難航していたトランプ関税の交渉ですが、当初突き付けられた25%から、15%に引き下げた形で、急転直下の決着となりました。しかし手放しで喜べない状況もあるようです。
■トランプ関税が15%合意 輸出業者は“まずは一息”?
7月22日(火)ホワイトハウスから出てきた赤沢大臣。トランプ大統領との直接交渉を終え、親指を立てるしぐさも。
そして、その直後…
トランプ大統領
「まさにいま、日本との史上最大の貿易取引に合意したところだ。全員にとって素晴らしい取引だ」
トランプ関税をめぐる日米交渉が、ようやく妥結。ほぼすべての輸出品に25%という税率が突きつけられていましたが、15%へと引き下げられたのです。
輸出産業の現場を取材しました。売り上げの2割をアメリカに輸出している日本茶の会社です。
2週間前の取材(7月13日)では「関税は1%でも下がってほしい」と語っていた、やまま満寿多園・増田社長。
15%という数字については…
やまま満寿多園 増田剛已社長
「今までお茶の場合、関税は0%だったので、15%を色々なもの(ランニングコスト)で吸収できるか、できるようなパーセンテージではない」
さらに心配なのは、アメリカにある日本食レストランへの影響です。
やまま満寿多園 増田剛已社長
「当然お茶以外の食材もすべてに(相互関税)15%はかかってきますから。(日本食)レストランでの販売価格を上げざるを得ない。(経営を)やっていけないということになると、私たちにとっては大きな問題になっていく」
■トランプ関税の合意に 各業界は?
あらゆるものに課せられる15%の関税。
養殖したブリをアメリカに輸出している会社は…
グローバル・オーシャン・ワークス 増永勇治社長
「(関税率は)相手が決めることなので、どっちに転んでもいいような対応を今後も考えていく」
30年以上前から「白だし」を輸出している会社は…
七福醸造 犬塚元裕社長
「本音を言えば、もう少しなんとかならないかなというのはある。私たちが企業努力でやれるのは1%とか1.5%とかの話なので」
そして、焦点だった自動車関税も、27.5%から15%に引き下げられました。
まずは胸をなでおろす部品メーカーも少なくないようです。
テイン 渡邊宏尚執行役員
「まずはポジティブかなと。また一歩前進してきちんとした体制を整えられると判断している」
トヨタ自動車の佐藤社長も…
トヨタ自動車 佐藤恒治社長
「15%という関税自体は決して影響小さくはないが、大きく前進をしたので、しっかり見通しを立てて必要な対応を取り組んでいく」
合意を受け、株価も今年の最高値を更新。経済界からも…
筒井義信 経団連会長
「(日本政府が)粘り強い交渉を長期にわたって続け、それが実った合意内容だと高く評価している」
石破総理も、合意の成果を強調します。
石破茂総理大臣
「守るべきものは守った上で、日米両国の国益に一致する形での合意を実現することができました」
8回にわたる訪米が実を結んだ形の赤沢大臣は、最終回の交渉について…
赤沢亮正経済再生担当大臣
「国益をかけたギリギリの真剣勝負」
その交渉のテーブルでトランプ大統領の目の前には、金額が上積みされた手書きの数字が。日本側は、何を取り引き材料にしたのでしょうか。
■日本が“差し出したもの”は
トランプ関税の15%への引き下げで、合意に至った最終交渉の場面。
「日本はアメリカに投資する」と書かれたボードの金額は、4000億ドルだったのが、手書きで5000億ドルと上書きされています。さらに最終的には5500億ドル、日本円にして80兆円で合意。
これについて、トランプ大統領は…
トランプ大統領
「5500億ドル(約80兆円)の“契約金”を手にした。関税を15%まで下げることに合意したのは、日本が初めて市場を開放したからだ」
日本による「初めての市場開放」とは何を指すのか…
ホワイトハウスが発表した合意内容、『ファクトシート』には、日本が受け入れるものとして、アメリカ産の車やコメ、さらに防衛装備品などが列挙されているのです。果たして、実現可能な合意なのでしょうか。
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