バブル期以来、最高の上乗せ率となった公的年金が14日に支給されました。しかし、受給者の生活を追うと、物価高に苦しむ年金生活者の姿がありました。
■年金支給額増額も…物価高に苦しむ
銀行ATMにできた長い行列。年金受給日にはおなじみの光景です。89歳の北原さんも年金を下ろしにきました。妻とは死別し、都営住宅で一人暮らしをしています。
北原さんの通帳を見せてもらうと、残高は202円。今回の支給額は、4月に支給された額よりも、およそ5500円増えています。
公的年金の支給額は、物価変動率などに応じて変わります。今月からは、昨年度よりも2.7%引き上げられました。
ところが…。
年金受給額12万円/月 北原さん
「(Q.年金上がって生活は楽になる?)楽にならない。食費がどんどん上がってくる」
今年度は賃金と物価の変動がどちらもプラスになったことから、支給額自体は上がりました。
しかし、現役世代の負担を考慮し、調整が行われて、賃金上昇率より0.4%低い引き上げに留まりました。
物価高に追いつかない厳しい現状。北原さんの年金暮らしの自宅に行くと、まずはこの日購入した野菜ジュースで栄養補給。これまで1リットルを200ミリリットルずつ、5日に分けて飲んでいましたが、「ここに来て物価高の影響を思い知らされた」といいます。
北原さん
「(元は)1000ミリリットルだったので、200ミリリットルずつ飲むと5日で終わるはず。 5日目に、どうしても足りなくなる。なぜかと思って見たら、900ミリリットルに減らしてる」
北原さんは、容量が減っていることに気付いたといいます。
北原さん
「貯金も1500万か2000万ないとダメというが、そんなの昔に言ってくれ。だから、今、貧乏してる」
■取材中に詐欺 登録料1万円「郵送して」
同じ日、北原さん同様、年金を下ろしにきたのは、山田さん(仮名・80)です。今月の年金が振り込まれるまで、通帳の残金は879円しかありませんでした。
年金受給額/13万円 山田さん(仮名 80歳)
「(Q.年金は上がったが?)そんなの気持ちだよ」
「物価の上昇の方が大きい。だから、全然足しにならない」
話を聞くうちに、番組スタッフは山田さんの年金を詐欺が狙っていることに気付きます。
山田さん
「(Q.年金生活はきつくない?)そのうち、ロト(の賞金)が送られてくるから」
宝くじが当せんしたため、振り込みを待っているというのです。山田さん宅で詳しく話を聞くことにしました。
山田さん
「(Q.いくら当たった?)2000億円」
「(Q.2000億円?)そう、2000億円」
テーブルにあった書面には、同封されていた封筒に「登録料」という名目で現金を送るよう指示がありました。
山田さん
「(Q.怪しいが本物?)本物だよ」
「(Q.本物ですか?)本物だよ」
現金書留以外で金を送ることは通常あり得ませんが、「すでにおよそ1万円を返信用の封筒に入れて2日前に送り返してしまった」といいます。よくよく話を聞いてみると、山田さんは宝くじを買ったこともありませんでした。
オーストラリア大使館のホームページには、宝くじ詐欺に注意するよう呼び掛けがありました。番組スタッフが男性に伝えると…。
山田さん
「(Q.これは詐欺)詐欺ですか…」
「(Q.次から送り返さないように)そうだね」
お金を郵便局に返してもらえるか問い合わせると、幸いまだ発送されておらず、後日受け取ることになりました。
山田さん
「(Q.苦しい年金生活のなか、こんなことに)そうだよね。大金が見えていたのに、全然見えなくなっちゃった」
「(Q.今後は送り返さないように)はい。分かりました。ありがとうございました」
(「グッド!モーニング」2024年6月17日放送分より)
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