「物価は高くなるのに給料変わらない」史上最高値まで50円…実感なき株高 今後は?【報道ステーション】(2024年2月16日)

「物価は高くなるのに給料変わらない」史上最高値まで50円…実感なき株高 今後は?【報道ステーション】(2024年2月16日)

16日の日経平均株価が、バブル期の最高値に、あと50円まで迫りました。

35年前の大納会に記録した史上最高値は3万8915円。証券関係者の間では『さばくいこう』の語呂合わせで記憶されています。

電話で注文を受け付けるコールセンター。くす玉も準備されていて、期待感が高まっています。

岩井コスモ証券営業本部・八木利通副本部長「(Q.きょうの職場の雰囲気は)非常に良いです。高揚感たっぷりですね。(Q.過去最高値を更新するというのはと)私からしたら長かった。34年、35年は長かったです。ちょうど私が入社したときが、バブルの最頂点ですから。(Q.バブルの最頂点から思い返す出来事は)ひとえに苦しかった」

株価は、午後に入り、再び上昇する場面があったものの、その後、値を戻す展開となり、終値は3万8487円。34年1カ月ぶりの高値です。ただ、拍手やスタンディングオベーション、そして、くす玉割りはお預けとなりました。
岩井コスモ証券営業本部・八木利通副本部長:「ちょっと残念ですね。朝すごく高揚で勢い良かったんですけど」

“花金”であっても、でなくても、欲望が渦巻いていたバブル期。1万円札を振りかざして、タクシーを止めていた時代でした。その後、泡は弾け、日本は“失われた30年”といわれる時代に突入します。

時を経て、再び上がってきた株価。その性質は、バブル期のものとは違うというのが経済界の見方です。

野村証券トレーディング・サービス部の柏原悟志担当部長:「価格の水準は、史上最高値近辺。全然、企業の体力というか、稼ぐ力が違ってきているので、いまは高所恐怖症的な感覚は正直ない。むしろ海外投資家は『まだ安い』と思って買ってきていると思うので、リスクはないかなと」

生命保険協会・清水博会長:「相当に勢いをもって、株が上がってきている。金融市場だけの動きで株式市場が上がっているではなく、実際に企業の賃上げとか、それから企業の積極的な設備投資とか、消費行動とか内需を伴っている。こうしたことが背景となっている」

ただ、街で話を聞くと、史上最高値に迫る株式市場とは、異なる実態も見えてきます。
会社員:「(Q.株が上がって生活に変化は)いまのところはない。ガソリン代、高いなくらい」
70代:「(Q.バブルと比較していまは)全然、感覚が違う。いまはもう、給料が上がってないから」
70代:「夢のような時代だったね。やっぱバブルだよ。いまの現役の人はかわいそうだよ、バブル知らないから」
30代夫婦:「物価が、どんどん高くなってる。ただ給料はあんまり変わらない」
30代主婦:「(Q.いい影響などは)悪い影響だったら、いま感じました。いつも買っているものが98円から148円になってました。フローリングのシートです」

実際、個人消費の落ち込みで、実質GDPは、2期連続のマイナスとなりました。景気後退とも言われる状態です。名目GDPは、ドイツに抜かれて世界4位に転落しました。

物価上昇に給料アップが追い付いていないというのが日本の経済状況です

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏:「物価が上がると、企業の売り上げが金額としては増えるが、賃金を同じ幅で上げなければ、個人の所得の取り分が減る分、企業の取り分が増えて、企業収益が非常に増える。これが株高の背景。一方で、個人は、実質賃金が下がり続け、生活実感としては悪く、株高のメリットを感じることができない。そういったタイプの株高なんだと思います。物価上昇率が落ち着いてきて、初めて賃金上昇率が物価上昇率に追い付く。そうなると、個人の生活が安定してくる。そのタイミングは、来年後半になるんじゃないかと思う。そこまで株価が続くかというと、その前にインフレ率が下がってくる。物価高で企業収益が膨れて、株価が思いのほか強くなるのは、今年の後半には続かないのではと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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