政治資金規正法の改正を巡って国会で、立憲民主党の野田佳彦元総理大臣が、岸田文雄総理大臣を厳しく追及しました。自民党案に対して「顔を洗って出直してこい」と突き放す場面もありました。
■「一番遅くて薄っぺらい」自民案に痛烈批判
立憲 野田元総理
「(改正案の取りまとめが)一番遅かったのが自民党ですよ。一番遅いうえに、中身が一番薄っぺらい。だいたい遅いって変じゃないですか?当事者なんだから、裏金問題の。顔を洗って出直してこいと、たんかを切りたくなるくらい」
日本維新の会 青柳仁士議員
「絶望的にお粗末な案が出てきたなと。この期に及んで、よくこんな恥ずかしい案を出せたなと。驚きを通り越して、あきれています」
20日、国会で相次いだのは、自民党が出した政治資金規正法・改正案への痛烈な批判です。
自民党が打ち出した改正案は、政治資金パーティーは存続。これまでは20万円を超えるパーティー券の購入者に限定していた公開基準を10万円に引き下げ。
党内で年間およそ10億円の予算があるとされる「政策活動費」は、「選挙関係費」など大まかな項目を党に報告すれば良いだけで、具体的な使い道を明らかにする必要はなく、領収書の添付も不要です。
■政策活動費“領収書必要なし” 岸田総理は…
これに対し、政治資金パーティーや政策活動費の禁止を打ち出している立憲民主党は、次のように追及しました。
立憲民主党 落合貴之議員
「自民党の場合は、(政策活動費が)1年間で大体10億円ぐらい。二階さんは5年間、幹事長やられていましたので、50億円近く受け取っているということでございます。領収書を公開しないのに、これに使いましたってどうやって、国民が分かるんですか?自民党は自主的に公開するんですか?」
岸田総理
「領収書をすべて添付公開した場合、具体的な支払い先、これは明らかになってしまいます。企業の営業秘密、さらには政党の戦略的な運動方針が他の政治勢力や外国に明らかになる。こういった恐れへの配慮が重要だという議論を度々させて頂きました」
立憲 落合議員
「5年間で50億円を全額見せられない使い方をしているんでしょうか?」
岸田総理
「見せられないという意味ですが、要は法律に違反するようなことをしているかというご指摘であれば、それはそういったことはありません」
■政策活動費について、ANN世論調査では
政策活動費の使い道については、やましいところはないと主張した岸田総理。自民党が提出した改正案について、街の人からは次のような声が聞かれました。
50代
「あきれてものも言えない。企業にいると、お金を使ったら経費とかも全部(領収書を)出すじゃないですか。政治だから出さなくて良いって、おかしいと思っていて。それが面倒くさいなら、政治家を辞めれば良いじゃんって話ですよ。やましくないって証明したいなら、領収書を出しなさい」
20代
「身近な人に使ったりとか、自分の関係がある人に使ったりとか。世の中のために使うというよりかは、身内に使ったりして、それを公表しないこともできるのではないですか」
ANNが実施した世論調査でも、政策活動費について「領収書とともに全面公開する方が良い」が47%、「政策活動費自体を廃止」が30%、自民党案にある「項目を明示する」は19%にとどまっています。
■公明の協力が不可欠だが…自民関係者は
改正案は連立を組む公明党からも賛同が得られず、自民党単独での提出となる異例の事態になっています。
自民党は参議院で単独過半数を確保していないため、公明党の協力が不可欠ですが、こうした状況に自民党の関係者は次のように話します。
自民党 ベテラン議員
「法案に賛成しないなんて、連立を組んでる与党としておかしい。選挙も遠くない将来あるわけだし、(公明党は)色々考えて動いているんだろう。公明党もずるいから。何とか自分たちの存在感を出したいというところだろう」
自民党 関係者
「公明党が『何もできなかったよりは、法改正できたから一歩前進した』と、言い訳できる状況になるのを待つしかない」
自民党の裏金事件を巡っては、衆議院の政治倫理審査会が、収支報告書に不記載があった安倍派の議員など44人に審査会への出席を求めていましたが、回答期限となる20日までに出席すると答えた議員はいませんでした。
(「グッド!モーニング」2024年5月21日放送分より)
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