記録的な猛暑で、熱中症だけでなく「新型コロナ」や「百日せき」が増えています。暑さによる体力や免疫力の低下が影響しているとみられています。専門家が今、警戒を呼び掛けています。
■百日せき患者が増加 子どもにも
異常な暑さが続くこの夏。「いとう王子神谷内科外科クリニック」には、せきの症状を訴える患者が急増。
患者(60代)
「声が前の日に2時間ほど出なくなって」
伊藤博道院長
「その後せきがひどくなった?」
患者
「せきの仕方、ゲホゲホという感じ」
検査をしてみると…。
伊藤院長
「百日せきの抗原検査は『陽性』、今はやりの」
「百日せき」とは激しいせきが長期間続く感染症で、風邪のような症状から始まり徐々にせきが悪化する。
3日前からせきが止まらないという8歳の男の子。
患者
「百日せきってどのくらい続きますか、治るまで」
伊藤院長
「まずは1週間、薬が効いたら1週間でかなり良くなる」
患者
「薬なしだと?」
伊藤院長
「百日くらい続く」
乳児がかかった場合、重症化しやすく、けいれん、呼吸停止と進展し、肺炎や脳症を併発して死亡することもある「百日せき」。
今年の累計患者数はこれまでの最多だった、およそ1万6000人を大幅に超え、今月3日時点で6万人以上に。
■98歳の熱中症「水飲まず」現場苦悩
一方で深刻なのが「熱中症」。今年、熱中症により救急搬送された人の数(5月1日から8月10日)は7万211人と、去年の同じ時期の6万8837人と比べるとおよそ1400人も増加している。
訪問看護ステーション ブロッサム 訪問看護師
「こんにちは、訪問看護です」
そんななか訪問看護師が訪れたのは、98歳の高齢男性の自宅。エアコンが効いた部屋で、熱中症の心配はなさそうに見えるが…。
訪問看護師
「冷えちゃうんだよね、だからここにかけて温かくしてるんだよね」
同居する息子(60代)
「父親が寒がる、エアコンの風が当たるのが嫌い。本人は暑さを感じないから、どうしても寒さを感じる。だから自分でいつのまにか(エアコンを)消している」
この暑さでもエアコンを嫌がるという男性。もう一つ心配なことがあった。
訪問看護師
「のど渇いてないと思いますけど、頑張って」
ゆっくりと麦茶を飲む男性。コップ1杯を飲むのに毎回30分ほどかかるという。
訪問看護利用者(98)
「いっきにはいかんね」
訪問看護師
「時間かけてでもいいからね」
「高齢者の人たちは分からない。のども渇かないので、脱水になったり、熱中症になったりする」
■熱中症ではなく「新型コロナ」
医師が往診に向かったのは、およそ2カ月半前に脱水で倒れ脳梗塞(こうそく)の疑いもあり4日前まで入院していたという男性の自宅。
患者
「気がついた時は、そこに倒れていた。ここにいるとそんなに暑いとは思わないが、ちょっと外に出ると、ものすごく暑い」
退院後、初めての往診。注意が必要なのは脱水や熱中症だけではない。
あゆみクリニック 藤川万規子院長
「検査してみたらコロナだったとか、感染症も出ている。水分がいつの間にかとれなくて知らない間に意識がなくなって、入院する人がすごく増えている」
症状が似ているため、熱中症と思い込んでいる患者も多いという「新型コロナ」。感染者数は7週連続で増加しており、直近では1週間(先月28日から今月3日)に2万1365人の感染が確認されている。
「あゆみクリニック」では7月の新型コロナの感染者数が前の月の5倍に急増。8月はさらに上回るペースだという。
藤川院長
「ご高齢の方は、なぜか夏の脱水する時期になるとコロナになったりする。いかに私たちは重症者を見逃さないことが大事か、ここ2~3日で痛感している」
記録的な暑さが続くなか、なぜ、このタイミングで「百日せき」と「新型コロナ」の感染者が増えているのか。
伊藤院長
「新型コロナ、百日せきともに大きな流行になっている最も大きな理由の一つは、あまりにも暑すぎるということが大きいのではないか。35℃から40℃ぐらいの体温に迫るような温度になってきますと、非常に自律神経に負担がかかってきますし、その暑さに耐え得るためにかなりの体力を使ってしまいます。免疫力も落ちてくる。暑さによる脱水とエアコンの乾燥で粘膜のバリアー機能が落ちていることによって感染が発症しやすくなっている」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年8月15日放送分より)
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