秋のアメリカ大統領選の前哨戦となるテレビ討論会が開かれました。
4年ぶりに相まみえた民主党・バイデン大統領(81)と共和党・トランプ前大統領(78)。開始わずか3分で、はっきり明暗が分かれます。
バイデン大統領:「私が大統領に就任したとき、国の経済は壊滅状態で、働き口もなく、失業率は15%に達するなど、悲惨な状況を立て直すところから始めた。新たに“1万5000人”の雇用を創出し、製造業分野では80万人分を創出したが、まだ不十分だ」
バイデン政権下で生み出された雇用は、1500万人だったはずです。自身の功績をアピールする場で、手痛いオウンゴールを決めてしまいます。
さらに、数秒間、言葉が出てこない場面もありました。
バイデン大統領:「身寄りのない人全員が受給できる…新型コロナの時に… 失礼…我々の対応としては、つまり…やっと高齢者向け医療保険制度をたたけた」
声が異常にカスれているのも気になります。最初の休憩に入ったときに、理由がわかりました。バイデン氏は、風邪を引いていたそうです。
相手が本調子でないことをいいことに、トランプ氏は言いたい放題です。
トランプ前大統領:「彼は、間違いなく史上最低の大統領。討論する必要もない。プーチンとゼレンスキーの戦争を、私なら大統領就任前に仲裁してみせる」
次第に両者は“非難の応酬”という形でかみ合っていきました。
バイデン大統領:「この場で有罪判決を受けた重罪犯は、この男だけだ。発言内容もデタラメだ」
トランプ前大統領:「重罪犯と言われたが、彼の息子こそ、質の悪い重罪犯で、さらに数えきれないほど罪に問われるだろう」
バイデン大統領:「公の場で、女性に対する性的暴行に加えて、妻の妊娠中にポルノ女優と性的関係を持ったくせに。どの口が言うのかね? 君は“路地裏の野良ネコ”か?」
一番、ひどかったのが、終盤、お互いの年齢に話題が及んだときです。
トランプ前大統領:「私は、シニアクラスではないゴルフの大会で2回優勝した。頭が回るのはもちろん、ボールを遠くまで飛ばせる力も必要だ。彼が私にゴルフで挑んだところで、50ヤードすら飛ばせないだろう」
バイデン大統領:「何なら彼とドライバー競争をしてもいい。副大統領時代は、ハンデ6ほどの腕前だったんだ。以前、自らバッグを担いで一緒にコースを回ってもいいと言ってきたが、やってみるかね? 」
トランプ前大統領「ハンデ6なんて、これまでで一番の大嘘だ。あんたのあのスイングじゃ無理だよ。幼稚なマネはやめろ」
バイデン大統領:「幼稚なのはそっちだ」
結局、4年前にも見た、誰も得しない言い争いで討論会は終了しました。
世論調査では、67%がトランプ氏の勝利だと回答しています。
討論会を主催したCNNの解説コーナー。
オバマ元大統領特別顧問・ジョーンズ氏:「見ていて、つらかったです。私はバイデン大統領が好きですが、きょうの彼は、良いところが皆無でした。支持者の信頼を取り戻そうとしたが、失敗した」
政治評論家・ジェニングス氏:「友人からメールが来ました。前回は『トランプが嫌いなので、バイデンを支援した」という人ですが、『決して民主党を許さない。すぐに手を打つべきだ。今のままではだめだ』と」
ほかをみても、ほとんどのメディアが、バイデン氏に厳しい論調です。
ニューヨーク・タイムズ:「ぎこちないパフォーマンスにうろたえる民主党」
ワシントン・ポスト:「たどたどしく、迷走状態のバイデンに民主党は狼狽」
討論会終了後、バイデン氏はワッフル店を訪れました。
バイデン大統領:「(Q.討論会のパフォーマンスに懸念は)問題ない。嘘つきの相手は大変だ」
強気な姿勢をアピールしますが、忘れてはいけないのが、これが大統領選の候補を正式に決定する党大会前に起きたということです。バイデン氏自身が撤退の意志を示せば、党大会で新たな候補者を立てることが可能になります。
そのための布石なのでしょうか。さっそく、民主党内からバイデン降ろしの声があがっているそうです。
CNN・キング主席特派員:「民主党内では深遠かつ広範囲なパニック状態です。戦略担当・議員・資金調達者らがどうすべきか話し合っている。『ホワイトハウスに赴き、大統領に選挙戦から撤退を求めるべきか』『また、その呼びかけを公にするべきか』という話もある」
ニューヨーク・タイムズ紙コラムニスト・フリードマン氏:「バイデン一家と選挙陣営は、いち早く一堂に会し、愛情・明晰(めいせき)さ、決意をもって、何よりも話しにくいことを大統領と話し合うべきだろう。大統領は、再選を断念して、全代議員の指名を返上すると自ら宣言すべきだ」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2024
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