狙われた被災地「福島の闇リスト」内情に詳しい人物語る犯罪グループの“目線”(2023年3月5日)

狙われた被災地「福島の闇リスト」内情に詳しい人物語る犯罪グループの“目線”(2023年3月5日)

福島県で強盗事件が相次ぐ中、犯罪組織が悪用する“闇の個人情報リスト”
番組の取材で、福島の被災者をターゲットにした“闇リスト”の実態が明らかになりました。

▽被災地で狙う「原発事故の賠償金など」
(“闇リスト”の内情に詳しい人物)「東日本大震災で被害にあわれた、特に原発事故で被害にあわれた、その方たちに支払われた賠償金の額が大変な金額なんですよ。一度にたくさんの金額をもらったら、当然そこが狙われてしまうのは必然的なものだと」
先週、日曜日。福島県南相馬市で起きた強盗殺人未遂事件。被害にあった星邦康さんの妻が出したコメントには、“闇リスト”の存在が記されていました。
(星さんの妻)「夫の名前の載る闇リストの存在は震災以前から承知していた。私たちなりに日々防犯に努めていましたが、このような事件にあってしまいました。」
警察によると10年程前に逮捕された詐欺グループからリストを押収。その中に被害にあった星さんの名前が記載されていて、注意を呼び掛けた事があったといいます。番組で“闇リスト”の実態を知る人物を取材すると、福島県をターゲットにした名簿は、震災後の新たな情報を盛り込み、犯罪グループに出回っていることが明らかになりました。

Q. このリストは?
(“闇リスト”の内情に詳しい人物)「福島県の“ターゲットリスト”になります。」
Q. 全部で何件くらいある?
「全部で1640件」
Q. その他にはどういう情報が?
「どこの勤務先か、それからこれが現金の金額。ゆうちょ銀行取引とか残高が分かってしまうってことですよね」
Q. 今回被害に遭われた方のデータも?
「はい、入ってます。この方ですよね南相馬の…」
Q. 星さん?
「はい」
Q. あ、ありますね、名前…
「住所、名前、電話番号全部あって…」
このリストには資産額の項目があり、1億円を超える高額資産も記載されています。今年に入り起きた福島県での被害者3人の内、2人の情報も記されていました。
「もともとは東日本大震災のあと2年後くらいで、福島で原発マネーで成り金になった人がいるので、そこの部分を何とかしてお金をとれないかというのがあった。投資なりアンケートという形で電話かけたり現地調査にいった形でリストを整理していったのがこのリストなんです。」
実際に福島では原発事故の被害者への賠償や除染などの復興作業に大きなお金が使われています。被害者の星さんの敷地内には、復興の作業員の宿舎もあります。
(星さんの友人)「作業員の宿舎にして何人か泊めて、作業員は除染とかそういうのだな。復興のために小屋(宿舎)もそういう感覚で作った。」
“闇リスト”に一度記載された情報は常に更新されていました。このリストから犯罪グループがターゲットにするのは…
(“闇リスト”の内情に詳しい人物)「例えばこの方なんかは狙われる可能性ありますね。年収も分かってる、現金も分かってる、投資に興味ある。しかもこの方、70歳前ですよね。しかも中身を見ると70歳くらいで年収500万とういことは何らかの仕事をしているか、年金ではあり得ませんからそれなりの収入があるでしょうね。例えばアパートを経営しているかもしれませんし、そういうところからここに対して次の調査をかける。」

▽「闇のリスト」から分かる犯罪組織の“視点”
今年に入り福島県内で相次ぐ凶悪な事件。1月15日、いわき市の根岸三男さん(77)が自宅1階の寝室で仰向けに倒れているのを妻が発見。その場で死亡が確認されました。
果たして、犯罪グループは下見をする際、どのポイントに注目しているのでしょうか…。
(“闇リスト”の内情に詳しい人物)「ここ4~5年の間に門を作り替えたり、家の建て直したり、基本的に高齢者の方が簡単に銀行でローンが組めるとは思えないんですよ。当然支払いは現金ですよね。明らかにそうすると高齢者であってもそれだけお金をお持ちならば、実際家にお金は置いてあるだろうとアタリを付けられてしまうんです。それから高級車。どういう支払いをしているのだろうと思ってきます。」

さらに、この現場からおよそ7km離れた場所でも強盗殺人事件が起きています。
(鴇田明信ディレクター)「先月3日、午後7時頃、いわき市勿来町の住宅で1人暮らしの小松ヤス子さん85歳が一階の廊下で血を流し死亡しているのが見つかりました。」
警察によると小松さんの頭には複数の傷があり、頭蓋骨は骨折していたといいます。さらに自宅は荒らされた形跡がありました。小松さんの名前は今回我々が取材した“闇リスト”の中にも記載されています。何故狙われたのでしょうか。
(“闇リスト”の内情に詳しい人物)「お年、それからこの土地、場所…単純にこのリストから見て、このリストから狙われたというのは分かりにくい…現地調査、あるいは電話のアポ電の時に出てきた情報がベースになっている可能性はある。」
実際、小松さんの自宅周辺を取材してみるとその答えが分かりました。
(近所の住民)「昔から億万長者って言われていたんですよね。近所の人はお金あるってことはみんな分かってたんです。」
犯罪グループは下見によって情報を追加していくといいます。さらに番組は“闇リスト”を元に南相馬市の現場周辺を取材。すると事件前に不可解な動きがありました。
(“闇リスト”に名前があった人)「(2、3カ月前に)貴金属の買い取りだなどの電話はある。指輪とかネックレスとか言って電話よこす人がいた」
さらに、震災前にはオレオレ詐欺らしき電話もかかって来たといいます。去年、地元警察からは注意喚起の手紙も…
(“闇リスト”に名前があった人)「茶封筒に入っていて、何事かと思って私開けたら、リストに載っているから気を付けてくださいという手紙だった。(周辺の人には)誰にも言わなかった。下手にいうと怖くなるから言わなかった…」
一度記載されると回収は不可能だという“闇リスト”。被害総額60億円以上とも言われる一連の強盗事件は今後も別の形で起こり得るといいます。
(“闇リスト”の内情に詳しい人物)「たまたま60億円が取れたってことを他の組織の連中が『あの連中でも60億とれるんだ、うちもとれるだろう』って当然味を知ってくるのはある、出回っているリストはほとんど一緒ですからやり方が変わってくるだけでなくなることはない。」

3月5日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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