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インタビューズ(2021年9月16日)
ゲスト:石破茂氏(衆院議員)
聞き手:神保哲生
自民党総裁選への出馬断念から一夜明けた9月16日、石破茂元幹事長がビデオニュース・ドットコムの取材に応じ、現在の自民党の過った体質を変えるために、今回は河野氏の支援に回ることがベストな選択だと考えたと語った。
「立候補を取りやめ河野支援に回った理由は安倍政治を終わらせることを優先した結果と受け止めていいか」と問われた石破氏は、きっぱりと「それで結構だ」と答えた上で、自分も安倍政権の前半には政権内で枢要な地位を占めていたことから、個人を名指しにはしたくないがとの断りを入れながらも、「言うべきことが言えず、説明責任を果たさない現在の自民党の体質は変えなければならない」と述べ、今回の出馬の見送りが、自身の政治家としての個人的な目標の成就よりも、「2A」と呼ばれる安倍晋三元首相、麻生太郎財務相による党の支配体制を変えることを優先させての行動だったことを明らかにした。
石破氏自身は立候補に必要な20人の推薦人は確保できていたと言う。しかし、党員に根強い人気を持つ石破氏が出馬すれば、河野氏との間で党員票が割れ、結果的に他候補を利するばかりか、1回目の投票ではどの候補も過半数を獲得できなくなる可能性が高い。その結果行われる上位2名による決戦投票では、議員票383票に対して党員票は各都道府県に1票ずつの合計47票しか割り当てられていないため、2派閥で全議員票の半数近くを押さえている安倍・麻生両氏が推す候補が圧倒的に有利になる。
それが石破氏が「自民党を変えてほしい、政治を変えてほしいという国民の思いに応えるため、改革を志す勢力が二分すべきではないという思いに基づき、決断にいたった」と語る所以だ。
2A政治に対する恭順の意の有無を示す上での踏み絵のような存在となっている森友学園問題の再調査の是非について石破氏は、それが自民党の体質、ひいては日本の政治の体質を象徴する問題として、森友学園の土地払い下げに関連し、財務省の公文書の改ざんを強いられた末に自殺に追い込まれた故赤木俊夫氏の妻の赤木雅子氏の名前をあげながら、「一番悲しんでいる人に寄り添う政治をしなければならない」との立場から、これからも再調査を含めた真相究明の必要性を訴えていく強い意向を示した。
【プロフィール】
石破 茂(いしば しげる)
衆院議員
1957年東京生まれ。79年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同年、三井銀行(現三井住友銀行)入行。86年衆院初当選(鳥取1区)。農水相、防衛相、党政調会長、党幹事長などを歴任。当選11回。著書に『政策至上主義』、『日本列島創世論 地方は国家の希望なり』、『日本人のための「集団的自衛権」入門』など。
神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。
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