【独自】都会から長野へ 課題は「どう受け入れられるか」…“移住生活”3家族に密着【もっと知りたい!】(2023年2月21日)

【独自】都会から長野へ 課題は「どう受け入れられるか」…“移住生活”3家族に密着【もっと知りたい!】(2023年2月21日)

 都会から地方への移住者にとって課題となるのが「どう地域に受け入れられるか」です。長野県飯島町に移住した3つの家族を取材すると、それぞれのやり方で溶け込もうとする姿がありました。

■初の田舎暮らし 地域住民と雑木林を切り開く

 2つのアルプスをのぞむ飯島町。中央アルプスと南アルプスに囲まれ、雄大な景色が広がります。

 電車だと東京から4時間ほどかかりますが、比較的雪が少ない気候に恵まれ、首都圏からの移住者も多く集まっています。

 山あいの雑木林で木を切るのは、飯島町に移住したばかりの神座想さん(32)。東京の公立中学校で英語の教師をしていました。

 神座さんが切り拓いているのは、およそ6000平方メートルの広大な土地です。去年夏、移住体験を通じて見つけました。

 神座さん:「田舎暮らしはしたことがないので。近くの人たちがどうかが大事と聞いているので、近所周りや自治会の人と話してみて。そこに何度も行ってみて、その土地にするかを決めたいと考えている」

 東京から何度も足を運び、移住するか悩んでいた神座さん。取材した後、大きな決断をしていました。

 神座さん:「人とつながっていって自分に足りないものがあっても、行ったら誰かが助けてくれるという安心感と確信が持てた」

 移住を決めた神座さんに協力しているのは、この男性です。町で長年、古墳の発掘など歴史の調査をしてきた地域をよく知る人物です。

 神座さん:「井戸はどうやっていくのが良い?」
 元飯島町文化財調査委員・伊藤修氏:「20~30メートル掘ったら良い水が出る。もしかすると、この辺りでも良い水が出る可能性はある」

 雑木林を切り開く際には、協力してくれる地域の人も紹介してもらいました。

 伊藤氏:「他にも知り合いがいるんですけど、そういう整備を専門に請け負っている」

 3年後にここで宿を開くという夢の実現に向けて、地域の人に支えられながら汗をかいています。

 神座さん:「どのくらいかかるかというのは、まだ実感が湧かない。1人じゃなくて、できる限り色々な人たちと一緒にできたらなと思っています」

■古民家を夫婦で改築 「地域の人集まる井戸端に」

 古民家からせわしなく響く工具の音。去年の春から築100年以上の古民家を改築している新家さん夫妻。

 新家淳史さん(66):「入るかどうか、これが結構入らないんですよね」

 せっかく作った扉が入りません。ところが逆さまにすると…。

 淳史さん:「逆さまにすると入る」「(Q.なぜ逆さまだと入る?)きっと(上下で)寸法が微妙に違うんだと思う」

 取材中、ビデオカメラで撮影しているのは妻の敦子さん(66)です。2人は互いの作業を記録しあっていました。

 業者にアドバイスをもらいながら、ボロボロになって使えなくなった壁などを撤去しました。

 敦子さん:「また外れた。1000円のハンマー」
 淳史さん:「窓枠を外そうとしています。世紀の瞬間。あ~雄たけび~、やったどー。ばっちしだ~」

 去年夏に取材した時には、天井も壁もない状態でしたが、屋根裏が見えていた天井はきれいに作り直され、部屋の真ん中にはカウンターキッチンができていました。

 淳史さん:「やっぱり気に入ってるところは…。自己満足はカウンターと最初に造った風呂場の戸、初めて造った洗面所の入り口」

 自らの手で作り上げていく家。壁や天井の一つひとつが思い出になります。取材で訪れた日の夜…。

 淳史さん:「きょう、初めてここでご飯を食べるんです」

 記念すべき初めての食事。メニューは地元・長野県特産の和牛のしゃぶしゃぶです。さらに、この日は…。

 敦子さん:「きょうが誕生日なんです。だから、ごちそうなんです」

 特別な夜を自分たちの手作りの家で過ごすことができました。そんな夫妻の夢は、この家で地域の人たちと交流することです。

 淳史さん:「地元の方が集まれる集いの場所が提供できたらなと思う。近所の井戸端会議を、ここでお茶を飲みながらやってほしい」

■“シェアキッチン”でイタリア料理店 隣町からの仕事も

 いざ移住して店を開いても、地元客に来てもらえるかといった不安。地域に住む人たちの協力で悩みを解消した移住者もいます。

 中央アルプスを背景にする好立地のカフェ。ここでイタリア料理店を営んでいるのは、入田拓也さん(39)です。千葉県出身で、妻の裕加里さん(33)と店に立ちます。

 料理に使う食材は地域で取れた野菜や果物が中心です。例えば、このリンゴ。飯島町のリンゴを使ったトマトソースは、地元食材とイタリア料理を結び付ける独自のレシピです。

 ソノフェリーチェ・入田さん:「タマネギの代わりに甘味が出るかなと思って。(この地域では)煮物にリンゴを入れるみたいな」

 入田さんは両親と娘2人、3世代6人で移住しました。娘2人の面倒は一緒に移住した入田さんの両親が見てくれます。

 入田さんは3年前に移住していましたが、コロナ禍で自分の店を出せない状況が2年半続きました。そこに…。

 入田さん:「僕が出店する場所を探して四苦八苦していた時に、このキッチンを借りてみて。2日でもいいから定休日を借りてみたらという話がスタートでシェアキッチンとして始まった」

 入田さんが料理を提供しているのは 定休日だけを間借りするシェアキッチンです。一緒に移住した母親がカフェのオーナーに相談し、借りられることになりました。

 入田さん:「地元の人が知っている場所がスタートなので、場所が説明しやすかったり、お客さんが来るきっかけになりやすかったりというのがある」

 ここでの味が評判を呼び、今年に入ってからは、別の場所でもキッチンを借りて週5日営業できるようになりました」

 隣町からの仕事も舞い込んできているということです。

 入田さん:「自分のお店が建つ前に、自分の料理を知ってもらって、ゆくゆくは自分の店を持つのが最終目標」

(「グッド!モーニング」2023年2月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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