物価高は日本の住宅の広さにも影響を及ぼしています。最新の調査では、一つの住宅あたりの延べ面積が30年前の狭さに逆戻りしたことが分かりました。部屋が狭くても価格を抑えられる賃貸物件が人気を集めています。
■“極小物件”入居者殺到
20代
「狭いです。押し入れから荷物があふれてしまう」
30代
「(5人家族で)50平米台だったかな。狭いなと」
地価や建築費が上がり続けている今。一つの住宅当たりの延べ面積は、91.66平方メートル(2023年)と、バブル経済のあおりで住宅価格が高騰した90年代初頭とほぼ同じ水準にまで狭くなっています。
稼働率ほぼ100%という若者に人気の渋谷区の物件を訪ねると…。3カ月前に入居した会社員・山根飛来さん(28)の部屋はなんと9平米です。
代々木上原駅から徒歩7分、家賃7万円台のワンルームには、家具や家電が所狭しと並びます。寝室ははしごを上ったロフトにあり、部屋は3人でいっぱいになる状況です。
山根さん
「(Q.友達を呼ぶことは?)いや、ないですね。もう家に帰ったら休むことを優先している」
3カ月前まで福岡で消防士をしていた山根さん。転職を機に上京しましたが、福岡時代と同じ家賃7万円では、職場周辺(原宿)でなかなか部屋を見つけることができませんでした。
山根さん
「ランニングコストというか、固定で掛かるところ、あまりかけないというところをスタンスとしてとっていて」
辿り着いたのが9平米の部屋。今こうした極小物件の需要は高まっているといいます。
■不動産高騰“ステルス値上げ”
株式会社SPILYTUS 広報
花谷美紀さん
「人気が高く99.8%の入居率がございます」
人気の理由は、安さとアクセスの良さ。物件は、恵比寿や新宿といった人気のエリアにありますが、一般的なワンルームのおよそ半分の面積にすることで、エリアの家賃相場より2万円~3万円ほど抑えられています。
花谷さん
「生活コストが高騰している状態ですので、こういった建物は非常に必要とされているものだと思います。適切な立地がありましたら、もちろん増やしていきたい」
住宅が狭くなっている要因の一つに、いわゆるステルス値上げがあるといいます。販売価格を抑えるため、間取りを維持しつつも、部屋の面積を狭くした物件にするというものです。
株式会社さくら事務所
長嶋修会長
「資材価格、建築費も随分と上がってしまいました。土地も建物も両方上がるというダブルパンチ。“ステルス値上げ”で (部屋を)小さくしたり、中身のグレードを少し下げる。今は3LDKというと60平方メートル台の前半、ものによっては50平方メートル後半ということになっている」
(「グッド!モーニング」2025年2月19日放送分より)
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