拡散は“加担”にも…科学的根拠ない『7月5日』のウワサをなぜ信じてしまうのか 心穏やかでいられない人間の心理

拡散は“加担”にも…科学的根拠ない『7月5日』のウワサをなぜ信じてしまうのか 心穏やかでいられない人間の心理

7月5日に日本で大きな災害が起きると香港などを中心にSNSでデマが拡散し、名古屋でも訪日外国人が激減する事態となっています。

 トカラ列島・悪石島で震度6弱など1000回を超える群発地震が発生する中、7月5日を巡り、今、インターネットである「噂」が。『#私が見た未来 完全版』という、元々20年以上前に出版されたマンガです。

 この本の中には、『日本列島の南に位置する太平洋の水が盛り上がる』『災害が起こるのは2025年の7月』という記載があり、この内容が中国、香港などで拡散されました。

 SNSでは、「明日7月5日の予言はどうなる?」「7月5日の予言、全く信じてなかったんだけど、ちょっと不安になってきたな…」という書き込みも見られます。

 名古屋駅前で、観光客に話を聞きました。

台湾から来た女性:
「私は漫画を買って読んだ。台湾では、このことについて多くの人が非常に恐れています。多くのツアー客が、日本への旅行を断念しました。夏休みなんてめったにない機会なので、それでも来ました」

 さらに、中部空港に到着する便にも異変が…。

台湾から来た男性:
「旅行シーズンでもありますし、いつもはほぼ満員の状態ですね。でも今日はガラガラで、平常とは違うなと感じます。私の妻も、避けた方がいいんじゃないかと言ったんですよ。私は心配しないから大丈夫ですよと」

台湾から来た別の男性:
「(予言は)去年から知っている。でも妻がどうしても日本に行きたかったから。怖い」

 香港、台湾方面からの乗客も大きく減少させたSNS上の噂。この予言を巡っては、2025年6月、気象庁長官が「信じないでください」と呼びかけています。

気象庁の野村竜一長官:
「近代科学の時代になっても、科学的な観点から外れたご判断をされてしまう方がたくさんおられるのは非常に残念です。見えないことに対する不安感があるかと思います。科学的な観点で『信じないでください』と訴えることが非常に重要だと」

 科学的根拠がない噂が、予言としてなぜこれほど拡散したのか、信州大学の菊池聡教授に聞きました。

信州大学の菊池聡教授:
「『夜に墓場を歩いてみろ』と言われて、オバケなんかいないから大丈夫だと頭では分かっているわけですよ。だけれども、どうしても感情的には怖いですよね。今回も予言というかたちで根拠はないにせよ、自分たちに災害が降りかかると聞かされれば心穏やかではいられない、これは人間として当たり前のことなんです。うっかりネットでこういったことを本当かなとか再投稿してしまうことは、実はデマを広げることに加担してしまっていることも、ネットユーザーとしては覚えておくべきことかもしれません」

#ニュースONE

2025年7月4日放送

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