逃亡先で投資勧誘、ナマズ養殖も…“詐欺家族”主犯格の父親を逮捕 |TBS NEWS DIG

逃亡先で投資勧誘、ナマズ養殖も…“詐欺家族”主犯格の父親を逮捕 |TBS NEWS DIG

家族ぐるみで給付金10億円をだまし取ったとみられている詐欺事件で、主犯格の父親が潜伏先のインドネシアで逮捕されました。
父親は現地で新たな事業を始めようとしていました。

■逮捕の主犯格 現地会見に同席

日本時間8日午後2時半から始まった、インドネシアの入管当局の会見。

オレンジ色の服を着て、壁際に連れて行かれた男。
詐欺容疑で指名手配されていた谷口光弘容疑者です。背中には「外国人の拘留者」を示す文字。髪は短く、顔は日焼けし、下を向いていました。

当局は谷口容疑者を立ち会わせたまま、会見にのぞみました。

インドネシア当局の会見
「警察からパスポートが切れている男がいると報告があったので、私たちは捜査チームを結成し、彼のところに行って身柄を確保しました」

■現地でナマズの投資話も

谷口容疑者は現地7日夜、スマトラ島南部ランプン州のカリレジョ村で身柄を拘束されたということです。この村は首都ジャカルタから北西に230キロの位置にあります。

インドネシア当局の会見
「捜査の結果、この外国人は1週間ぐらいカリレジョ村にいて、現地の人たちに魚に投資しないかと声をかけていました」

家族ぐるみでコロナの持続化給付金を10億円近くだまし取ったとみられる谷口容疑者。
2年前にインドネシアに出国し、今度は魚の養殖事業の投資話を現地で持ちかけていたというのです。 

インドネシア当局の会見
「谷口容疑者が住んでいたのはジャカルタです」

谷口容疑者はジャカルタを拠点にし、カリレジョ村には最近やってきたといいます。

谷口容疑者が潜伏していたカリレジョ村の村長
「私が知っているのは、彼はここでビジネスをするためにやって来たということです」

潜伏していた家はレンガ造りのようで、その家の前には「魚を売ります」の看板が。
家主は現地で人気のナマズや、高値で取引されるグラメという魚の養殖もやっていたとみられます。
周辺住民に聞くと、現地では養殖業が盛んだといいます。

潜伏先の近隣住民
「私も店の横にグラメという魚を育てる池をつくっています」

自身も養殖をやっているという男性は、最近谷口容疑者とみられる日本人がやってきた話を聞きつけていました。

潜伏先の近隣住民
「この場所でグラメの養殖場をつくる予定だと聞きました。日本人社長がグラメを買い取ってくれるので、養殖場をつくっても売れない心配はないと聞きました」

現地のニュースサイトは谷口容疑者を自宅に泊めていた男性の証言を伝えています。

谷口容疑者を自宅に止めていた男性(現地ニュースサイトより)
「彼は魚の稚魚に投資したいと考えていて、すでに私の池に約80万匹の稚魚を飼っていました。7日に身柄を拘束された後、服が入った赤と黒のスーツケースとノートパソコン、携帯電話、車が残されています」

家族が逮捕される中、インドネシアで新たな投資話を画策していた谷口容疑者。

記者
「谷口さん、税金でしたけれども不正の認識あったんですか?家族が逮捕されていますけど」
「カネはどのように使ったのですか?」

記者の問いかけに応じませんでした。

■給付金詐欺相次ぐワケ 「審査は通すため」

ここに来て相次ぐ給付金の巨額詐欺事件。審査の段階で見抜くことは出来なかったのでしょうか。
審査を行う事務局で責任者だった男性は、当時、申請を通すスピードが最も重視されていたと話します。

持続化給付金の審査事務局 元責任者
「審査をするのは落とすためではなくて通すためだと、口で言わなくても感じながら」

男性がいた事務局は、中小企業からの申請の審査を担当していました。

持続化給付金の審査事務局 元責任者
「20代の社長がいても、『若いね』っていうぐらい。『これ不正かな』という考えでは見ていなかったです。特に忙しい最初の方などは年齢見ずに、審査をするというのが基本の業務だった」

男性によりますと必要書類は審査を5回受けるシステムになっていたといいます。ただ、チェックしていた内容は…

持続化給付金の審査事務局 元責任者
「申請には確定申告書が基本的には必要なんですが、ここに受け取ったという『収受印』を税務署の方が押します。審査する側としてはその収受印が押されているかどうかを確認していました」

しかし、税務署の「収受印」だけでは不正をチェックしたことにならないと専門家は指摘します。

中央大学法科大学院 酒井克彦教授
「(収受印は)申告書の内容を適法・的確なものというふうにお墨付きを与えるって意味は全くない。ただ受け付けましたというだけの意味でしかない」

また少しでも不審点があれば、電話などでの確認が必要だと話します。

中央大学法科大学院 酒井克彦教授
「怪しいと思ったときにはすぐに具体的な専門的な質問をする係に変えるとか、そういう審査があるんだよっていうだけで抑止力になると思います」

警視庁は谷口容疑者の身柄について「事実関係を確認中で身元が確認されれば日本への移送に向けて調整する」としています。

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