“乾燥列島”東京で住宅火災の死者急増 生活の中に潜む意外な出火リスクも…【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年1月8日)

“乾燥列島”東京で住宅火災の死者急増 生活の中に潜む意外な出火リスクも…【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年1月8日)

 住宅火災が相次いでいます。6日までに30日連続で乾燥注意報が出された東京では、住宅火災による死者数が急増しています。

■夕暮れの住宅街 焼け跡から1遺体 長崎

 突然の火の手に騒然とする夕暮れの住宅街。6日午後5時ごろ、長崎県大村市で、住人から「建物の1階から火が出た」と119番通報がありました。

 火の勢いは非常に強く、窓ガラスを割って外へと燃え広がっています。

 ガレージやベランダも炎に包まれていくなか、消防隊も数カ所に分かれ、放水を行います。火の勢いはさらに強くなり、カメラの前にも火の粉が飛び散ります。
 
 建物の裏手に回ると、1階部分全体に火の手が広がっているのが分かります。裏手からも消火を試みますが、屋根を突き破り、激しく炎が上がっています。

 風が強まると、風にあおられてさらに燃え上がる炎。隣の住宅に今にも燃え移りそうなほど火の手が上がっています。

消防
「中に1名いる模様です」

 現場に救急隊のストレッチャーが到着しますが、火が収まる気配はありません。当時、住宅には家族4人がいて、3人は避難しましたが、79歳男性が逃げ遅れたということです。

近隣住民
「(Q.何人暮らしかご存じですか?)何人…6人?おじいちゃん・おばあちゃんと家族6人」

 焼け跡から1人の遺体が見つかり、警察が身元の確認を進めています。

■全国で相次ぐ住宅火災

 住宅火災は札幌でも発生しました。窓から噴き出す激しい炎。時折、爆発音も聞こえます。

目撃者
「爆発音みたいなパチッというよりは、細かい爆発音みたいな。(家が)道路挟んで向かいなので、本当に目と鼻の先状態で。家全体が火で覆われていたので、衝撃しかなかったですね。言葉が出てこないような」

 6日午前0時半すぎ、近くに住む人から「住宅から炎が見える」と消防に通報がありました。消防車など20台が出動しました。

 火の手が収まってくると、続々と消防隊員がはしごに上っていき、消火を続けますが、なかなか鎮火には至りません。

 火はおよそ6時間後に消し止められましたが、焼け跡から年齢や性別の分からない1人の遺体が見つかったということです。

 7日も住宅火災は全国で相次ぎました。名古屋市では消防車など18台が出動する火災が発生し、住宅が全焼。福島県郡山市でも、平屋建ての住宅が全焼し、焼け跡から男性の遺体が見つかりました。

■線路沿いの火災 市民の足に影響 大阪

 住宅火災は、市民の足にも影響を与えました。

 線路のすぐそばで燃え上がる炎。3日、大阪・城東区で起きたアパート火災。空から見ると、線路の真横で煙が立ち込めているのが分かります。

 火はおよそ1時間後にほぼ消し止められ、1人が救助されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。

 この火事の影響で、JR西日本は学研都市線とおおさか東線の一部区間で、およそ2時間半にわたり運転を見合わせました。

 長野県安曇野市でも、線路近くの住宅で激しい炎が発生しました。5日、木造平屋建ての住宅から出火し、78歳女性が顔などにやけどをして搬送されました。

 近くを走るJR篠ノ井線が運行を一時見合わせ、およそ800人に影響が出ました。

■「乾燥で燃え広がるスピードは3倍」

 東京消防庁によると、去年、都内で住宅火災により死亡した人は82人で、過去10年で最多ペースとなっています。

 全国の月ごとの出火件数を見ると、12月から3月にかけては「火災多発期」で火事の発生が特に多く、注意が必要だといいます。

 火災を広げる大きな要因は乾燥です。6日、東京では40日ぶりにまとまった雨が降りましたが、それまでは空気が乾燥した日が続いていました。

 札幌市消防局の実験映像では、乾燥した木材と湿った木材を同時に燃やします。湿った木材にはなかなか火がつかない一方、乾燥した木材にはみるみる炎が燃え広がっていきます。

札幌市消防局 防火安全係 佐藤剛消防司令補
「湿度の低い条件の下では、夏場などの湿度の高い条件下に比べて、実験では約3倍速く燃え広がることが分かっています」

 空気が乾燥した冬は、夏と比べて燃え広がるスピードが3倍になります。

佐藤消防司令補
「木材の中に含まれる水分量が少ないので一度、火がつくと木材が燃え進むスピードがものすごく早くなります」

■冬場の火災リスク ストーブ・こたつに注意

 4日、札幌市で起きた住宅火災では、住民から「ストーブを消し忘れて1階から火が出た」との通報がありました。

 寒さが増す12月から3月ごろの間は、ストーブ火災が増える時期でもあります。

 NITE(製品評価技術基盤機構)による電気ストーブを使った実験映像では、寝返りを打った時に布団が電気ストーブに接触する様子が映し出されています。

 9分ほど経つと煙が出始め、およそ30分経過すると布団に火がつき、激しく燃え上がりました。

 冬場のストーブの使用では、こんな危険性も…。

NITE製品安全センター製品安全広報課 宮川七重課長
「ストーブで衣類を乾かしているという状況ですが、実際スルッと落ちてここに下がってきてしまう。そうすると、これが火種になって火災になるということが起こる」

 NITEによる実験映像では、電気ストーブの上に干した洗濯物がヒーター部分に接触すると、4分後に火がつき、みるみるうちに燃え広がりました。

 他にも、火災につながるリスクのある暖房器具があります。

宮川課長
「こたつもですね、ヒーターとの距離が近すぎたり、あるいはくっついてしまったりとかですね、そういった状況ですと、最悪火事になるような事例もございます」

 こたつの中で洗濯物を乾かしたり、こたつ布団がヒーター部分に長時間接触したりして、火災となるケースもあります。

 NITEによると、2017年から2021年の5年間で、電気ストーブとこたつが原因の火災は347件で、そのうち26件が死亡事故につながっています。

宮川課長
「冬場、なかなか洗濯物が乾かないということで、(ストーブやこたつで)乾かしたくなるお気持ちも分かるんですけれども、その行為はとても危険ですので、やらないでいただきたい」

 さらに、冬場ならではの火災リスクがあります。容器の中で激しく燃える炎。燃えているのは消毒液です。

 風邪予防のため、この時期に需要が増す消毒液ですが、静電気による小さな火花でも引火することがあり、容器を移し替える時などの扱いには注意が必要だといいます。

■被害を拡大させた「フラッシュオーバー」

 去年11月に起きた住宅火災では、被害を拡大させる“ある現象”が起きていたといいます。

 東京・文京区の6階建てマンションの最上階で起きた火事。火元は参院議員の猪口邦子さんの住居で、夫と長女が亡くなりました。窓から炎が噴き出すほど激しく燃え広がり、建物の6階部分のおよそ150平方メートルが全焼しました。

 ここまで火事の規模が大きくなった理由の一つが、フラッシュオーバーです。

元消防大学校教授 冨岡豊彦さん
「火災が成長する段階において、フラッシュオーバーは起きていた」

 炎の熱により室内の温度が急激に上昇。ある一定の温度に達した時に突然、壁や床、家具などが発火し、急激な延焼拡大が引き起こされる現象です。

 東京理科大学・火災科学研究所によるフラッシュオーバーを再現した実験映像です。気密性が高く、家財道具が多く置かれたマンションの一室で、火の燃え広がり方を再現しています。

 当初は局所的だった炎が、1分半ほどで周囲に燃え移り、黒い煙が充満。部屋全体が高い熱となることで、周囲の家具などが発火し、一気に燃え広がりました。

冨岡さん
「フラッシュオーバーは、だいたい1000℃以上(で発生)。今は空気の乾燥してるというのがちょうど重なって、この時期だから、これだけ燃えちゃうみたいなこともある」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年1月8日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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