【報ステ解説】「ブラジルのトランプ」支持者が暴徒化 “米議会襲撃”と類似 背景は(2023年1月9日)

【報ステ解説】「ブラジルのトランプ」支持者が暴徒化 “米議会襲撃”と類似 背景は(2023年1月9日)

ブラジルで8日、ボルソナロ前大統領の支持者が集まり、議会や大統領府などを襲撃しました。

きっかけとなったのは、去年10月に行われたブラジル大統領選挙。決選投票の末、僅差でルラ氏が当選し、ボルソナロ氏は敗北しました。ただ、ボルソナロ氏は、大統領選で使われる電子投票は「不正だ」と主張してきたこともあり、権限移譲の手続きには容認したものの、今回の敗北を認めていません。また、今回の襲撃に至るまでに、敗北を受け入れられない一部の支持者が、各地で抗議活動を続けていました。

敗北したボルソナロ氏は、奔放な言動で『ブラジルのトランプ』とも呼ばれており、経済優先で国際協調を嫌う政治信条は、トランプ氏に近いです。今回の事件との関連性はわからないものの、ワシントンポストの報道では、大統領選後の去年11月、現職の下院議員でもあるボルソナロ氏の三男が、トランプ氏の牙城であるフロリダ州を訪れ、トランプ氏と会談。さらに、トランプ氏の側近だったバノン氏とも会談し、ブラジル大統領選の結果への抗議活動について、今後の戦略を話し合ったと報じています。

ボルソナロ氏本人は現在、CNNなどによりますと、フロリダ州に滞在中とみられます。

◆ブラジルの首都・ブラジリアにいる朝日新聞の軽部理人サンパウロ支局長に聞きます。

(Q.ボルソナロ前大統領の動向が気になりますが、何か情報は入っていますか)
ボルソナロ氏は現地時間8日9時ごろ、ツイッターを更新して、暴徒化した支持者らを非難しています。一方で、自身が何をしているかは、ほとんど明かしていません。ブラジルメディアによりますと、ボルソナロ氏は去年12月30日、任期の最終日前日にブラジルを出国して、アメリカ・フロリダ州に滞在しているといいます。その後、移動したという話は出ていないので、恐らく今もフロリダにいると思います。ボルソナロ氏本人が、トランプ氏やバノン氏と会ったという情報はありませんが、可能性はゼロではないと思います。

(Q.ブラジルでアメリカと同じような暴動が起きたことについて、背景には何があると見ていますか)
ブラジル各地では、選挙後も毎週のように抗議活動が行われていました。選挙前から、2年前のアメリカの議事堂襲撃事件以上のことがブラジルで起こる可能性があるという危惧はありました。今月1日にルラ大統領の就任式がありましたが、それをきっかけにボルソナロ政権の継続をあきらめる支持者も多く、抗議活動をする人も少し減少傾向でした。地元メディアによりますと、それに危機感を抱いた先鋭的な支持者が、大規模な抗議活動をブラジリアで行うよう呼び掛けて、一部が暴徒化したのが、今回の事件につながったと思います。

(Q.今回の暴動に、ボルソナロ氏が関わっている可能性はありますか)
それは何とも言えませんが、ボルソナロ氏は、選挙の前から「電子投票は不正だ」と言い続けてきました。支持者に、そう思わせることで、自分が選挙に負けたときの保険になること。彼としては、いつでも復権したいという気持ちがあると思います。私は、昨晩9時ごろにブラジリアに入りましたが、その後、多くの支持者に聞きました。彼らは「抗議活動を続ける」と言っていたので、今後も同じような暴動が続く可能性があると思いますし、社会が融和される見込みはまったくありません。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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