【報ステ全文】恩師・栗山英樹さんが語る“大谷ドジャース移籍”への道と“これから”(2023年12月11日)

【報ステ全文】恩師・栗山英樹さんが語る“大谷ドジャース移籍”への道と“これから”(2023年12月11日)

大谷翔平選手(29)の移籍先がナ・リーグ西地区のドジャースに決まりました。契約金は、メジャー史上最高額の10年総額7億ドル、日本円で約1015億円です。

大谷選手の恩師で、WBCワールドベースボールクラシックで、大谷選手とともに世界一を掴み取った前侍JAPAN監督・栗山英樹さんに聞きます。

【“スポーツ史上最高額”という評価】

(Q.ドジャース移籍が決まった瞬間、まず感じたことは)
まずはチームが決まって、大型契約になったことで、ある意味、ホッとした。よかったなという思いがあります。

(Q.プロスポーツ史上最高額の契約という評価をどう思いますか)
すごい額なんですけど、これだけの評価をしてもらうことに関して、めちゃくちゃうれしかったですし、それだけの価値のある選手なんだなと思います。

(Q.大谷選手がお金そのものにこだわったとは考えにくいですよね)
そうですね。お金にこだわったのではなく、自分ではなくて、アメリカ・メジャーリーグという舞台で、日本人、アジアの選手がこれだけの選手が評価を受けるということ。野球界全体の底上げというのが頭にあって、そこは、額なのかもしれませんが、評価をちゃんとしてほしいと。そこを大切にしたのかなと、僕は、思います。

(Q.アメリカでトップ級の扱いをされていること自体、野球に対するインパクトを大谷選手が広げていますね)
そう思います。いろいろな契約の仕方がありますが、すべてが自分のためだけでなく、すべてが周りのこと。契約ですが、自分の給料を少しだけもらって、後回しにするという話があります。自分が勝つチームのために、もっともっといいバッター、もっといいピッチャーを獲れる状況を作る。そうするとファンも喜ぶ、球団も喜ぶ。自分もうれしい。自分が考えてやれるわけですから、そういう意味では、発表されると思いますが、無茶苦茶、低くなっていると思います。よくわかっていませんが、そういう感じだと思います。

(Q.そういうことを詰めていたから、ここまで契約までに時間がかかったということですね)
そういうことを含めてのトータル的な評価を受けたと。ですから、自分がやろうとしたこと、野球に真摯に向かってきたことは間違っていないのかなと思ったと思います。

【ドジャースを選んだ“決め手”】

会見前ですので、本人の口から説明はありませんが、大谷選手にとって、ドジャースは色んな面でマッチしています。11年連続、プレーオフ進出している常勝軍団であること。環境面では、エンゼルスと同じ、カリフォルニア州であります。さらに、トミージョン手術をした執刀医が、チームドクターで、サポート体制が整っています。また、高校時代から大谷選手に注目し、日本ハム、エンゼルスに入団する度に、ラブコールを送ってきた“大谷愛”あふれる球団です。

(Q.一番の決め手は何だったと思いますか)
もちろん自分が野球をやる環境ということで、温暖であったり、勝ちやすいなど、いろいろな条件あると思いますが、それを整理したうえで、いくつかのチームが残ったと思います。最後は、僕は“評価”だと思います。どれだけ自分のことを評価してくれますかと。額が高いということではなくて、それが次の野球界に結びつくと思っているので、そこは重要だと思っていると思います。

(Q.なぜ、これだけの“価値”を置いてくれたと思いますか)
みんな忘れがちですが、翔平は、手術をしてリハビリ中です。にもかかわらず、これだけの評価を受けた。実は、野球選手が一番マイナスになるのは、故障で試合から離れるということです。ところが、翔平は、2018年、2019年もリハビリ中でもバッターで出ていました。来年もリハビリ中でもバッターで出る。普通の選手であれば、約3年近く、試合から離れる可能性があります。ところが、二刀流だからこそ、試合に出ながら、進化し続けて、これだけのプレイヤーになった。本当の二刀流の意味というのは、こういうことだったのかなと。野球はやり続けたい、試合に出続けるという環境というのが、二刀流という形。自分が選択して前に進んだ。その素晴らしさをめちゃくちゃ感じますね。そこは、翔平、よく頑張ったなと思います。

(Q.高校時代からドジャースが熱心にアプローチしていたということですが、栗山さんから見て、ドジャースはどんな球団ですか)
歴史的に、日本の野球には貢献してくれていて、縁が深いチームであるというのは間違いないです。僕は、野茂投手のときに、ずっと見させてもらったので、無茶苦茶、近いというか。

(Q.日本ハム時代もメジャーリーグに行く後押しをしていました。いろいろなチームが名乗りをあげるなかで、あのときはエンゼルスでした。念頭に二刀流があったからですか)
二刀流がやりやすい環境であったというのは事実だと思います。ちょっとそこは微妙な言い回しになっていますけど。僕は、大谷翔平の野球は、二刀流がベースになっているべきだと思っていますので、それを進められるチームというのは、多分、本人にあったと思います。

(Q.二刀流で復活して、勝つ。長いスパンで見据えていますよね)
そういうチームはドジャースだけでなく、いくつかあったと思います。自分のことを、二刀流の選手として、どれだけ必要かと思ってもらうのが、ある意味、評価だと思うで、評価も含めて、ドジャースだったら自分の野球ができると思ったと思います。

【インスタに込めた大谷の“覚悟”】

大谷選手がSNSに投稿したメッセージです。
『ドジャースファンの皆さま、私はチームのために最善を尽くし、自分自身が最高の状態でいわれるように常に全力を出し続けることを誓います。野球人生の最後の日まで、ドジャースのためだけでなく野球界のためにも努力を続けていきたいと思います』

(Q.あと10年で39歳ですから、ある意味、ドジャースに骨を埋めて、球界全体のために頑張るというふうに聞こえましたが)
その通りですね。翔平にとっては、エンゼルスでもそういう気持ちでやってきたと思います。『きょうが、人生すべての試合だ』とずっと思ってきた。ドジャースのときも、そうやっていく。ところが、時間がきたときに、お互いのメリットを考え、次に進む場合もあるだろうし、常に、彼がすべてをかけて野球をやっているという証明かなと。それと野球界全体を考えてやっているということだと思います。

【“憶測”飛び交いメディアも混乱】

(Q.いろいろ、情報が錯そうしていましたが、どんな様子でみていましたか)
わからないからこそ、みんなが『あーだこーだ』と言ってもらえる。これで、また野球が盛り上がるので、僕は、すごくありがたかったです。ただ、関係ない話ですけど、契約が決まったとき、めちゃくちゃホッとしたと言いましたが、実は、皆さん、忘れがちですが、23歳でアメリカに行ったときに、翔平はあと2年待てば、25歳に。そのときになると大きな契約ができるのです。その前に飛び立つとき、最終的に僕らの判断だったのですが、一番、難しかったのが「いつ行くべきなのか」ということ。毎月のように翔平と確認していた。けがしたシーズンでしたが、一切、触れずに、最後に『なぜ、今年、アメリカ行くのか、俺を説得してくれ』と。そのときに、翔平は「監督、成功するとか失敗するとか、関係ないんです。自分たちよりすごい選手がいる。そこに向かって戦いに行く。それだけなんです。それ以外は、一切、考えなくていいんです」と言った。僕にとっては、“今”なんだと確認できた瞬間だったのですけど、それだけの覚悟を持って、野球に向かっているから、今回のような大きな契約になっていく。人の生きざまというのは、こういう感じなのかなと思いました。 

【超重量打線“打者”大谷の役割は】

ドジャースといえば、メジャー屈指の重量打線ですが、MLB専門チャンネルの予測では、大谷選手は『2番』です。その両脇を見ると、『1番』ベッツ選手は、ホームラン39本、『3番』フリーマン選手は29本。大谷選手と合わせると、3人だけでホームラン100本越え。さらに、3人ともMVP受賞経験があります。

(Q.相手の打線が、これだとどうでしょうか)
めちゃくちゃ怖いです。侍ジャパンのときのアメリカチームを見ているようです。ベッツはめちゃくちゃ嫌でしたね。ただ、翔平が2番って決まっているじゃないですか。野球詳しくないですけど、僕は、WBCのときに『3番』に置いたじゃないですか。2番に入ると、これは変な心配ですが、ゲッツーを避けようとしたりして、一生懸命、走っちゃうんですよ。走っていいんですけど、走らなくていいときにけがするなど、いろんな心配をするので、僕は、もう1人、もっと出る2番を獲って、翔平を『3番』に。それが世界一に近いかなと。だから、翔平は自分の給料を下げて、選手が獲れる状況を作ったのかなと。これは勝手な想像ですけど。絶対的な信頼が翔平にはあるので、そこで1年間、機能するかどうか、それが一番大事。いいレベルでキープさせるかと。それを考えたときに、けがをする状況とか、心配を考えてしまう。すみません、私事ですね。

(Q.これだけの選手が並ぶと、大谷選手にも勝負してくれる場面が多くなるのでは)
ボール球に手を出さないといけない状況というのは嫌なので、それは、相手もそう思っていますし、バッターがたくさん並ぶと、それが起こるので、それは楽しみです。

(Q.そうとなると三冠王も)
ただ、バッターに専念すると、本人、バッティングだけのことを考えて、余計なことをしだす可能性があります。だから、バッター1本だからいいというのは、僕は必ずしもそうとは言えないと思います。彼の本流は二刀流なので、シンプルに野球をやるということ。来年、これがどう出るか、ちょっと楽しみにしています。

栗山さん、きょうはありがとうございました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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