カナダの無人探査機が海底に 潜水艇の懸命の捜索続くも“酸素切れ”の可能性 「1300メートルまでしか耐えられない」運営会社元社員が安全性への懸念も【news23】|TBS NEWS DIG

カナダの無人探査機が海底に 潜水艇の懸命の捜索続くも“酸素切れ”の可能性 「1300メートルまでしか耐えられない」運営会社元社員が安全性への懸念も【news23】|TBS NEWS DIG

タイタニック号を探索する潜水艇「タイタン」が消息を絶ってから4日が経過しました。想定される96時間分の酸素が底をついた可能性もあります。このツアー運営会社の元社員は「潜水艇の窓は1300メートルまでしか耐えられない」と、以前から懸念を示していました。

■経験豊富な乗員がいたのになぜ?2021年にもトラブル発生

水深3800mにある、タイタニック号の残骸を探索する潜水艇タイタン。ツアー運営会社の創業者ら5人を乗せて消息を絶ってから、4日以上が経っています。

96時間分の酸素を搭載しているということですが、タイムリミットとされる時間を過ぎ、底をついた可能性があります。

捜索活動は夜通しで続けられていますが、今も発見には至っていません。アメリカの沿岸警備隊は、2日連続で海中から“音”を感知したと説明していますが…

アメリカ沿岸警備隊 担当者
「何の“音”かは分かりませんが、“音”のあたりを捜索しています。これが今できる全てです」

潜水艇に乗っているのは5人。そのうちの1人、ツアー運営会社の創業者であるストックトン・ラッシュ氏(61)は、2021年にこう話しています。

ツアー運営会社の創業者 ストックトン・ラッシュ氏
「(船内で指をさしながら)通常、潜水するときはここに2人座り、ここに2人。そしてパイロット(操縦士)が後ろ。かなりスペースがありますよ」

この船内に取り残されているのは創業者のほか、次のようになっています。

●イギリスの富豪
●フランスの探検家
●パキスタンの富豪とその息子

イギリスの富豪であるハミッシュ・ハーディング氏(58)は宇宙飛行を行うなど、冒険家の一面も。友人は…

ハーディング氏の友人
「もし彼らが96時間しか空気がない海底で立ち往生し、海面に戻れなくなったらと思うと恐ろしい。これがいちばん怖い、私が最も恐れていることです」

フランスの探検家である、ポールアンリ・ナルジョレ氏(77)。BBCによると、タイタニック号沈没現場に35回以上潜った経験があり、「ミスター・タイタニック」のニックネームで知られているといいます。

フランス探検家 ポールアンリ・ナルジョレ氏
「チームの友人2人とタイタニック号に初めて潜ったのは、1987年7月24日のことでした。それはとても忘れられない瞬間でした」

こうした経験豊富なメンバーがいる中で、なぜ消息を絶ってしまったのか。潜水艇タイタンの安全管理体制に、疑問の声も出ています。

2021年にツアーに参加した男性が公開した動画には、一時、海上と通信が途絶える様子が収められていました。

ナレーション
「水深1000メートルを過ぎたところで、パイロットが通信システムの欠陥を探知した」

スタッフ
「ここから復旧できないな。おかしいな、読み込みはできるのにコミュニケーションが取れない。最後のチャレンジだ」

ナレーション
「水深2000メートルでコミュニケーションで取れずに、過ごせる時間のタイムリミットが来た。そのため海面に戻らなければいけない」

■元から海底3800メートルに耐えられなかった可能性が浮上

危険を伴う、海底3800mメートルへの潜水。ツアーの参加者は、同意書に署名する必要があったといいます。

潜水艇に搭乗した男性
「私たちは、命を失うことを含め、さまざまなリスクを説明した同意書にサインした」

創業者であるラッシュ氏が潜水艇の機能を紹介していた動画では、内側から外をのぞくことができる窓について…

ラッシュ氏
「のぞき窓の素材はアクリルとプレキシガラス。厚さは7インチ(約17.8センチ)です。タイタニックに行くときは中に押し込まれます。割れたり破損したりする前に、大きな警告があります」

潜水艇に設置している窓の中では、最大級だといいます。この窓の安全性について、運営会社の元社員が、2018年に懸念を示していたことが分かりました。

元社員によると、潜水艇は水深4000メートルまで潜水可能としているにもかかわらず、船体に設置されたのぞき窓の強度が、1300メートルまでしか耐えられないものになっているというのです。

また、運営会社が公開した動画には、数々のテストにクリアして完成する様子もあり…

運営会社オーシャンゲートPR動画
「我々はワシントン大学の航空宇宙専門家、NASA、ボ-イングが協力し作られている」

大企業の協力のもと、「安全性が担保されている」と宣伝していました。しかしボーイング社は…

アメリカ航空大手 ボーイング社
「ボーイングはタイタン(行方不明の潜水艇)のパートナーだったことはなく、その設計や建造をおこなったこともない」

また、NASAも「助言はしたが、テストや職員の派遣はしていない」という内容の声明を発表しました。

行方不明になって4日、潜水艇が今どのような状態なのかさえわかっていない中、現在も捜索が続けられています。

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