「稼ぐの難しい」「収入減った」中国で相次ぐ無差別殺傷は“社会への報復”? 事件で注目「三低三少」とは【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

「稼ぐの難しい」「収入減った」中国で相次ぐ無差別殺傷は“社会への報復”? 事件で注目「三低三少」とは【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

中国で相次ぐ無差別殺傷事件。今、事件の背景として注目されているのが「三低三少(さんていさんしょう)」というワードです。一体どういうことなのでしょうか。

■相次ぐ無差別殺傷事件 “社会への報復”?

良原安美キャスター:
中国で相次ぐ無差別殺傷事件についてお伝えします。

この1週間だけでも3件相次いでいます。11月11日、広東省で男が車で暴走。35人が亡くなり、43人がけがをしています。その5日後です。16日、江蘇省でも男が学生らを切りつけ、8人が亡くなり、17人がけがをしています。

さらに19日、湖南省で男が児童らを車ではね、多くの人が負傷しています。これ以外にも、無差別に人を狙う事件がたくさん起こっているんです。

この状況を受け、習近平国家主席が「極端な事件の発生を防ぎ、国民の生命安全と社会の安定を全力で保障しなくてはならない」と発言。再発防止や社会の安定に全力を尽くすよう重要指示というものを出しました。

ホラン千秋キャスター:
阿古さん、この重要指示というのはどんなときに出されるものなのでしょうか?

東京大学大学院 阿古智子 教授:
社会に対して深刻な影響が出た事件に対して出すことが多いのですが、今回は死傷者数がかなり大きいということがあると思います。

ホランキャスター:
これが出されると、どんな効果があるのでしょうか。

阿古智子教授:
今の状況では効果はあまりありません。中国政府はパフォーマンスを強調して自分たちの国はよくやってるというところを前に出すのですが、今回はやはり問題点が出てきているので、政府の責任がどうなるのかを皆さん問題視していると思います。

死傷者や家族へのケアだけでなく、管理を強化すると言っています。「三低三少」といわれるような世界との接点が少ない人たちは、そもそも中国政府が管理を強化したから人々が繋がっていけない、問題を抱えていても悩みが相談できない、ということになっているのです。

ホランキャスター:
そうすると管理を強化すると、もっとそれが強くなっていきますね。

阿古智子教授:
もっと皆さんは緊張して、どうやってその問題を相談したらいいのか、どのような人と繋がっていけばいいのか、わからない状態にあると思います。

井上貴博キャスター:
中国政府は自分たちがやってることは全く間違いがないんだ。海外から何か言われると、それは内政干渉だと突っぱねる。萩谷さん、最近の犯行を見ていると、いくら監視カメラを増やしても、犯行後に逃げる気のない犯人には全く抑止力にならない。しかも事件を起こしそうな人を特定するというのがまた差別を生んで負の連鎖を助長し、より加速していってしまうなと感じます。

萩谷麻衣子 弁護士:
その懸念はありますよね。危なそうな人を探し出して取り締まったりSNSを規制しても、それは事態の根本的な解決にならない。こういう事件が起こる背景、貧困や格差、若者の失業率の高さといったものに中国政府が目を向けていかないと、事態は本当に深刻になるばかりではないかと思いますね。

■地方政府が管理を支持か 事件で注目の“三低三少”とは?

良原キャスター:
事件の背景にはやはり社会への不満というものがあるようです。中国のSNSにも、「社会への報復が続々と出てきている」といったコメントも相次いでいます。

また中国社会には、経済低迷を背景に将来への不安が広がっている。社会の不満がこうした事件が相次いで起こっている背景にあるといいます。

実際に犯行の動機を見てみると、11日に起こった暴走車両の事件では、離婚後の財産分与を巡って不満を募らせた可能性があるとされています。

また、16日の切り付け事件では、卒業証書をもらえなかったことや職場での報酬などに不満を持っていたといったことが言われています。

そんな中で注目されているのが「三低三少」という言葉です。
「三低」というのは、所得、社会的地位、社会的人望が低い。
「三少」というのが、人との付き合い、社会と触れ合う機会、不満を口にできる機会が少ないということ。
地方政府は事件を起こす可能性がある人として、この「三低三少」の方を重点的に探して管理するよう指示していると香港メディアが報じています。

ただ、この事件を起こしている方の層を見ると、低所得層・中間層・富裕層と幅広い層に及んでいます。

阿古教授によりますと「中国の経済が悪化して倒産や失業などが相次いでいる。その影響で社会全体で生活のレベルを下げるダウングレードを余儀なくされている」ということなんです。

ホランキャスター:
阿古さん、例えば離婚での財産分与の件や卒業証書の件というのは、個別のケースではなくて社会的なシステムに対する不満という風に取るべきなんですか。

阿古智子教授:
そうですね。当局による動機の説明だと個人的な問題に見えますが、例えば財産分与については司法の裁判そのものに対して不満があったとも言われています。もしそうだとすれば公平公正な判断が下されなかった可能性や、財産が経済悪化している中で目減りしてしまって何かトラブルになっていると…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20241120-6203721)

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