【ニュース】“日本三大秘境”祖谷に外国人観光客殺到 1日1組限定の宿…本物の異文化体験を求めて

【ニュース】“日本三大秘境”祖谷に外国人観光客殺到 1日1組限定の宿…本物の異文化体験を求めて

徳島県三好市にある祖谷地域「かずら橋」は、徳島空港から2時間以上かかりますが、多くの外国人観光客が訪れています。最近では、日本の秘境を訪れる外国人観光客が増加しています。

■「日本三大秘境」祖谷 外国人観光客が訪問

 徳島空港からバスと特急を乗り継ぎ2時間以上、四国のほぼ中央に位置する徳島県三好市の祖谷地域。1000メートル級の山々に囲まれ、手つかずの雄大な自然が多く残り、絶景スポットが点在しています。

 深く切り込んだ渓谷がひらがなの「ひ」に見える「ひの字渓谷」は、季節によっては雲海が広がり、幻想的な光景も見られます。

 また、谷底まで200メートルの断崖絶壁に突き出た岩に突如現れる「小便小僧」は、かつて地元の子ども達が度胸試しをしたという逸話をもとに作られました。

 高低差およそ400メートルの急斜面に広がる「落合集落」には、かやぶきの古民家が点在し、日本の原風景が今も残っています。

 この祖谷地域は岐阜の白川郷、宮崎の椎葉村と並び「日本三大秘境の一つ」と言われています。

 吉野川が2億年かけ作り上げた美しい渓谷「渓谷大歩危峡」は、「切り立った崖の上を大股で歩くと危険」という戒めが名前の由来と言われています。

 遊覧船乗り場には、観光バスから次々と降りてくる外国人観光客の姿が見られます。

 渓谷と新緑が織りなす光景に思わず、こう述べます。

オーストラリアからの観光客
「絵画のように美しい。オーストラリアの木々は日本とは違って、季節ごとに変化しません」

大歩危峡観光遊覧船のスタッフ
「(外国人利用客は)初めて聞いた国とかも、なかにはありますね。ホンジュラスとかアンゴラとか」

 秘境の玄関口・JR大歩危駅では、電車や路線バスが到着すると、駅前には大きなリュックやスーツケースを抱えた外国人ばかりが見られます。

 秘境・祖谷を代表する名所「かずら橋」。全長45メートルのこのつり橋は、かつて平家の落人(おちゅうど)が追手が迫った時に切り落とせるように、かずらのつるを編み込んで作ったと言われています。

南アフリカ出身の男性
「こわーい、楽しい、楽しいです」

 「眼下に美しい清流をのぞみながら、少しスリリングな体験ができる」と人気を集め、昨年度は4万5000人以上の外国人が訪れました。

フランス人観光客
「素晴らしいですね!とても良い経験でした。自然と文化が一体化してできた橋ですから、素晴らしいですね」

 多くの観光客が、かずら橋を渡り楽しむなか、ドイツから来たダニエルさん夫婦が心を奪われたのは橋ではなく、下を流れる祖谷川です。

ダニエルさん
「とてもすてきだね。本当に美しい」

 あまりの水の美しさに興奮したのか、ダニエルさんはズボンの裾をまくり上げ、一目散に川の中へ。「自然と一体になったよ!」と話しながら、ズボンが濡れるのもお構いなしに清流を堪能します。

ポーラさん
「彼は冒険好きで、突進していくんです」

ダニエルさん
「これまでヨーロッパや北米、南米、アジアも少し回ったことがあるけど。なかでも、ここの自然と渓谷は最も美しいよ」

 さらに、興奮冷めやらぬ様子のダニエルさんは、近くの滝を見つけると、下着姿で滝の中へ。

ダニエルさん
「氷に打たれているようだった。(滝に打たれるのは)自然とつながるベストな方法だと思うよ」

■異文化体験を…外国人が訪れる秘境の宿

 わざわざ多くの外国人が、なぜ日本三大秘境の祖谷を訪れるのでしょうか?

 築80年の古民家を改装した「カジヤ祖谷浪漫亭」は1日1組限定の宿で、なんと客の8割が外国人です。アメリカやフランス、フィンランドなど世界中から客が訪れていて、今年は秋まで予約が埋まっています。

 海外向けの宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム」では、10点満点中9.5点と高評価です。口コミには「昔の日本の生活を知ることができ、とても楽しかった」「マジカルな祖谷での独特な体験。日本のライフスタイルと文化にどっぷりと浸れます」とあります。

 はたして、どのような体験なのか。午後3時にやって来たオランダからの4人家族は、3週間かけて日本各地を旅しているそうです。

リンゼさん
「とても美しいですね。このような建物に入るのも、このような場所に来るのも初めてです」

 到着して間もなく、宿のオーナー四宮康貴さんがリンゼさん家族を外へ連れ出しました。手渡したのは「祭」と大きくプリントされた手ぬぐいとエプロンです。

 始まったのは、まき割りです。自分で割ったまきを使い「五右衛門風呂」をわかします。

 リンゼさんは家族に良いところを見せたいのか、大きな丸太を選びますが、「これはとても大変だ!」と慣れない作業に悪戦苦闘。

 家族で手分けをし、黙々と1時間まき割りを続けたリンゼさん一家。まきがいっぱいになったところで、お風呂のたきつけへ。

リンゼさん
「これは煙いね」

 日ごろからバーベキューをしているそうで、火起こしはお手の物です。

イネケさん
「42℃よ」

リンゼさん
「42℃?」

イネケさん
「42℃よ。あなたを誇りに思うわ。良い感じね。お風呂大好き」

 妻のイネケさんは、湯加減にご満悦です。

 一方、初めての火起こしに苦戦していた長女のロッツェさんは、かまどで夕飯用のご飯を炊きます。

ロッツェさん
「(Q.火がつかないと、ご飯が食べられませんね?)責任重大です」

 かまどの火と格闘すること、およそ1時間…。

ロッツェさん
「準備は良い?」

リンゼさん
「良いよ!」

ロッツェさん
「良いにおい」

 午後8時の夕食は囲炉裏を囲み、地元特産の「石豆腐」や徳島のブランド鶏「阿波尾鶏」でおもてなし。

イネケさん
「本当にすてき。上手に調理できているし、鶏肉も柔らかくて美味しいわ。(囲炉裏のある暮らしは)今もやるべきよ。すごく良いから」

 初めて羽釜で炊いたご飯の味は?

ロッツェさん
「良い出来です。しっとりしているから、はしでもつかみやすいし、味もすごく良い」

 本物の異文化体験を求めやってきた「秘境の宿」。一日の終わりは「和ろうそく」の優しい光で、家族団らんのひと時を楽しみます。

リンゼさん
「想像を超えています。こんな体験は二度とできません」

■「人間そっくりのカカシ」限界集落に…

 外国人の姿は、秘境のさらに奥地にも見られます。標高およそ800メートルに位置する名頃集落。そんな山奥にも人だかりができていました。イタリアから来た20人ほどのツアー客です。

 この集落の住民はわずか25人。65歳以上の高齢者が7割を占める限界集落に、なぜ大勢の外国人ツアー客がいるのでしょうか。

イタリアからのツアー客
「もう1回、もう1回やって」
「これでいいかい?」
「(このカカシは)みんな俺の子どもたちだよ」

 お目当ては、集落の至る所に置かれた人間そっくりのカカシ。畑で農作業をするカカシや、窓をのぞき込むカカシ、そしてベビーカーに乗った赤ちゃんなど、350体のカカシが集落のあちらこちらに置かれています。

イタリアからのツアー客
「(Q.イタリアに、こんな村はありますか?)ないわ」
「人が住んでいない村はあるけど(カカシだらけの)こういう村はないね」

 名頃集落は、標高の高さも相まって、別名「天空の村かかしの里」と呼ばれています。

 カカシを作るのは集落に住むカカシ作家・綾野月美さん(74)。およそ20年前、父親をモデルにしたカカシを作り、畑に置くと、近所の人が勘違いして話しかけたといいます。

 綾野さんはその様子が面白く、徐々にカカシの数を増やしていきました。およそ10年前、ドイツから来た留学生が「かかしの里」を紹介する動画をネットで配信し、世界に知られるようになりました。

綾野さん
「かかしを作っていない時は、誰も立ち寄ってくれる所ではなかった。まさか外国の方が見に来てくださるとは、夢にも思っていませんでした。うれしいです」

 オランダから来た2人の観光客は、名頃集落が念願の目的地だといいます。

オランダからの観光客
「5年前から計画して、ようやく来られました。旅行の間、ずっとここを楽しみにしていたんです」

 綾野さんは、そんな2人をとっておきの場所に案内することに。向かったのは、廃校になった小学校です。

 体育館の一面に並べられたカカシ、阿波踊りを踊る集団やコタツで談笑するカカシたち。そして、綱引きをするカカシたちも…。

オランダからの観光客
「もう信じられない!」
「(Q.わざわざ祖谷に来る価値はあった?)本当の日本が感じられました。東京や京都、大阪だけでは知りえなかったです」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月11日放送分より)

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