「13歳で精神科に強制入院」少年が問う裁判 母の悔恨【news23】|TBS NEWS DIG

「13歳で精神科に強制入院」少年が問う裁判 母の悔恨【news23】|TBS NEWS DIG

母親との関係などにトラブルを抱えていた少年が13歳のころ精神科に強制的に入院させられたことをめぐり、関わった大人たちを提訴しました。保護を目的としたはずの措置が逆に少年を傷つける結果になり、少年は制度の問題を指摘しています。

■13歳で“精神科に強制的に入院” なぜ?

火山優さん(仮名・19)は、13歳のときに突然入れられた閉鎖病棟の間取りを5年経っても鮮明に覚えています。

火山優さん
「扉が閉まるとガチャンと鍵がかかるようになってて、閉じ込められると」

5年前の朝、都内の自宅から中学に登校中、突然見知らぬ大人に取り囲まれます。

火山優さん
「とにかく『車に乗れ』っていうことで、制服のボタンもちぎれるくらいの力で引っ張られて」

児童相談所の職員らによって「一時保護」という形で車に乗せられた火山さん。そのまま知らない精神科病院に連れて行かれ、診察の結果、意に反して、一時、閉鎖病棟に入院させられました。(1日後、一般病棟に)

当時、火山さんは母親とトラブルを抱えていました。

当時の自宅の写真を見ると、食べ物が床に散乱するなど、部屋は荒れています。2人暮らしだった母とは折り合いが悪く、母が物に当たって投げたり、口論がエスカレートして、双方が暴力に及んだりすることもありました。

火山さんは母親の虐待を受け、一度、一時保護されたものの、施設を抜け出すなどして、児童相談所ともトラブルになっていました。

火山優さん
「不都合な子どもではあったと思うんですけど、少なくとも強制入院の要件に当てはまる子どもではなかった」

火山さんの入院は「医療保護入院」という措置。資格がある医師が精神障害があると診断した場合、家族の同意があれば、本人の同意がなくても入院させることができる制度です。

「友達のいる学校生活に戻りたい」。火山さんは9日後、病棟を抜け出して、結局母親のいる自宅に戻り、この春、高校を卒業するまで2人暮らしを続けました。

そして18歳になり、児童相談所、病院、入院に同意した母親を相手に裁判を起こしたのです。

■“強制的な入院”に同意 母の悔恨

被告となった母親。今でも同意したことを後悔しています。

訴えられた母親
「あのときは本当に児相(児童相談所)を頼るしかなくて」

夫との別居を機に悪化したという母子関係。このままでは事件になりかねないと思い詰めていたといいます。そして、児童相談所から再三息子の精神科受診を勧められた母親は、入院に同意しました。

息子が無理やり連れて行かれた光景を思うと、今も自責の念が。

訴えられた母親
「(息子が)『お母さん』とかじゃなくて、名前をフルネームでずっと叫んでいて、あの叫び声は忘れられないです。なんてことしたんだろう。急に涙が出てきたり」

■「本人に問題ない」 “強制的入院”の根拠は?

それでも必要だと思った入院。しかし、後日開示された児童相談所の記録には、疑問を抱かせる記述が残されていました。

児童相談所作成の面会記録
・本人に問題はない
・一時保護の場所として病院を貸してくれないかとの相談を受け応じた
・病院としては何もやることが無い

火山優さん
「それを見た瞬間に『なんで僕は入院しなきゃいけなかったかな』って」

なぜ一時保護され、入院させられたのか。13日の東京地裁の弁論で、児童相談所側はこう主張しました。

児童相談所側(東京都)の主張
「原告の母親に対する暴行等を踏まえ、心身の状況を把握するために一時保護を行った。指定医診察の結果『医療保護入院』がとられることがあり得ることは、法律の規定からすれば当然に想定される」

また、病院側は火山さんには当時「精神障害があった」とし、児童相談所の記録は「正確ではない」としています。

日本で精神科に入院する患者のうち、医療保護入院は半数の13万人あまり。火山さんは裁判で制度の問題も指摘しています。

火山優さん
「全く精神障害ではないのに『家族に悪用されて入院させられた』だとか、そういったことで声を上げられてる方々もいらっしゃって、やっぱりそこ(医療保護入院)は改善が必要」

■子どもの意見“代弁”する仕組み 来年4月から全国で導入へ

小川彩佳キャスター:
裁判は続いていますけれども、火山さんとしては、意に反した対応を受け続けてきたということは確かですよね。子どもの意見をどう組んで、どう反映させていくのか、これは再考するべきポイントですよね。

山本恵里伽キャスター:
その通りですよね。
来年度からは子どもの意見がきちんと伝わるようにサポートする取り組みが始まるということです。一時保護所などにいる子どもたちの「家に帰りたい・帰りたくない」といった要望を、今後は独立した立場の支援員が聞きます。その支援員はその内容を代弁して、児童相談所などに伝えるということです。子どもの要望が実現したり、子どもたちが尊重されるように求めるということです。この取り組み自体は努力義務なんですけれども、来年の4月から全国の都道府県で導入されるということです。

小川キャスター:
竹山さんはどうお感じ…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230915-6109725)

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