活用方法が広がるキャンピングカー 普段は「投票所」災害時は「トイレ」に変身 自治体に加え企業も熱視線 (2025年1月13日)

活用方法が広がるキャンピングカー 普段は「投票所」災害時は「トイレ」に変身 自治体に加え企業も熱視線 (2025年1月13日)

岐阜県可児市に本社を置くキャンピングカーメーカー「トイファクトリー」。発災直後から今も被災地支援の活動を続けていて、その取り組みは、被災者の生活の支えになっています。さらに自社製品の新たな開発のアイデアにもつながっていました。

キャンピングカーを提供して被災地を支援

2024年1月1日、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の大地震が発生。藤井昭文社長はその9日後、自らキャンピングカーを運転して被災地の珠洲市に向かい、全国から応援に来た自治体職員の宿泊場所として5台のキャンピングカーを提供しました。

キャンピングカー用トイレの設置

震災から約1年となる2024年12月。藤井社長は避難所として使われていた珠洲市の集会所に出向き、キャンピングカー用のトイレを設置しました。地震の影響によって、トイレが使えない状態が続いていたのです。

このトイレはフィルムで排せつ物を包んで密閉。包まれた袋を捨てるだけで作業が完了します。水や化学薬品を一切使わないため、非常に便利です。

キャンピングカー用のトイレに、地元の人からは「水さえ使えれば中の元々のトイレがなんともなく使えるが、水が流せないから(使えない)。非常に助かった」との声が寄せられました。

藤井社長:
「感謝の言葉をいただけて、すごくうれしいです。今後も役に立つという形でまだ継続的に設置させていただこうと思っています」

トイファクトリーはキャンピングカーの技術を活かして、「MARU MOBI(マルモビ)」というマルチユースカーも提供しています。この車両は座席が簡単に着脱でき、移動会議室や移動救護室、移動投票所としても使用可能です。

改良版の「マルモビ」には着脱可能なトイレユニットも追加され、珠洲市役所に寄贈されました。個室はカギも閉められるので安心。いつでもどこにでも走って行けるトイレです。

トイファクトリーの新たなビジネスモデル

トイファクトリーは、2024年7月期で年間800台のキャンピングカーを製造し、売上高は68億円に達しています。災害支援での取り組みが評価され、「マルモビ」の問い合わせも急増中。2025年には12の自治体や企業に納入が予定されています。

社会貢献活動と新たなビジネスの糸口

藤井社長は「僕たちがモノづくりでつくっているものが1つでも役に立てば、日本全国どこで災害が起きても役に立つ」と語ります。

トイファクトリー 藤井社長:
「いろいろな方向にアンテナをはりながら、そういうところで役に立つモノづくりができれば良いなと」

日本経済新聞社 岐阜市局 西堀卓司支局長:
「近年、社会貢献活動に力を入れる企業が増えています。背景には単なるイメージアップだけでなく、その活動を通じて新たな需要や社会課題が見つかり、新しいビジネスの糸口になるというメリットもあるようです」

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