高市内閣が22日から本格始動しました。来週にはアメリカのトランプ大統領の来日もあります。高市早苗総理大臣の政治家の原点ともいわれるかつて勤務したアメリカの議員事務所の元同僚に話を聞きました。
■トランプ大統領の来日発表
高市総理は、22日午前、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した一報を受け、予定を変更し官邸へと姿を見せました。
「とにかく、国民の皆様の生命を守るために、この危機管理というのは内閣にとって非常に重要な課題でございます」
新政権発足から一夜明け、さっそく「安全保障問題」に直面した高市総理。そして、来週には大きな山場があります。
「まずはASEAN、またトランプ大統領の来日も予定をされております。そしてまたAPECもございます。それらの外交日程一つ一つ、日本にとって非常に重要なものでございます」
トランプ大統領が27日から29日までの日程で来日することが、22日発表されました。
■アメリカ時代に何が 同僚の証言
アメリカは高市総理にとって、政治家としての、いわば下積み時代の場所です。
およそ40年前に撮影された集合写真。その左端に映るのが、女性初の総理大臣となった高市早苗氏です。
ワシントンDCの連邦議会議事堂の前で撮影された写真も、左端に高市氏の姿があります。
高市氏のアメリカ時代を知る元同僚のキップ・シュロータスさんはこう話しました。
「シュローダーが自身の出身地(デンバー)でどのような仕事をするのか見たいとのことだった。サナエは女性政治家の仕事ぶりを学びたかったから」
高市氏は、1987年からアメリカ連邦議会・民主党下院議員のパトリシア・シュローダーさんの事務所で働いていました。
シュローダーさんは、当時のアメリカ民主党の次期大統領候補の指名争いにも名前があがるなど、女性の大物議員でした。
こちらは事務所内での1枚。時代を感じるパソコンに、書類の山を前にして笑顔の高市氏が写っています。
キップさん
「ワシントンの事務所で彼女は女性の課題解決に特化して、取り組む人たちと働いていた。事務所でシュローダーが女性グループと意見交換をする際にもついていった。サナエは(そういった現場を)至近距離で見てきている」
「サナエが勉強熱心な人だと僕にはすぐに分かった。(サナエの英語は)完璧ではないけれど、良かったよ。ピーナッツバターとか特定のフレーズを覚えていった。カジュアルな英語を学んでいる過程だったよ」
■大物議員に学んだステッカー政治
さらに、高市氏がアメリカで学んだことは…。
キップさん
「彼女のことで一つ思い当たるのはスローガンについて。シュローダーは常にスローガンを掲げていた。『She Wins,We Win(彼女が勝てば我々の勝ち)』。方針を凝縮するやり方を(シュローダーから)学んだと思う。僕たちは『バンパー・ステッカー政治』と呼ぶんだけど、自身の信念を2~4単語に凝縮して車のバンパーにステッカーとして貼れるようにね」
この手法を参考にしたのでしょうか?高市氏といえば、総裁選の時に全国を走り回った「Veanas号」。逆から読むと「SANAE」「V」として、ローマ神話に登場する愛と美の女神「Venus」のスペルをもじったつづりとなっています。
「サナエに声を聞かせて!」というキャッチフレーズで、47都道府県に設置された「サナエボックス」も、大きな注目を集めました。
キップさん
「どうしたら親しみやすい人になるかを学んでいたことも知っている。サナエは頭だけでなく心に従い動くこともできる」
■アメリカで目の当たり 女性が主張する社会
元同僚のキップさんによると、他にも、アメリカでの経験が高市氏に大きな影響を与えたことがあるといいます。
「彼女はデンバーで女性が自分の意見を持ちそれを口にするのを目の当たりにした。日本人女性にとってそれは大変な驚きだったと思う」
40年ほど前のアメリカでの生活で目の当たりにした「女性もしっかり主張する社会」。政治家となって4年後の1997年、高市氏はこんなことを言っていました。
「『女性政策』に関しては『結果平等』は求めませんが、大いに『機会平等』、これを保証していただく形で私たちも頑張りますからよろしくお願いいたします」
かねてから「女性が活躍できる社会」を口にしていた高市氏。閣僚や党の要職を歴任し、ついには女性初の総理大臣の座に登り詰めたのです。
キップさん
「常に人の一歩先を行っている人なんだなっていうような印象があった。もし女性が総理になれるとしたら、それはサナエだろうと思っていた。だから勇気を持ちその目標を達成した彼女を、大変誇らしく思う」
高市総理
「私は国の究極の使命は国民の皆様の生命と財産を守り抜くことと申し上げてまいりました」
22日、総理就任会見でそう話していた高市氏。20年以上前にも同じことを口にしていたのです。
「国民の命と財産を守るのが、もう国政の最大の使命である」
そんな高市総理ですが就任早々、重要な局面を迎えます。
■高市新総理 首脳会談どう臨む
27日に来日が予定されているアメリカのトランプ大統領。高市氏が自民党の新総裁に選ばれた際には、「深い知恵と強さを持った人物だ」と評価しました。
高市氏は、21日の会見で、初会談となるトランプ氏とどのような関係を築き、外交戦略を展開するのか問われるとこう答えました。
「日米同盟はこれはもう我が国の外交、安全保障の基軸です。我が国は米国にとってみても米国側から見ても米国の対中戦略であったり、米国のインド太平洋戦略であったり、そういったことの不可欠なパートナーだと私は考えております。まもなくトランプ大統領の来日が予定をされておりますが、もしお会いできましたら日米が直面する問題について、率直な意見交換を通じて首脳同士の信頼関係を深めていきたいなと思っております」
2人の初の会談について、キップさんはこう話しました。
「我々の大統領は安倍さんを大変気に入っていたので、“安倍さんのようになる”と(高市氏は)伝えると思う。彼女は賢いので良い関係を構築できる方法が見つけられると思う。それが彼女の強みの一つだからね」
しかし、トランプ氏との首脳会談には試練が。それが…防衛費の増額です。
高市氏がまだ政界に進出する前の1990年。日米安保30年をテーマにしたテレビ番組に出演し、こんな発言をしていました。
「(私は)皆さんのなかでは、一番これから長いこと税金払っていかなければならない人間ですから、安保を前提に話をして欲しいんですよ。安保を存続することが日本にとって非常にコスト的に有利なのかどうか。漁業交渉だとか、領土交渉とかで、必ず私は交渉力になると。おまけに核の傘の下にいるということが、一番これが私、一番安い保険だと思うんですよ。掛け金が一番安い保険だなと」
日米安保条約は、日本の領土を守る上でコスト的に安いと話していましたが、この当時の防衛費はGDPの1%程度でした。
高市氏は、21日の会見でこう話しています。
「日本が自立して国を守れる。そういう形を作っていくということは、我が国の、国民の皆様の生命を守ることでもあり、領土領海領空を守ることでもあります。国家主権を守る大切な取り組みでもありますので、これは日米協力の元にありますけれども、日本自体の防衛力をしっかりと充実をさせていく、こういったお話をしたいと思っております」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月23日放送分より)
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