栃木県大田原市議会の議員が、小学生の娘の健診結果に納得できず、強い口調で学校側にクレームを入れていたことが分かりました。「医者をやめてしまえ」と言われた学校医は辞任し、後任が決まっていません。
■市議が「学校医」にクレーム 原因は?
19日に開かれた市議会定例会の冒頭です。
大田原市議会 菊池久光議長
「多くの市民の方々に対して、本当にお騒がせをして申し訳ございません」
議長が異例の“陳謝”を行いました。「お騒がせしている」その内容とは…。
トラブルのきっかけは、小学校の健康診断でした。齋藤藤男議員(44)は娘の健診結果に納得できず、学校医に電話で「医者なんかやめてしまえ」などと発言したということです。
齋藤市議は、去年11月に初当選した新人議員。なぜ、そのような発言したのでしょうか。19日、市議を直撃すると「経緯をしっかり伝えてほしい」として番組にこう語りました。
齋藤市議
「報道に関しては、事実な部分がほとんどです。『医者をやめてしまえ』と言いました」
「(Q.それはどういった思いから?)(娘の健診結果で)肥満度という数字が書かれていて、“肥満”のところに丸が付いて。ウチの子どもはそんなに太っているように見えなくて、本当におかしいのかなって」
小学生の娘を“肥満”と診断されたこと。それが原因でした。
齋藤市議によると、娘の健診結果にあった「肥満度」の数値は、一般に「正常範囲」とされるものでした。にもかかわらず“肥満”と判定され、診察を受けるよう言われたことに疑問を感じたのだといいます。
そこで、最初は学校に問い合わせましたが、要領を得ないため、学校医に直接電話を掛けたということです。
齋藤市議
「肥満の通知をいただいてから、ウチの娘も朝飯は食わない。昼食は学校の給食もおかわりをやめた。夜はまったく食わないとなって、これはまずいだろと。そうやって肥満外来ではないが、自分のところのお客さんになるようにしているのかと思って、お金もうけだけ考えているような医者だったら、『医者なんかやめてしまえ』ということを言った」
番組は市に確認したところ、身長・体重・年齢から自動的に計算される「肥満度」以外にも、学校医の判断で個別に受診を促すことはあるということです。
齋藤市議
「(Q.発言については?)本当に浅はかだったと思う。頭に来ちゃったので。あと、僕が市議会議員だと名乗ってなかった。今までも“普通の人”だったから、僕は(電話で)名前も言わなかったから分かんないだろうみたいな感じもあったんだと思う。だから言っちゃった。言い方ですよね、やっぱり。言った内容も『やめちまえ』はおかしい」
■「学校医」は辞任…後任見つからず
30年以上にわたり「学校医」をしてきた70代の男性医師はこの後、辞任しました。
突然の辞任で、対応に追われているのが市役所です。そもそも学校医は、学校ごとに地元の医師から任命され、定期的な健康診断や感染症などが発生した場合に学校側と相談、助言などを行います。
大田原市教育委員会
篠山充教育長
「学校医がいないと、学校の健診とかうまく回せないところがある。新しい校医さんを人選してほしいと医師会にもお願いをしている」
しかし、ただでさえ学校医は手当が少なく“なり手不足”という現実もあり、後任は見つかっていません。
齋藤市議は18日、辞任した学校医の所へ直接、謝罪に行ったと話します。
齋藤市議
「今回は本当に『言葉が過ぎました』と。『学校医を続けてほしい』と言ってまいりました」
ただ男性医師は、辞める意向を撤回していないといいます。番組でも、本人に取材をお願いしましたが、「この件についてはノーコメント」という回答でした。
■責任の対応協議…市議「4年間は続けたい」
一方、市議会は齋藤市議の倫理的な責任を含め対応を協議する方針です。
菊池議長
「議員は一人の公人なので、発していい言葉というのはある。何らかの形で、議会の対応はとっていきたい」
齋藤市議
「それ(処分)は仕方ない。いろんな対応をそのまま受け止めていく。(ただ)皆から負託を受けて議会に出させていただいているので、4年間は続けたいとは思っています」
(「グッド!モーニング」2024年6月20日放送分より)
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