【独自】ウクライナ空軍 エースパイロットが語る“空の戦いの現実”…週に20回出撃も(2023年2月28日)

【独自】ウクライナ空軍 エースパイロットが語る“空の戦いの現実”…週に20回出撃も(2023年2月28日)

 ロシア軍の侵攻開始から1年。今も、激しい戦闘が続くウクライナ。そんなウクライナの戦況は今、どうなっているのか。26日、最前線で戦う一人の兵士に話を聞くことができた。

■日々の任務は?…侵入を撃墜 週に20回出撃も

 ウクライナ空軍パイロット ワジム・ヴォロシロフ少佐(29):「私はウクライナ空軍の戦闘機パイロット、ワジム・ヴォロシロフ少佐、29歳です」

 ヴォロシロフ少佐は、ウクライナの主力戦闘機「ミグ29」で、日夜防空任務にあたっているエースパイロットの一人だ。

 ヴォロシロフ少佐:「最前線は今、厳しい状況にあります。マスコミはよく、ロシア軍が“素人同然だ”と言ったりしますが、ロシア軍の力を過小評価してはいけません」

 パイロットは、日々どのような任務をこなしているのだろうか。

 ヴォロシロフ少佐:「一番の任務は、空から侵入してくる敵を撃墜することです。『シャヘド136』などの小型の自爆型ドローンや大型のドローン、それにもちろん、敵の戦闘機です。さらに、地上の目標を攻撃することもあります」「空軍は全国に分散していて、各飛行隊はローテーション制です。例えば、南部の部隊がキーウ方面に移動して、ミサイルの迎撃作戦を行い、翌日、南部に戻って、別の任務に就くということもあるのです」

 もちろん、任務が1年中続くわけではないという。

 ヴォロシロフ少佐:「空軍は医療班がパイロット全員の健康をチェックしています。休みをもらったり、家族に会う時間も与えられますよ。最も戦闘が激しかった時期は、週に20回出撃したこともありましたけどね」

■1日に5機撃墜の大戦果で「ウクライナ英雄勲章」

 ヴォロシロフ少佐:「結婚はしています。子どもはまだいません。家族は皆、私の仕事を理解してくれていますし、幸いなことに皆、無事に暮らしています」

 彼の任務中の呼び名であるコードネームは「カラヤ」。去年、その名は一躍、ウクライナ中に知れ渡った。

 ヴォロシロフ少佐:「去年の秋には、ジトーミルやイジューム方面、そして南部方面の守りに就いていました。南部での作戦中に機外に脱出することになり、リハビリを受けて再び任務に戻りました」

 彼は去年10月、イラン製とされる自爆型ドローンを1日に5機撃墜するという大きな戦果を挙げた。だが、運悪く、5機目の破片が自分の機体やコックピットに当たってしまい、傷を負い、緊急脱出したという。

 その時、パラシュートで降下している自分を撮影したヴォロシロフ少佐の“自撮り動画”だ。

 こうした活躍が認められ、去年12月、ゼレンスキー大統領から「ウクライナ英雄勲章」を授与されている。

 ヴォロシロフ少佐:「現在、ロシア軍機は、あまりリスクを冒さず、自分たちが安全に飛べる範囲だけを飛んでいます。ロシア戦闘機のミサイルは、ウクライナのミサイルより遠くまで飛びますし、レーダーも遠くまで届き、正確ですから。ウクライナの防空圏に入らずに、外側から攻撃してくるのです。我々は、前線に近づいた時には、できるだけレーダーで発見されないように、高度50メートル以下で飛行しなければなりません。空軍に関しては、敵のほうが量的にも技術的にも優位に立っていると思います」

■「空の状況が一変した」レーダー破壊ミサイル

 そんなロシア軍に対し、ウクライナ空軍がこれまで持ちこたえられている理由とは…。

 ヴォロシロフ少佐:「我々が、これまでロシア軍に対抗できている理由は、ウクライナ空軍の兵士全員が高いモチベーションをもって戦っているという点です。それに加えて、戦場では西側諸国から供与された、『HARM(ハーム・AGM-88)』という、レーダーを破壊するための専用のミサイルにとても助けられています。このミサイルのおかげで、空の状況が一変しました。ロシア軍が最前線に置いていた防空レーダーを破壊して、ずっと後方に追いやることができたのです。他にも、アメリカ製の精密誘導爆弾JDAM(ジェイダム)も、とても効果的です」

 さらに、ゼレンスキー大統領が強く求めているF16戦闘機の供与については、どう考えているのか。

 ゼレンスキー大統領:「ウクライナのために戦闘機を!自由のための翼を!」

 ヴォロシロフ少佐:「F16戦闘機は、ウクライナに勝利をもたらす兵器だと思います。戦場にF16が投入されれば、ウクライナの勝利が早まることになると思います」

 1年に及ぶ過酷な戦い。だが、ヴォロシロフ少佐は力強くこう語った。

 ヴォロシロフ少佐:「ウクライナは間違いなく、必ず勝ちます。私は自信をもって、そう言うことができます。ただし、この戦争がいつまで続くかは、ウクライナにどれだけ近代兵器を供与してもらえるかにかかっていると思うのです。現代の戦争は、テクノロジーの戦争でもあり、兵士の数だけで勝負が決まる時代ではありません」

 現場の兵士も強く求める戦闘機供与に向け、西側諸国が協議を始めているという。果たして、今後のウクライナ情勢に、どんな影響をもたらすのだろうか。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年2月28日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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