【解説】30年発生確率、数%でも危険な「Sランク活断層」 大阪直下に阪神・淡路大震災を上回る危険な活断層が『週刊地震ニュース』

【解説】30年発生確率、数%でも危険な「Sランク活断層」  大阪直下に阪神・淡路大震災を上回る危険な活断層が『週刊地震ニュース』

全国に約30ある「Sランク活断層」、その1つが大阪直下にあります。国の想定では最悪の場合、死者4万人以上、阪神・淡路大震災を上回る甚大な被害になります。周辺の地震活動は?社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します【週刊地震ニュース】

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■震度1以上の30回 北海道や茨城で最大震度3

6月26日から7月2日までの期間、国内で震度1以上の地震が30回ありました。

▼28日午前8時39分ごろ、北海道東部の浦幌町で震度3となったほか、北海道太平洋沿岸をはじめ東北地方の太平洋側で震度1から2の揺れを観測しています。震源はロシアのすぐ南、日本海北部でマグニチュードは6.3、震源の深さは518キロでした。震源が深くて、太平洋側を中心に揺れてということで、太平洋プレートで揺れが遠くに伝わった異常震域による地震とみられています。

▼先月30日午後2時23分ごろ、
茨城県日立市と高萩市で震度3の揺れを観測しました。震源は茨城県沖でマグニチュード4.0、震源の深さは49キロでした。

■全国に約2000活断層のうち、最も危険度が高いとされる「Sランク」の活断層の1つ、「上町断層帯」とは?

「上町断層帯」は、大阪の中心部の真下を南北にのびる活断層です。政府の地震調査委員会によりますと「上町断層帯」は豊中市から大阪市を通って、南は岸和田市にのびる長さは42キロの活断層です。近畿エリアでも非常に人口が多いエリアに位置しています。

想定される地震のマグニチュードは7.5程度で、1995年におきた阪神大震災の7.3を上回る地震の規模になるとみられています。今後30年以内の地震発生確率は2から3パーセントとなっています。

■死者4万人以上の想定も 近畿圏で最も危険な「活断層」

2008年に国が公表した被害想定では、大阪市や堺市などの一部が震度7の激しい揺れに襲われ、大阪府の広範囲が震度6強の揺れになるとされています。死者は冬の早朝の場合、4万2000人、木造住宅を中心に97万棟の建物が全壊または全焼するおそれがあるとして、近畿地方にある活断層の中でも最も被害が大きくなる可能性があります。

■近年の「上町断層帯」周辺の地震活動は?

1997年以降の上町断層周辺の地震活動です。1999年と2011年に、それぞれマグニチュード3.9の地震があり、震度3の有感地震となりましたが、ほかに目立った地震活動はありません。大阪から兵庫にかけてのびる「有馬・高槻断層帯」、そして阪神・淡路大震災を引き起こした、「六甲・淡路島断層帯」の1つ「野島断層」周辺で地震が多くなっています。

■阪神・淡路大震災は犠牲者の8割以上が「圧迫死」

環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは、「阪神・淡路大震災では犠牲者の80%以上が家屋の倒壊や家具等の転倒による圧迫死でした。”自分の命、安全は自分で守る”ために、家具や家電製品が揺れで倒れないように壁などに固定してほしい」と話しています。

国は去年から「中部圏・近畿圏直下地震」について、想定を見直すための有識者検討会を設置しています。また大阪府も単独で被害想定の見直しをおこなっていて、近年の災害対策の効果を踏まえて人的被害などを改めて出し直すとしています。
(2023年7月3日放送)

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