大手スーパーのイオンを運営するイオンリテールが、正社員とパート従業員の給与を同水準にする制度を始めます。他の企業のパートからも歓迎の声が上がります。経済評論家によると、他の企業に広がる可能性があり、働く人の選択肢が増える利点があります。
■課長に昇格可能、ボーナスも同額に
有働由美子キャスター
「非正規雇用で働く人にも、新しい動きが出ています。大手スーパーのイオンを運営するイオンリテールが3月から導入するのは、正社員とパート従業員の給与を全く同じ水準にするという制度です」
「パート従業員は、これまで主に正社員しかなることができなかったリーダーやマネジャーといった売り場の責任者、さらには課長にも昇格や昇給ができるようになります。基本給やボーナス、退職金も、同じ業務を行う正社員と同水準で受け取れるといいます」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「誰でもなれるというわけではなく、月に120時間以上働いていることや、正社員と同じ昇格試験に合格するといった条件がありますが、本当に異例のことです」
「イオンリテールは従業員の6割の約7万3000人がパート従業員で、去年の秋の試験に合格した42人に適用され、今後は毎年400人規模で増やしていく計画だといいます」
■別企業のパート「スキル評価される」
この取り組みについて、別の企業で働くパート従業員に聞いてみました。
「自分のスキルが評価されていいと思う。働くモチベーションにつながる」(30代女性)、「世の中のみんなが望んでいると思う。今の職場でも、100円でも200円でも上げてほしい」(40代女性)といった声が上がりました。
有働キャスター
「『こうなってほしい』という思いは、皆さんに強くありますね」
■専門家が評価する2つのポイント
小栗委員
「経済評論家の加谷珪一さんはこの取り組みを『とても評価している』と話しています」
「1つには他の企業にも広がる可能性があるということです。とにかく今は、人材確保が共通の課題なので、待遇の格差を改善しないままだと、競争に負けていく空気になるだろうと指摘しています」
「もう1つは、労働者の選択肢が増えるという点です。例えば長期にわたって働きたいのであれば正社員に、ライフスタイルに合わせて働く時間を調整したいならパート従業員になど、選択肢が増えることになるといいます」
■辻さんに聞く…「仕事に納得感を」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「そもそも、同じ業務内容を任せているのに雇用形態によって賃金に差が出るというのは、少しおかしな話だなと思います。それによって、同じ職場でも正社員は『中の人』、その他は『外の人』のような空気も生まれやすくなる気がします」
「あくまで雇用形態の違いなだけで、そこに本来優劣はないはずですよね。同じ働きなら同じ待遇。努力すれば自分にも返ってくるとなれば、働く人同士も納得感をもって仕事を任せ合え、それぞれのモチベーションにもつながるので、いい取り組みだなと思います」
有働キャスター
「民間のこうした動きはもっと広がってほしいですし、その時に税金や年金の『壁』が足かせにならないように、むしろしっかり後押しできるように、今年の早い段階での見直しは、政府にとって待ったなしだと思います」
(2023年3月15日放送「news zero」より)
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