【ロシア財政が急激悪化】制裁と戦費拡大で“財源逼迫”戦局に影響は◆日曜スクープ◆(2023年2月19日)

【ロシア財政が急激悪化】制裁と戦費拡大で“財源逼迫”戦局に影響は◆日曜スクープ◆(2023年2月19日)

 ロシアの財政収支の急速悪化が際立つ。2022年12月の連邦財政収支は3兆8000億ルーブル(約7兆円)の赤字、2023年1月は1兆7600億ルーブル(約3.2兆円)と2カ月連続の赤字を記録した。2022年の年間財政赤字の5割超を占める数字となる。今年1月の収支を見ると、歳入が1兆3560億ルーブル(約2.4兆円)で、前年同期比で35%の減少、また、歳出は3兆1170億ルーブル(約5.6兆円)と前年同期比で59%と急激な増加となった。財政収支が急速に悪化した原因について、ロシア財務省は、「原油価格の低下と天然ガスの輸出減が影響した」と説明した。西側諸国がロシア産原油価格に上限を設定するなど制裁を課したことが背景にある。

 G7、主要国首脳会議は、ロシア産原油の輸出価格に60ドルの上限を設定する対ロ制裁措置を12月5日に実施、EU、欧州連合もこの決定に足並みを揃え、海路を通じたロシア産原油の輸入禁止措置を発効した。タンカーによる原油輸送は、油漏れの事故などに備え、条約で海上保険への加入が義務付けられている。その保険はG7を拠点とする金融会社が90%を担っており、1バレル=60ドルを超す取引には保険会社が契約に応じないために、上限価格を遵守せざるを得ない仕組みになっている。 昨年12月5日以降、ロシア産原油の輸出価格の上限措置発動により、ウラル原油は価格交渉力が低下し、大幅なディスカウント価格を余儀なくされた。

 財政赤字が拡大しているロシアは、中国との関係強化を期待する。中国の外交部門を率いる王毅・政治局員がロシアを訪問する。外交トップ就任後初の外遊として、17~19日にドイツで開かれるミュンヘン安全保障会議への出席にあわせ、ロシアをはじめ4カ国を訪れる。王毅氏は同会議で「中国は危機に関与していないが、ただ傍観しているわけではない。対話は放棄されるべきではない」と和平協議を促進する考えを示した。また、ハリス米副大統領は、ロシアが侵攻に成功すれば、世界の強権国家を勢いづけることになる。中国のロシア支援の動きは、侵攻に報いるだけだ」と警告した。

 王毅氏の今回のロシア訪問は、習近平国家主席が今春に訪ロする可能性があり、その調整が主な目的と見られている。プーチン大統領と中国の習国家主席が昨年12月、オンライン形式で会談した。プーチン大統領は、会談で習氏に訪ロを招請し、今春のモスクワ訪問に向けて準備していることを明らかにした。ロシアは中国に軍事協力の意向を示したうえで、関係強化を目指すものと見られる。

★ゲスト:渡部悦和(元陸上自衛隊東部方面総監)、東野篤子(筑波大学教授)
★アンカー:木内登英(野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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