ビジネスマン出身で経済に明るかったスナク首相ですが、それでも経済の混乱や国民生活の立て直しができなかった。
それが今回の歴史的惨敗につながったということでしょうか。
このニュースについて、立石修解説委員室長とともにくわしくお伝えします。
イギリスといいますと、暮らしも優雅というイメージを持ってしまうんですが、実は市民生活は今、大変な状態なんです。
具体的には高すぎる物価、そして払えない家賃、混乱する医療体制この3つです。
高すぎる物価については、例えば卵は12個で約670円。
キュウリ1本も約170円と、日本とは比較にならないほど非常に高いということです。
食品全体としましては、2022年と比べて25%も上昇しています。
特に、低所得の方や中所得の一般の市民の生活を直撃しています。
そして払えない家賃については、ロンドン市内の家賃の上昇率を表したグラフを見てみると、3年前から急激に上昇していて、2024年の1月は前の年に比べて6.9%も高いということです。
実は、2023年の9月までの1年間で、ホームレスの人たちがロンドン市内で14.5%も増えたんです。
ロンドン郊外にあるクロイドンという街では、住む場所を失った人たちが廃校になった学校を不法に占拠して、自分たちでリフォームして暮らしているんです。
確かに不法占拠ではあるんですが、彼らが主張しているのは「路上の生活をこのまましていたら死んでしまう。使われていない建物などをホームレスや低所得の人を助けるために活用すべき」だと政府に求めているんです。
そして混乱する医療体制についてです。
イギリスでは、NHS(国民医療サービス)があり、イギリスに暮らす人は基本的に誰でも無料で診療を受けられるという、一見するといい制度も。
移民の方も受けられるということで、非常に公平なサービスとして歴史的な意義があったんですが、現在は、医療費の高騰や戦争やコロナなどによる財源への影響もあり、問題が目立つようになってきました。
トロンボーン奏者でがん患者のナサニエルさんは、NHSに最初に体調不良を相談してから科学治療を受けるまで100日以上待たされ、その間に症状が悪化したと訴えています。
保守党の政策を強くナサニエルさんも批判してます。
こういう一人一人の市民の声が、スナク首相の大敗につながったといえると思います。