三木由希子×神保哲生:民主政治の根幹を担う情報公開制度をみんなで使い倒そう

三木由希子×神保哲生:民主政治の根幹を担う情報公開制度をみんなで使い倒そう

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ディスクロージャー & ディスカバリー 第1回(2022年11月1日)
司会:三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)、神保哲生(ジャーナリスト)

 今月から始まる新番組、D&D(ディスクロージャー & ディスカバリー)。「ディスクロジャー」は行政や企業が行う情報公開を、「ディスカバリー」は民事訴訟で証拠の開示を求める手続きを意味する。いずれも情報公開におけるもっとも重要な概念だ。

 民主主義体制の下では、市民が権限を負託した政府が正しく情報を開示しなければ、われわれはその権力が正しく行使されているかどうかを判断できない。そのため民主主義が正常に機能するためには、行政情報の公開は不可欠だ。日本がなかなか変われないのも、日本の情報公開が遅れているために、主権者である国民が正しい情報を十分に提供されていないところにその原因の一端があると言えるだろう。

 また日本では記者クラブや番記者制度、夜討ち朝駆けなどの非公式な取材活動を通じて、本来は開示されるべきではない行政情報がメディアにリークされることも多い。開示基準が厳格に定義されていないと、情報を持っている政治や行政の裁量の幅が大きくなり、それがメディアと政府の癒着を生む根本的な原因となっている。

 この番組では情報公開専門のNPOの代表として、これまで数々の重要な情報公開請求を行ってきた情報公開問題の第一人者、三木由希子氏と、アメリカの情報公開制度を駆使した取材経験が豊富なジャーナリストの神保哲生が、現在の日本が抱える諸問題を情報公開の観点から一つひとつ掘り下げていく。特に、森友学園の内部調査資料の開示問題から沖縄米軍基地や日米地位協定、日米合同委員会の情報開示に関わる諸問題、新型コロナ専門家会議の議事録や宗教法人に対する情報開示請求など具体的な事例をもとに、本来公開されるべき情報が公開されていない実態や、情報公開が実際に世の中を変えていく原動力になり得ることなどを例示していく。

 日本では1999年に情報公開法が制定され(施行は2001年から)、行政情報は原則開示が義務付けられた。しかし、まだまだ開示基準にはグレーゾーンの部分も多く、行政はその時々の政権にとって不都合な情報は得てして黒塗りの「のり弁」状態で出てくる事例が後を絶たない。また、開示請求する側も、十分に制度を使えこなせていない場合が多いのが現実だ。

 そこで第一回目となる今回は、情報公開制度の概略を解説した上で、沖縄返還密約やイラク戦争検証報告書、日米合同委員会議事録、森友学園問題に至るまで、NPO情報公開クリアリングハウスが取り組んできた数々の情報公開訴訟の事例から制度の諸問題を検証した。また、霊感商法などその非社会的な性質が明らかになりながらも、公益法人として税制優遇を受けている旧統一教会などの宗教法人の情報公開のあり方についても議論した。

【プロフィール】
三木 由希子(みき ゆきこ)
NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長
1972年東京都生まれ。96年横浜市立大卒。同年「情報公開法を求める市民運動」事務局スタッフ。99年NPO法人情報公開クリアリングハウスを設立し室長に就任。理事を経て2011年より現職。共著に『社会の「見える化」をどう実現するか―福島第一原発事故を教訓に』、『情報公開と憲法 知る権利はどう使う』など。

神保 哲生(じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。

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(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

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