アメリカのトランプ大統領は、4月2日を『アメリカ解放の日』として、日本時間3日朝にも新たな大規模関税の詳細を発表する予定です。
ホワイトハウス レビット報道官
「あす、アメリカが搾取される日々が終わりを迎えます。歴史的な大統領の行動は、あらゆる産業の競争力を向上させ、巨額の貿易赤字を是正し、経済と安全保障に恩恵をもたらします」
自動車や部品にかかる25%の追加関税は3日に発動。そのほかの製品にも貿易相手国と同じだけの関税を課す“相互関税”が検討されていて、詳細は3日、ホワイトハウスのローズガーデンで発表されます。
日本も避けられそうにはなく、特に自動車への追加関税の影響は大きそうです。2024年、日本からアメリカへ輸出された乗用車は約133万台。日本の自動車輸出の3分の1を占めています。
輸出する日本車メーカー以外に影響を受けるのは、部品などを生産する中小企業です。
創業40年のウレタンメーカーでは、年間の売り上げの半分が、自動車に関わる事業です。今回の追加関税によって、日本車メーカーの輸出が減れば、1億円程度、売り上げ減少すると見込んでいます。
そこで、力を入れ始めたのが、ウレタンを使った救助用ボートの製造。国内の官公庁が主な取引先です。
浜口ウレタン 浜口弘睦社長
「車関係だと、今回の問題みたいに“ある人の発言”で変わる。(取引先は)官公庁がほとんど。一人の意見で、がらりと変わることはない。車のウエイトが大きいと、その分、影響は大きくなるので、影響が来ない商品にできるだけ力を入れていく」
そもそも関税は、輸入品に税金を課して、割高にすることで、自国の産業を保護することが大きな目的の一つ。自動車の場合、輸入する側が国に支払います。関税が上がれば、輸入業者は、その分、販売価格に転嫁せざるを得ません。
相対的に、アメリカ産の自動車が割安になるとトランプ政権は踏んでいますが、現状、いくつもの部品を海外から輸入して組み立てているため、アメリカのメーカーも多額の関税を支払うことになり、それが価格に転嫁されるという構造は同じです。新車で平均5300ドル(約80万円)、価格が上昇するとも見込まれています。
電気自動車に欠かせない部品を製造している北海道千歳市にある会社。アメリカの自動車大手・ゼネラルモーターズ向けに、年間で1600万個を納品しています。
FJコンポジット 津島栄樹社長
「GM社の車が売れたら、その分は、必ず私たちのものを使っているので、車の販売が減らない限りは、問題はないと思っている。(自社と同じ製品を)つくる会社もアメリカにないですし、たとえあったとしても、生産体制を整えるのに何年も時間がかかる」
ただ、アメリカでの消費の落ち込みを見越して、他国への販路開拓を進めています。
FJコンポジット 津島栄樹社長
「私たちとしては、こういうことが起こるということは、アメリカ以外にもヨーロッパなり、また韓国、日本なり、いろいろな所に販路を広げていかなければと感じている。本当に嫌なのは、世界経済がこれでダメージを受けて、全体的に不況になってしまう。そうなると、すべてのものが売れなくなってしまう。そういうことが起こると、例外なく私たちのものも売れない。そこが一番怖い」
インフレ真っ只中のアメリカでは、消費意欲は落ち込むばかりです。
ニューヨーク市民
「友人とビールを飲みに行ったり、外食もできません」
ニューヨーク市民
「すべてが値上がりしているし、同じ値段でも中身が少なくなっています。(トランプ大統領は)辞職して、もうそれだけ。投獄しろとまでは言わないから、お願い、ホワイトハウスを去って」
トランプ関税によって、世界のGDP=国内総生産が2027年時点で、110兆円マイナスになるという試算も出ていて、今のところ、関税が長期的に見てプラスになるという見解は見当たりません。
◆ニューヨークの親松聖支局長に聞きます。
(Q.“トランプ関税”、アメリカ国民はどう受け止めているのでしょうか)
親松聖支局長
「とにかく、関税によるインフレをみんな懸念しているという状況です。非常に多いのが、皆さん『節約する』という意見で、すでに外食を減らして生活防衛に走っているという印象です。アメリカは、物価が高止まりしていて、スーパーで卵が1個1ドル=150円くらいで売られている状況です。私は、先日、農家が卵を無料で配布するイベントを取材しましたが、早朝から大行列で、100人分の配布に数百人が殺到するという事態になっていました。なかには、卵をもらえず『自分で鶏を飼うんだ』と言う人もいました。
日本人にわかりやすいところで言いますと、最近、ニューヨークでは、材料が高い、家賃も高いということで、老舗ラーメン店が2軒閉店しました。このように消費が減退してきますと、経済の縮小、節約志向の高まりということで、こうした店舗の閉鎖など懸念されています。
トランプ支持者からは『外国がかけている関税は、かけ返すのが当然』という声が大半ですが、『就任1日目から物価を下げる』とトランプ大統領がしゃべっていましたが、『そんなの嘘ばかりだ』と強い怒りを口にする方もいます。一方、反トランプ派からは、『トランプ支持者は、インフレで自分の金が少なくなっていることを実感すれば考え直すだろう』という意見も数多く聞かれています。そうしたなか、取材で印象に残っているのが、自動車関税を取材したときに、ニューヨーク市民の方の話ですが、『関税をかけたからといって、アメリカが質の高い車をつくるわけじゃない。日本車が高くなっても、私は、アメリカ車は買わない』というような言葉でした。この方は『関税政策に頼らず、まず強いアメリカ製品を開発すべきだ』と話していて、アメリカの“モノづくり”の現状というのを嘆く声というのも印象的でした」
◆トランプ大統領が進める関税強化。 日本や世界にどのような影響が出るのでしょうか。
トランプ大統領は、先月からさまざまな形で高い関税をかけています。一つが、アメリカに赤字をもたらす国への関税強化です。
中国、EU、メキシコ、カナダ、日本は、アメリカの赤字が大きい貿易相手です。例えば、中国との貿易で、アメリカには、2954億ドルの赤字が生じています。そこで、トランプ大統領は、先月から、カナダ・メキシコには、一部を除く輸入品に25%、中国には、すべての輸入品に20%、追加関税を発動しました。
また、基幹産業を守るための関税強化もあります。
鉄鋼・アルミニウムに25%の追加関税を発動し、3日からは自動車と、エンジン・トランスミッションなどの主要部品に25%の追加関税を発動します。すべての国が対象で、日本からアメリカへの輸出の3割以上を自動車や部品が占めますが、日本からの輸出にも課されます。
関税で輸入を抑え、アメリカ国内の製造業を強くして、雇用を増やすとしています。
これらに加えて、トランプ大統領が特に重要視しているのが“相互関税”です。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは、「当初、意図していたと思われる“相手国と同等の関税率”とは趣旨が変わり、今回の“相互関税”は、アメリカに高い関税かける国に対して“報復”として、関税率を引き上げるもの」だとしています。
アメリカの有力紙・ワシントン・ポストは、「輸入品の大部分に20%の追加関税を課す案が浮上している」と報じましたが、詳細はまだわかっていません。
木内さんは「アメリカとの貿易額が大きいEUの内部では、関税率が20%になるとの見方がある。EUより貿易額の小さい日本の追加関税率は、10%程度になる可能性がある。そうなると、日本の対米輸出額は、1兆4900億円ほど減少。仮に、日本の相互関税が20%になると、影響は2倍になる」と話します。
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