特集はプレイバック2024。全4回で1年間のできごとを振り返ります。
初回のきょうは「暮らしを変えた“2024年問題”」。
4月から始まったドライバーなどへの労働規制は私たちの生活に何をもたらしたのでしょうか。
財布のひもがいっそう固くなった1年になったようです。
40代「子どものお菓子とか全部高くなっている。余計なものを買わなくなった」
30代「家計簿をレシートでつけていると昨年に比べると食品にかかる金額が特別に買ったつもりがなくても1.5倍ぐらいになっている」
森唯菜アナウンサー「こちらのケチャップは、30円ほど値上がりしました」
井元小雪記者「こちらのキットカット、およそ30円の値上げになります」
永山友菜記者「スナック菓子など様々な商品があすから値上がりします」
帝国データバンクによりますと、この1年で値上げした商品は実に1万2520品目。
今年の値上げには、ある特徴がありました。
帝国データバンク札幌支店・渡辺雄大部長「2024年問題に伴う物流費の高騰といったサービス面でのコストの上昇が最終的に物価を押し上げたのが特徴」
物流の在り方を変えた「2024年問題」。
これまで規制がなかったトラックドライバーの時間外労働が4月から年間960時間に制限され、ドライバー不足から物流コストが大きく上昇しました。
1年を通して値札を付け替える作業に追われたという、札幌のスーパー「キテネ食品館」。
社長の中塚誠さんは2月にこんな不安も語っていました。
キテネ食品館・中塚誠社長「物が何もないという状況が起こるのが一番心配」
棚から商品が消える懸念も…?スーパーの仕入れにも影響が広がっています。
札幌に2店舗を構えるキテネ食品館。2月まで日曜日以外は毎日、食品の仕入れがありました。
しかし、ドライバー不足の影響で3月からは生鮮食品以外の冷蔵品の配送が木曜日、「ゼロ」になったのです。
その、木曜日に店を訪れてみると…。
中塚誠社長「冷蔵庫になっていて、いろいろ商品が入っている。入荷してくるものがないので、この中できょう1日、荷物(商品)を売っていく」
店では前の週の売れ行きや天候などを考慮して仕入れ量を調整。なんとか品切れを起こさないようにしてきたそうです。商品の陳列にも工夫が―。
中塚誠社長「空箱を使って商品の数が少なくても上げ底でボリュームを出す。パッと見た時に『きょういっぱい商品が並んでいるね』というのと、『カラカラじゃない棚、どうしたの』とでは全然気持ちが違う」
「時代の中で(対応)できないということではなく、決められた中でどういうふうに店として運営していくかということが大事になるし大切になる」
ドライバー不足により、道経産局の試算では「2030年には北海道の27%の荷物が運べなくなる可能性がある」ともされる2024年問題。
物流の現場も知恵を絞る1年になりました。
主に道産の農産物を運んでいる富良野の運送会社が7月から導入したのは―。
富良野通運・永吉大介社長「全車両、位置情報のGPSをつけているので現在、車がどこを走っているかすべてわかるようになっている」
車両の位置がリアルタイムでわかるモニターです。
永吉大介社長「次にどこに向かってくださいとか指示が出しやすくなる。今までできていなかったことができる。生産性向上につながる」
輸送力の強化は、空からも。
宅配便などを手掛けるヤマトグループは日本航空とタッグを組み、4月から貨物専用機を導入しました。
1機あたり大型トラック6台分の輸送量に相当し、新千歳―成田便など1日14便が運航しています。
ヤマトHD栗栖利蔵・副社長「(陸路では)いままで2日くらいかかったものが数時間で運ぶことができる。その効果が間違いなく出てくる」
「運ぶ側」だけでなく、「受け取る側」の対応も求められています。
ドライバーの負担となる再配達を減らすため、政府は10月から「置き配」の利用者に対して最大5円を補助する制度を始めました。
一方で、こんな事件も…。
「男が狙ったのは部屋の前に置かれていた『置き配』の荷物でした」
8月には、札幌市白石区の男がマンションの部屋の前にあった「置き配」の荷物のゲーム用パソコン一式、およそ15万円相当を盗んだ疑いで逮捕。
宅配ボックスにも注目が集まりました。
ドライバー不足による影響は、物流のみならず、市民の足にも…。
「12月に入り多くのバスが減便となりました。ここ福住駅のターミナルでも多くの便の減便が決まっています」
札幌市内では12月からじょうてつバス、北海道中央バス、ジェイ・アール北海道バスの大手3社で、あわせておよそ320本が減便となりました。減便の影響で混雑が激しくなったバス停も。
客「きのうは乗れるか乗れないかギリギリで、次のバス停の人たちは乗れない状況だった」
「地域の足」を失う危機にさらされたエリアもあります。
札幌市南区真駒内の「駒岡地区」では地下鉄真駒内駅からの路線バスが公共交通の柱ですが、北海道中央バスは来年3月いっぱいで路線を廃止すると町内会などに伝え、衝撃が走りました。
住人「残念というより困る。廃止は反対」
事態を重く見た市は代替交通を模索。
来年4月からは市の補助金も活用して民間の「札幌ばんけい」が路線を引き継ぐことになっています。
秋元市長「住民の皆さまの足を確保していくことに、これまで以上に力を入れていかなければいけない」
2024年問題が持ち上がってから初めて迎えた冬。
除雪体制に影響はないのでしょうか。
札幌除雪事業協会・宮浦征宏会長「除雪作業は災害に値するということなので、基本的なスタンスとしては除外ということになっている。基本的には影響を受けないということになっている」
生活に欠かせない道路などの除排雪は、労働基準監督署に届け出れば、これまでと変わらず時間外労働の上限に関わらず従事できることになっています。
宮浦征宏会長「ただ、当然働く人たちのことを守らなければいけないので、役所と打ち合わせをしながら作業体系は考えていかなければ」
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