。腕を取らなきゃいけないか、菌が頭に来れば命も危なかったと。あっという間でした。バッと腫れてしまって」

これが“劇症型”と名のつく所以です。三河さんの腕も壊死が急速に進んでいきました。3時間に及ぶ手術の後、腕には別の皮膚を移植しました。

去年10月に発症 三河康男さん
「これは私の太ももの皮です。どうしても、はりますよね」

現在は、警備の仕事をしながら趣味のマラソンもできるようになりました。

去年10月に発症 三河康男さん「危ないです。気をつけないと。早いですから/早く病院に行って処置すれば私みたいに元気になると思います」

■“劇症型”溶連菌 急拡大の理由

こうした患者の数は年を追うごとに増加。去年は速報値で過去最多の941人が感染しています。それが今年は過去最悪のペースで、今週、国立感染症研究所が発表した資料によると、378人も確認されています。なぜ今、急激に増えているのでしょうか。

東京女子医科大学病院感染症科 菊池賢教授
「1つ大きいのは、新型コロナが2類相当から5類に変わって、色んな感染対策のタガが緩んだというのがある。インフルエンザも増えたし、アデノウイルスの感染も増えた。やっぱり感染対策をちょっと気を緩めてしまっていることが、すごく大きな影響を与えているように思う」

厚労省は1月、患者から採取した検体の菌株の解析を行うよう、自治体に通知を出しています。

東京女子医科大学病院感染症科 菊池賢教授
「この劇症型(溶連菌)というのは、そこら中にありふれているというほどの病気ではないが、近年増加傾向にあるというのは確かだと思う。毒素を調節する遺伝子があるが、普段は毒素をわざわざ作らなくても良い状況だったら作らせないが、そのスイッチ自体が壊れてしまっている。常に毒素を作り続ける“強毒菌”になってしまう。突然変異なんですけどね」

菌自体の突然変異によって、常に毒素を出し続けてしまう劇症型溶連菌。

東京女子医科大学病院感染症科 菊池賢教授
「(菌は)足から入ることが多いので、足を清潔にしましょうと。水虫やひび割れがあった時には放置せずに、ちゃんと皮膚科にかかり治療してもらう。靴擦れみたいな所からも(菌が)入るので、靴が合わないことがないか気をつけることが大事」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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