高市政権が発足して初めての本格論戦の場となった臨時国会が、17日、閉幕しました。高い内閣支持率は維持する一方、いくつもの課題が残されたままとなっています。
■国会閉幕 補正予算成立で「平均5万円」の減税効果が?
高柳光希キャスター:
自民・維新の連立政権として初めて臨んだ国会が17日に閉幕しました。まずはその国会での成果をみていきます。
「物価高対策」などを盛り込んだ補正予算案が、18兆3000億円規模で成立しました。家計の負担はどのくらい減るのか、内閣府の試算をみていきます。
【負担軽減額の内閣府試算】
▼ガソリン暫定税率の廃止
1世帯あたり1万2000円程度(11月13日~段階的に価格引き下げ)
▼重点支援地方交付金(※支援内容は各自治体による)
水道料金など(1世帯あたり1万円程度)+おこめ券など(1人あたり3000円程度)
▼物価高対応 子育て応援手当
1人あたり2万円(18歳以下の子ども)
▼電気・ガス料金支援
1世帯あたり計7300円程度(2026年1月~3月)
あくまで車を使っている・いない、子どもがいる・いないなどにもよりますが、平均すると5万円程度の減税効果があるのではないかということです。
今国会の成果について、岩田政治部長はどう思いますか。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
2025年を振り返ると、7月の参議院選挙のときに、「物価高対策」をどうするのかが大テーマになったわけです。そして多くの方が投票に行きましたが、自民党内の混乱で総理大臣が変わるなど、政治空白が続いていました。
ようやく、このような形で収まりましたが、「電気・ガス料金支援」は2026年1月から開始ですし、「重点支援地方交付金」や「物価高対応・子育て応援手当」も、これから地方自治体が事務作業をしなければいけません。
結局、みなさんのところに恩恵が届くのは、年明け頃になっていくのかなと。
■なぜ進まなかった?「政治とカネ」の問題
高柳キャスター:
成立したものもありますが、重要な課題の中では積み残したものも多くあります。
【積み残した重要課題】
▼議員定数削減
▼政治とカネ(企業・団体献金の規制強化)
▼“年収の壁”引き上げ
いわゆる「政治とカネ」(企業・団体献金の規制強化)についても、議員立法としては結論を持ち越しています。さらに「“年収の壁”引き上げ」に関しても、16日・17日で自民党と国民民主党の税制責任者が会談を行いましたが、結論は出なかったということです。
そして、日本維新の会が連立政権を組む際に掲げていた「議員定数削減法案」も結論は見送られ、審議入りすらしていない状況です。
これについて16日、両党の党首は会談後に並んで記者団の取材に応じました。
高市総理は「まずは衆議院選挙制度に関する協議会のもとで、国勢調査の結果を踏まえつつ、自民・維新が協力して確実に成案を得ることを目指す」と話しました。
日本維新の会・吉村代表は「審議すらされずに国会が終わってしまうことは非常に残念。僕は野党の皆さんにしっかり審議してもらいたい」と発言しています。
さらに吉村代表は15日、審議入りされていない状況に「茶番劇です。自分たちの身分に関することになると結論を出さないんですから。そんな国会、本当にまっぴらごめん」と発言しています。
そもそも今国会、「まずは議員定数削減法案を成立させよう」と始まったわけですが、なぜ成立しなかったのでしょうか。
TBS報道局 岩田部長:
当初から「国会議員の定数」という各党が広く関わることについて、自民と維新が連立の合意の中に入れたからといって、「自民と維新だけで進めていいのか」という大きな疑問が、野党だけでなく自民党内にもたくさんありました。そうした中で、結局、時間切れとなったわけです。
そして今回もう一つ、「議員定数削減」が連立のテーマとして注目を集めましたが、元々「企業・団体献金の規制の強化をどうするのか」という話もくすぶっていて、本当はそれが大きなテーマだったはずが、それに関しても、今回の国会では結局成立しなかった。
ですので、「政治とカネ」の問題については、ほとんど前に進まないまま終わってしまったというような状況ですね。
■与党と野党の関係性にも変化が… 自民・維新もギクシャク
高柳キャスター:
さらに今回の国会では、与党と野党の関係性も今までと違うところがあるんですよね。
TBS報道局 岩田部長:
従来は「与党」と「野党」がはっきり分かれて、完全に対決するような国会だったわけですが、この臨時国会を振り返ると、そうではなくなっています。
まず、自民党と日本維新の会の間にも色々なギクシャクがあり、一致団結してるわけではない。そんな中で、自民党としては国民民主党や公明党の支持も得たいので、補正予算を作る上では両党の意見を少し取り込んで、結果、両党は補正予算に賛成をしました。
一方、野党第一党の立憲民主党は、「中道」という言葉をキーワードにして、国民民主党や公明党との連携に期待をしているわけですが、まだ先は見えてこないという状況です。
2026年の通常国会も、高市総理にとっては、なかなか簡単な政権運営ではないことが予想されます。さらに…
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