「奴隷よりひどい」ミャンマー監禁生活の実態 電気ショックも 犯罪グループの正体は【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年2月21日)

「奴隷よりひどい」ミャンマー監禁生活の実態 電気ショックも 犯罪グループの正体は【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年2月21日)

 ミャンマーには特殊詐欺グループの活動拠点とされている街が複数あります。日本人を含む1万人以上の外国人が監禁され、特殊詐欺などの犯罪に加担させられているとみられます。現地では救出活動が続けられており、21日までに1200人以上が解放されました。

■ミャンマー入国の危険を訴える看板

 ミャンマーとタイの国境で船の上に隙間なく乗っているのは、ミャンマーで監禁され、特殊詐欺などの犯罪に加担させられていた260人の外国人です。

 彼らはアジア・アフリカ・南米など世界中からミャンマーに集められ、犯罪グループによって監禁されていました。ミャンマーとの国境に近いタイ北西部の街・メソトでは検問所がたくさん設置されています。

 タイ側に設置された看板には「ミャンマーに入ると特殊詐欺の仕事をさせられ、すべてを失う」との表示があり、ミャンマーに入国することへの強い警告が発せられていました。

 ここまで警戒するのは、川の対岸に建つ特殊詐欺の拠点が理由です。

 区画整理されたニュータウンのように整然とした街並み。一見しただけでは分かりませんが、実は街のほとんどが犯罪組織の拠点で、そこには多くの外国人が監禁されています。

 壁には有刺鉄線が張られ、複数の監視カメラが設置されています。地元では「KKパーク」と呼ばれていて、現地ジャーナリストによると、芝生付きの豪華な住宅は幹部の家であるとされています。奥の集合住宅には、監禁されている人々が暮らしているとみられています。

 別の拠点では多くの人々が建物から出てくる様子が確認されます。中には、カジノやレストラン、ホテル、ナイトクラブなどがある拠点もあります。

 ミャンマー国内にはこうした拠点が複数存在し、1万人以上の外国人が監禁されているとみられています。

■電気ショックも…被害者の悲鳴

 多くの外国人が監禁されている“特殊詐欺の街”では、その内部で恐るべき行為が横行していました。

 拠点の一つを撮影した内部映像には、狭い部屋に4つの2段ベッドが置かれ、アフリカ出身と思われる人々が狭い空間に閉じ込められている様子が捉えられていました。

 こうした人々は特殊詐欺グループと労働契約を結ばされ、ある施設では月に1日しか休みがないといいます。

 この監禁生活から逃げ出してきたという男性もいます。

監禁されたバングラデシュ人 アリヤンさん
「解放される直前には530万円ほどだまし取りました。稼がなければ罰が待っています。詐欺は悪いことですが、選択肢がありませんでした」

 アリヤンさんは条件の良い求人情報に応募し、去年8月にタイへ。しかし、待っていたのは銃を持った犯罪組織でした。

 アリヤンさんはSNSで女性になりすまし、男性に投資話を持ち掛ける詐欺を強制されていました。

アリヤンさん
「毎日19時間、ノルマを達成するまで働かされます。達成できなければ電気ショックです。暗い部屋に送られ、そこでは食事も与えられません」

 ノルマを達成できないと、大きなアザができるほどの暴力を受け、スタンガンのようなものを足などに当てられたといいます。

 被害者の支援団体が入手した映像には、監視役とみられる人物が男性の頭をたたいたり、蹴ったりする様子が撮影されていました。暴力だけではなく電気ショックも行われ、男性の悲鳴が響き渡りました。

 アリヤンさんはおよそ45分間泳ぎ続け、犯罪拠点から自力で脱出しました。

アリヤンさん
「川に飛び込んだ時、監視塔にいた見張りから銃弾を4発浴びました。友人たちがまだ残っています」

 また、中には日本人もいたといいます。

アリヤンさん
「私のグループでは100人ほどのアジア系やアフリカ系が働かされ、よそでは中国や台湾、日本からの人もいました。日本や台湾の人は賢いので、彼らは積極的に雇おうとしています」

■ドラマ出演のはずが…中国人男性の証言

 上海に住む許博淳さん(38)も、かつてミャンマーで監禁された一人です。おととし7月、ドラマの出演者を募集するネット広告に応募したといいます。

許さん
「こういう仕事は地域が関係ないので疑わなかった。セリフがある役として20万円(1万元)ぐらいと言われました」

 許さんはミャンマーと国境を接する中国・雲南省に向かったところ、詐欺グループによってミャンマーに売り渡されたといいます。

許さん
「右手に長いライフル銃を持っていました。私が所属していたグループの仕事は4台の携帯を使い、20のインスタグラムアカウントを作ります。20のインスタグラムアカウントに、それぞれ男女の顔写真を貼ります」

 許さんはおよそ3カ月監禁された後、家族が身代金を支払ったことで解放されました。

許さん
「日本人でも韓国人でも中国人でも、『仕事があるよ』の言葉を信用してはいけない」

■「衣食住の面倒を見る」誘われた日本人高校生

 ミャンマーの犯罪拠点には日本人も監禁されていて、先月から今月にかけて16歳と17歳の2人の高校生が相次いで保護されています。2人とも特殊詐欺の「かけ子」をさせられていたといいます。

 このうち、愛知県の16歳の高校生は「人々が強制的に働かされ、拒否した人は腕立て伏せをさせられたり、電気ショックを与えられていた。自分も一度足に電気ショックを与えられた」と語ります。

 去年11月ごろ、インターネットで海外の仕事を紹介され、12月にタイへ渡航。迎えに来た男の車に乗せられ拠点に到着し、ようやく特殊詐欺をする仕事だと理解したといいます。

 また、16歳の高校生は「ミャンマーでは電話で警察官などをかたる詐欺に加担させられていた。自分の他に8人くらいの日本人が同じ仕事をしていた」とも証言します。

 もう一人監禁されていたのは宮城県の高校生(17)です。この少年をミャンマーにおびき出したとみられるのが、藤沼登夢容疑者(29)です。

 藤沼容疑者はオンラインゲームで知り合った少年(17)にタイ旅行を勧め、航空券をプレゼント。タイに着いた高校生をミャンマーのアジトに連れて行き、詐欺に加担させたとして、先週バンコクの空港で拘束されました。

 17歳の高校生は「オンラインゲームで知り合った男 (藤沼容疑者) 『衣食住の面倒を見るから』と誘われた」と証言しています。高齢者が多い都道府県のうち2つを標的に、日本語でだますよう指示されていたといいます。

 タイの入管幹部によると、現在ミャンマーのアジトには「数十人から100人に達しないくらいの日本人がいる」とのことです。

市民団体で被害者支援 グリティヤー代表
「日本人の需要があり、1人連れてくると5000ドルの賞金が支払われるという話が出回っている。今まではアフリカ諸国から多くの人が連れてこられていたが、すでに対策が進んだ一方で、日本では被害を知らない人が多いからかもしれない」

■摘発続く 200人が中国へ送還

 世界中からだました人を大量にミャンマーに集め、特殊詐欺に加担させる大規模な犯罪を行っているのは、中国の犯罪グループです。

タイ ウェーチャヤチャイ国防相
「(タイ政府は)特殊詐欺だけのみならず、人身売買・麻薬犯罪を徹底的に対策する方針です」

 今週、タイでは監禁被害者の救出に向け、日本や中国など約20カ国の大使館関係者が情報共有を強化することで一致。18日にはミャンマー南部・シュエコッコの詐欺拠点を摘発しました。

撮影者
「ここは以前(特殊詐欺の)メッセージをやり取りする“仕事部屋”だったそうです。ここにあるものが摘発で押収されたものです」

 部屋の中には、だまされた外国人の物とみられる大量のスーツケース、無数の配線、オンライン詐欺に使っていたであろうパソコンも集められていました。

 部屋に集められているのは、大勢の監禁されていた人たち。「中国籍の人、家に帰りたい人は手を挙げて」「皆、全員帰りたいか?」と呼び掛ける場面もありました。

 ミャンマーでは14日以降、詐欺の拠点となっているシュエコッコとKKパークの2カ所を中心に摘発が続き、1219人の外国人が保護されています。

 その大半を占めたのが中国籍の人たちで、20日におよそ200人が中国へ送還されました。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年2月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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