政府が21日にも決定する経済対策で、「おこめ券」を含む食料品の価格高騰対策を原則、すべての自治体に実施させる方向で検討していることが分かりました。
経済対策として、「おこめ券」の効果はどれくらいあるのでしょうか?
■「おこめ券」すでに配付した自治体は30以上 「無駄」と指摘の声も
井上貴博キャスター:
「おこめ券」は食料品の購入支援策として、実施の判断は各自治体に委ねられています。
すでに「おこめ券」を独自に配布している自治体は、▼東京・台東区、▼埼玉・秩父市、▼兵庫・尼崎市、▼福岡・大野城市など、30以上あります。
▼東京・台東区(全世帯=約14万世帯)
・18歳以下の子どもがいる世帯や、3人以上の世帯 8800円分
・それ以外の世帯 4400円分
▼埼玉・秩父市(全世帯=約2.6万世帯)
・4人以上の世帯 3080円分
・3人以下の世帯 2200円分
そもそも「おこめ券」とは、全国のJA・米殻店・百貨店などで購入・使用することができます。購入価格が1枚500円、引換価格が440円であり、この差額である60円が印刷代などの経費としてJAなどに支払われるというものです。
TBS報道局経済部 田中優衣 記者:
おこめ券を「無駄」と指摘される理由のひとつが「経費」です。
東京・台東区の場合、「おこめ券」に関連する区の補正予算として、約9.5億円が計上されました。そのうち、「おこめ券」を配布するための郵便簡易書留などに使用される、区の事務経費に約1.4億円必要となります。
残りの約8.1億円は、おこめ券購入費としてあてられますが、おこめ券1枚あたり60円と換算した場合、JAには約1億円が支払われます。
約9.5億円の予算のうち、▼区の事務経費の1.4億円と▼JAに支払われる1億円を足した、約2.4億円が全体経費として消えていくこととなります。差額の7.1億円しか経済効果に充てられない点において、「無駄」という声が挙がっているのです。
■「おこめ券」のメリット・デメリットは?
井上キャスター:
「おこめ券」のメリットとして、鈴木農水大臣が「できる限りスピーディーに」と発言しているように、▼高いコメが安く手に入ること、▼コメの消費喚起につながることが挙げられます。
一方、デメリットとして、▼事務経費が必要になること、▼一時的なもので、価格を下げることには繋がらないことが挙げられます。
つまり、「おこめ券」をいくら配ってもコメ価格の変動には影響しないので、対症療法でしかないという指摘もあります。
TBS報道局経済部 田中 記者:
おこめ券を使用することによって、コメの消費拡大につながるメリットがあるので、農家や関連業者はこの政策に賛成・支持をしています。
一方で、「おこめ券」でコメを購入したとしても、コメそのものの価格が下がることには繋がらないので、一時的にコメが安くなったという錯覚に陥るだけで、根本的な対策になっているのかという点が指摘されています。
井上キャスター:
個人的には「おこめ券」の政策には明確に反対しています。
減反政策を継続し、生産調整を行い、結果としてコメの供給不足に陥らせて価格を上昇させる。そして困ったら、その場しのぎで「おこめ券」を配布する。それは本末転倒ではないでしょうか。
やはり増産して、ある程度は輸出して、困っている農家を支援する。そして農業を稼げるものにする。政策自体を変えていかないと、その場しのぎで根本的な治療にはならないまま、税金が無駄な経費に吸い取られていくのではないか。このままでいいのだろうかという気がしています。
実業家・インフルエンサー 岸谷蘭丸さん:
コメ問題の根本的な解決になっていないというのは、ここ数年ずっと見てきたような気がしています。
一方で、あれだけ選挙で敗北してしまったことで、国民が現金給付を拒んでいるというロジックを政府が立てることになるだろうなと思います。
選挙の結果を受けて、コメ問題が政権の支持率の下落に直結する以上、致し方なく行っているのかなという気はしています。
出水麻衣キャスター:
年末年始に向けて、何かとお金が必要になる家庭も多いと思います。その中で、「今、家計が苦しい」という人にとっては、経費がかかろうが、現金給付を実施してもらえたら嬉しいと思います。
ではその先で、国民の家計をどうやって支えていくのかまでをパッケージで描いてほしいとも思います。
井上キャスター:
高市政権のコメ政策自体がなかなか見えてこないというのも、不安の根底にあるのかもしれません。
■コメ価格の上昇止まらず 「減産」か「増産」か
井上キャスター:
スーパーのコメの販売平均価格は、2025年8月以降から上がっていき、今は4316円となっています。(11月3日~11月9日)
コメについて報道されることは減りましたが、価格は上がっています。
TBS報道局経済部 田中 記者:
今後どうなるかというところですが、結論から申し上げると、そんなにすぐに大きくは下がりません。
2025年の新米は高い価格で取引されているので、損切りして売らない限り、そんなに流通するコメが安くなりません。大手卸業者の幹部によると、「この3か月、下がった…
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