先月28日に始まったウクライナへの人道支援を巡る安保理会合。自宅を追われた避難民が300万人に上るなか、いまだ安保理として一致した対応が取れていません。ロシアも出席するなか、文言の調整が難航しているのです。
今月14日、決議案を提出したフランスとメキシコが動きました。
フランス、ドリビエール国連大使:「ウクライナの人道状況は時間を追うごとに悪化しています。毎日、民間人が亡くなっています。毎分、難民の数が増えています。第2次世界大戦以来、欧州で最悪の人道的危機を目の当たりにしています」
メキシコ、デ・ラ・フエンテ国連大使:「国際社会が力強くメッセージを出せるようにするために、国連総会で決議に取り組むことに決めました」
193の加盟国が参加できる国連総会で決議を諮ると表明しました。常任理事国のロシアが拒否権を行使することを念頭に、安保理での採決を見送ったのです。実現すればロシアに対する非難決議の採択に続いて、ウクライナ情勢を巡って2度目の決議が採決されることになります。
これを受け、今度はロシアが動きます。明朝、急きょ記者会見を開きました。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「おはようございます。この会見をリクエストしました。ご存じの通り通常のことではありません。我々は当初からロシアを非難し、恥をかかせる偽装でなければウクライナの人道支援に関する決議を採択する準備ができていました。まだチャンスがあると思いますし、我々が作成する決議案を提出します」
フランスなどの動きに反発する形で、ロシアが独自に作成する決議案を安保理に提出すると発表しました。
会見では、そのフランスとは会話もできない状態になっていることも浮き彫りになりました。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「きのう、フランスとメキシコの大使が安保理の代わりに国連総会に決議を移すという発表を“ニュース速報”で知りました」
安保理会合では数メートル先に座っていますが、もはやニュースで動向を知るほどの距離になっているということでしょうか。一方的な主張を繰り返すロシアに報道陣は・・・。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「(Q.プーチンはいつ戦争犯罪を終わらせるのか。いつウクライナへのひどい攻撃を止めるか。いつプーチンは降参するのか?)何だって?最初の部分は理解したが、何を降参するのか?」「(Q.ウクライナへの野蛮な攻撃と戦争を放棄するか、人道支援のために立ち止まるか)特別軍事作戦の目的が達成されれば終了する。それは当初から発表されていることだ」
正面から質問に答えず、あくまでウクライナ軍から民間人を守る軍事作戦だと主張しました。
ウクライナで民間人の犠牲が相次ぐなか、アイルランドの国連大使は。
アイルランド、ジュラルディン・バーン・ネイソン国連大使:「アイルランドはウクライナの悲惨な状況に対処するにあたり、決議に人道危機の“原因”も考慮するか懸念しています。重要なことは拒否権がなく多くの国が意見できる国連総会でこの戦争が何であるのか、ロシアのウクライナへの侵略だという結果を見たということです」
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