“石破おろし”の動きはどうなるのでしょうか。自民党は、総裁選の前倒しを要求する議員には書面で申し出るよう求め、名前も公表すると決めました。
■“石破おろし”の行方は
自民党 総裁選選管 逢沢一郎委員長
「大きな判断を委員の皆様、また各県連の皆様にお願いをする時期もそう遠くないという認識の中で議論をさせていただきたい」
逢沢氏が言う「大きな判断」。石破総理への事実上の退陣要求となる“臨時の総裁選”についての判断です。今月8日に開かれた両院議員総会では、出席した議員から実施を求める声が相次いでいました。ただ、実際に実施するには国会議員と都道府県連代表の過半数、172人の要求が必要というのが党の規定。退陣論がそこまで広がるかは見通せません。擁護派からは牽制の声が上がります。
中谷元防衛大臣
「大変激しく厳しい国際情勢の中で、外交や安全保障に影響を与えるようなことを実施するということは、私個人としては現時点において行うべきでもないし、行う必要もない」
世論調査で支持率が上昇していることも追い風に。
村上誠一郎総務大臣
「世論調査をみておりますと、徐々に総理の努力や結果が認められつつあるんじゃないかなという気がしております」
臨時の総裁選を封じるための「解散論」も飛び出しました。
鈴木宗男参院議員(ブログから)
「総裁選挙前倒しの話がでるなら、石破総理は解散して堂々と国民に信を問うべきである。そのほうがわかりやすいし国民に理解される」
石破総理は24日、小泉元総理らと会食をしています。そこで出た話は。
自民党 山崎拓元副総裁
「小泉元総理が懐旧談を。石破総理の政権運営の参考になるようお話をされたということです。郵政解散の話が主だったです」
これも牽制の一つだったのかもしれません。こうした状況の中で開かれた27日の総裁選挙管理委員会。臨時総裁選の実施するか決めるための手続きが議論されました。
自民党 総裁選選管 逢沢一郎委員長
「(臨時総裁選の)申し出をされる方は選管が用意した書面に署名捺印(なついん)し、要求した議員の方、要求した都道府県支部連合会の名前を選管委員会として公表することを最終的に決定・確認した」
それは“反・石破”勢が避けたかった結論。名前が公表されるとなれば、内心は“反・石破”でも、要求をためらう議員が一定数出てくることが予想されるからです。また“石破おろし”が実現しなかった場合、“反乱を起こした側”として冷遇されるリスクも伴います。
臨時の総裁選を実施するかどうかは、一連の手続きを経て来月8日にも決まる見通しです。
■“前倒し意思確認”意図は
政治部官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。
(Q.総裁選前倒しの意思確認に記名、さらに公表もさせる狙いは何ですか)
千々岩森生記者
「自民党の総裁選は無記名で、誰が誰に入れたか分かりません。あっちは無記名、こっちは記名というのは、ちょっと不思議ですが、もし無記名なら前倒しが過半数を取る可能性が高まります。しかし、名前が公表されるなら心理的なハードルが生まれ、現職の閣僚は『記名なら自分は提出できなくなる』とこぼしています。取材をすると、自民党内では石破総理に大して『こんな政局になる前に自ら身を引いてほしい』という自発的辞任論が多く、衆議院・参議院ともに負けているので、党内には続投に違和感を持つ議員が過半数を占めると言っていいと思います」
(Q.これまで“石破おろし”をしていた勢力はどうなりましたか)
千々岩森生記者
「参院選直後に比べると、勢いは少し弱まっている印象です。自民党ではこれまで、政局を仕掛ける場合は派閥中心というのが多かったですが、ほとんどの派閥が解消されて辞任要求がまとまりを欠いている側面もありそうです」
(Q.千々岩記者のこれまでの取材では「石破総理は頃合いをみて進退を決める可能性が高い」ということでした。本人は「やめる」とは言っていませんが、当初から辞める気がなかったのか、それとも心境に変化があったのでしょうか)
千々岩森生記者
「私は後者、心境に変化があったとみています。参院選の終盤、選挙の途中から、「負けた場合は辞任しなければ批判される」と自覚していました。側近に対しても『日米協議がまとまるまでは続けると思っている』と話しています。それが7月下旬、8月に入る頃から変わっていきます。理由は大きく2つです」
【心境変化の理由】
(1)辞任要求への“反発”
(2)世論調査
千々岩森生記者
「まず(1)について。辞任論がヒートアップする最中、石破総理は側近に対して『あんな人たちには負けたくない』ともらしていました。続いて(2)ですが、各社の調査で『辞めるべきだとは思わない』という声が増えてきました。この頃、石破総理は周辺に『世間の声と自民党議員がかい離していいのだろうか』と繰り返すようになりました。世論調査をある意味で心の拠り所にしながら、続投の意思を固めていったのだと思います」
(Q.石破総理が続投するとなったら政権運営はどうなりますか)
千々岩森生記者
「政権運営は極めて困難だとみています。来月には自民党役員人事と内閣改造が控えていますが、ポストを拒否する議員が出ることは十分考えられます。これは党内の話です。もう一つは野党。すでに秋の臨時国会で石破政権に協力できないと表明している野党は多いです。これまでのように、政策ごとに野党を一本釣りする手法が通用するかは不透明です。もし政権が行き詰まってくれば、石破総理にとって心の支えとなっている、続投支持の世論も再び反発に回る可能性もあります。そもそも国政選挙で2連敗して続投する総理大臣は異例です。もっと言えば、多数を取っているにもかかわらず、政権を取りに行かない野党も異例です。だから石破総理が続投できる環境にあります。カオスと言ったら言い過ぎですが、与野党ともに混沌とした状況が生まれていると感じます」
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