中古家電 「ただ安い」だけじゃない…市場急拡大の秘密 裏側にある「努力」「工夫」【Jの追跡】(2023年3月12日)

中古家電 「ただ安い」だけじゃない…市場急拡大の秘密 裏側にある「努力」「工夫」【Jの追跡】(2023年3月12日)

大手家電量販店では中古家電の売り上げが絶好調。冷蔵庫や洗濯機など新品価格の高騰が続く大型家電が、新品当時の半額以下で買えるとあって、連日客が殺到しています。

“離婚”や“高齢の両親のため”など、中古家電を求める様々な“事情”とは?

一方、リサイクルショップを取材すると、中古家電を新品同様に“再生させる達人”がいました。

表からは見えない汚れを“秘密兵器”で徹底洗浄します。

また、経年劣化による発火を防ぐため、細部にわたりチェックする様子を取材しました。

■市場急拡大…中古家電の“アツイ舞台裏”

千葉県にある大手家電量販店。新品の商品と並んで置かれているのは、格安価格の家電です。

ヤマダアウトレット&ホビー館 野田店 萩野谷信頼店長:「すごく安くなっていると思うんですけれども、こちらが『リユース家電』です」

「リユース家電」とは、中古品を買い取り、“新品同様に生まれ変わらせた”商品のこと。中を見てみると、一度使われた洗濯機とは思えないほどきれいです。

同一メーカー、同一モデルの洗濯機を比べてみると、リユース品は新品のおよそ半分の価格になっています。

ヤマダホールディングス経営企画 清村浩一室長:「並んだ製品は1週間ですべて入れ替わる。前年比5倍で、売り上げが伸びています」

この売り上げ急増を受け、「リユース家電」の展示台数を1年前の3倍に拡大。さらに去年、中古品を再商品化する工場を増設し、生産能力も3倍にアップしたといいます。

清村室長:「昨今、物価が高くなったことで、家電製品も新しい製品はかなり価格が高くなり、できるだけ節約をしたいというお客様がリユース家電を選ぶ」

中古の家電を見に来た男性:「今だいぶ(新品の)価格も高騰してきたので、中古品でも良い価格で、きれいであればいいかなと思って」

新品の価格も上がるなか、「少しでも安いリユース家電」を求めて多くの客がやってきます。

様々な種類の冷蔵庫を、開けたり閉めたりする男性の姿があります。

男性:「(Q.色々見ていましたが…?)製氷機が付いている冷蔵庫が便利」

お酒が好きなため「自動製氷機付き」に、強いこだわりがあるといいます。

冷蔵庫を見に来た男性:「(リユース家電は)値段が安い。離婚して、僕は出ていくものですから。小さい冷蔵庫でいいかなと。これに決めるかな。安いから」

結局、安さを優先し、製氷機が付いていない1人用の冷蔵庫の購入を決めました。

冷蔵庫を見に来た男性:「作りますよ、氷。100均でパレット買って…」

一方、こちらは男性が今、洗濯機の写真を撮っています。どうしてでしょうか?

洗濯機を見に来た男性:「両親がずっと、斜めドラムの洗濯機を使っていたけど、調子が悪くなってしまった。2人とも高齢だから、『最後に使うんだったら、新品ではなくて中古でもいい』。(両親は)年金暮らしだから、10万円ぐらいで買える洗濯機を探している」

「使い方次第では中古で十分」というのも、リユース家電が人気の理由の一つ。男性は8万3000円の洗濯機の写真を両親に送り相談。近々、両親を連れて、来店する予定だといいます。

リユース業界全体の市場規模は年々拡大し、2021年はおよそ2.7兆円。そして、2025年には3.5兆円にまで成長すると見込まれています。

一方、「中古の家電」のイメージについて街の人は、「汚れ」や「故障」を心配する声も聞こえてきます。

50代:「やっぱり衛生面ですかね。『もしかしたら、きれいじゃないのかな?』とか…」

70代:「すぐ故障しちゃったら、やっぱり古かったかなと…」

いえいえ、中古品と侮るなかれ!売り場に並ぶまでを追跡すると、徹底した品質管理があったのです。

■中古品を蘇らせる…“徹底した品質管理”

取材班が向かったのは今、売り上げ急増中の「リサイクルショップ」です。電子レンジに冷蔵庫、エアコンなど、2000点以上の中古の家電を扱っています。

この店の倉庫に行ってみると、次から次へと家電が運び込まれていきます。

リユース家電Happy 松本智輝店長:「すべて一般家庭使われていた製品。『中古品』ということになる」

一般家庭から使わなくなった家電を買い取り、倉庫へ。“中古品の山”ができていました。

松本店長:「これだけの数があっても、(在庫が)1カ月持たない。冷蔵庫も洗濯機も何百台と持っていないと対応できませんので。これからクリーニング作業、分解をしたり、徹底したクリーニングを行います」

仕入れた家電はそのまま販売するのではなく、分解洗浄を行うとのこと。洗浄を担当するのが、72歳の庄司純代さん。分解洗浄歴10年以上、“商品を蘇らせる達人”です。

この日作業するのは、2019年製の洗濯機。外見からは、汚れはほとんどないように見えますが、洗濯槽を外してみると…。

庄司さん:「水あかとカビです。あと、サビですね」

洗濯機の内部には、汚れがびっしり。手洗いで、汚れを落とします。

庄司さん:「(Q.こすって掃除する?)こすって。お湯を使っています。せっけんが溶けやすいように」

そして、分解できないパーツは“秘密兵器”を使います。

庄司さん:「“エアー”といって、強力な空気を出して(汚れを)飛ばす」

「エアーコンプレッサー」と呼ばれる機械です。こびり付いた汚れが、あっという間にきれいになりました。これで洗浄終了かと思いきや、取り出したのはカッターです。

庄司さん:「ここが、けば立ってしまっている。カッターで削っちゃいます。主婦だから、ちょっと気になることがあると、それをどうにかしようとして。これだったら、主婦の人たちも喜ぶかなと思って」

庄司さんの“主婦目線”で磨かれた洗濯機は、見違えるほどきれいに。新品同様の輝きを取り戻しました。

部品を組み立て終わると、綺麗になった洗濯機をじーっと見つめる男性がいます。一体、何をしているのでしょうか?

リユース家電Happy 修理担当 安田恵三さん:「異音。変な動作音がしないかを確認」

修理担当の安田さんです。清掃後、家電が正常に作動するかをチェックします。

そして今度は、洗濯機の底をのぞき込み、何かを確認しています。

安田さん:「ここにモーターの線がある。ここが切れてるのが、たまにある。そういうのも、今のチェックで」

これは、配線などに劣化が見られる中古の洗濯機を使用した実験映像。すると、煙が出始め炎上しました。

中古の家電には、経年劣化によって内部の破損が見られるものもあり、発火事故を防ぐためにも、細部まで確認することが特に重要です。

松本店長:「漏電もチェックしないと、やはり安心しては使えない。本当に新品と同じような感覚で使って頂くためにも、しっかりした動作チェックとクリーニングをやっています」

中古の家電は「ただ安い」だけではない!人気爆発の裏には、徹底したクリーニングや品質管理といった、努力と工夫がありました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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