放送めぐる“内部文書”公開 「言論弾圧では」官邸内にも懸念 政府内の“攻防”(2023年3月7日)

放送めぐる“内部文書”公開 「言論弾圧では」官邸内にも懸念 政府内の“攻防”(2023年3月7日)

先週、野党の議員が公表した放送法をめぐる政府内の議論を記したとされる内部文書について、総務省は7日、これが“行政文書”だと認めました。
ただし、今もって、真偽のほどがわからない部分もあるそうです。文書は、全78ページ。その多くは、右肩に『取扱厳重注意』と記されています。
松本総務大臣:「今回公表する行政文書の一部については、その記載内容の正確性が確認できないもの、作成の経緯が判明しないものがある点にはご留意いただければと思います」

時は安倍政権。発端は、礒崎総理補佐官からの問い合わせだったようです。
礒崎陽輔総理補佐官(当時)2014年11月28日:「長年にわたり積み上げてきた放送法の解釈をおかしいというつもりもない。他方、この解釈が全ての場合を言い尽くしているかというと、そうでもないのではないかというのが自分の問題意識。1つの番組で明らかにおかしいと判断できる極端な場合はどういうものか」

政治的公平について、総務省は、1つの番組だけでなく、その放送局が流す番組“全体”をみて判断すべきと解釈してきました。磯崎氏は、この解釈のあり方に疑問を呈したというのです。文書によれば、総務省の提案に対し、礒崎氏は、繰り返し、書き直しを求めたといいます。
礒崎陽輔総理補佐官(当時)2014年12月25日:「これでは抽象的すぎてわからない。もっと意に沿ったものを持って来てほしい」

話は、国会での質疑と答弁という形で、放送法に新たな解釈を加える方向へと流れていきます。番組が7日、礒崎氏に話を聞いたところ、「放送法で規定する『政治的公平』について、総務省と意見交換をしたのは事実」だと認め、「当時は、テレビ番組のいろいろな状況があったなかで、もうちょっと解釈が明確にならないかと思った」と話しました。

こうした動きに、官邸内では懸念の声があったようです。「言論弾圧ではないか」「本気でこの案件を総理に入れるつもりなのか」「総務省も恥をかくことになる」など、総務省出身の山田総理秘書官が発したという言葉が記録されています。

文書には、このような記述もあります。
礒崎陽輔総理補佐官(当時)2015年2月24日:「この件は俺と総理が二人で決める話。俺の顔をつぶすようなことになれば、ただじゃあ済まないぞ。首が飛ぶぞ。もうここにも来ることができないからな」

この日の出来事について、磯崎氏は7日、「役人が法解釈ではなく、官邸での手続きにまで口を挟んできたので、不適切な言葉を使ってしまったかもしれない」と説明しています。

文書では、礒崎氏が、安倍総理に説明した際の結果も記されています。総理の反応は、前向きだった模様です。総理からは、このときに、国会答弁の場を総務委員会とすることや、総務大臣から答弁してもらう指示が出されたそうです。答弁する役回りとなるのは、当時の高市大臣。報告を受けた高市氏の反応です。
高市総務大臣(当時)「本当にやるの?これから安保法制とかやるのに大丈夫か」

このころは、特定秘密保護法が成立し、次なる政権目標として、安保法制の整備を進めようとしている時期でした。
高市総務大臣(当時):「民放と全面戦争になるのではないか」

慎重な姿勢を示したとされる高市氏ですが、その後、大臣として、この文書に沿った答弁を読み上げています。
高市総務大臣(当時)2015年5月:「1つの番組のみでも、国論を二分するような政治課題について、不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合といった極端な場合は、一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないものと考える」

ただ、一連の経緯が記録された今回の行政文書について、高市氏は、信憑性を疑問視。捏造だと主張しています。7日の総務省の発表を受け、高市氏は、こう述べました。
高市経済安保担当大臣:「私に関しての部分は4枚。4枚とも拝見をいたしましたが、“作成者が書いていない”“日時が特定できていない”“内容が不正確”。これは不正確であると理解しています。大臣を辞職する、議員を辞職すると迫られるのであれば、場合によっては、4枚の文書が完全に正確なものであると、相手様も立証されなければならないのでは」

野党が追及するのは、官邸の介入によって法解釈が歪められていたのではないかという点です。
立憲民主党・安住国対委員長:「これは民主主義社会の中で、一番あってはならないことだが、それをこともなげにやった安倍政治が、いかに世の中をねじ曲げてきたか。そういう脅しもあって、放送機関が萎縮したとすれば、本当に負の遺産になったのではないか」
共産党・小池書記局長:「自分たちの意に沿わない番組。放送法の解釈を変えて圧力をかけたと。これ民主主義社会では絶対あってはならないこと。真相の解明、さらに解明しなくてはいけません。礒崎陽輔氏については、証人喚問を求めます」

いま政権をあずかる総理の認識は。
岸田総理:「放送法の解釈については、放送法を所管する総務省において、責任をもって整理をし、従来の解釈を変更することなく、補充的な説明を行ったものと承知をしており、その経緯については、放送法を所管する総務省において、国民にわかりやすく、適切に説明することが重要である」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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