大規模停電、スマホの通信障害、人工衛星の落下…「太陽フレア」は神秘的なオーロラを発生させる一方、通信や電力系統などに深刻な影響を与えることもあります。そのメカニズムとは?太陽のさまざまな活動周期の分析から、来年は、これまでで最大規模の「太陽フレア」が発生する可能性も取りざたされているのです。
情報通信技術が進歩したことにより、江戸時代にはなかった“文明進化型の災害”に備える必要があります。過去の被害とは?今後どういった被害が想定されるのか…手作りフリップで解説します。
■太陽フレアとオーロラ
こちらは江戸時代の書物。赤く放射状に描かれているのは、当時、京都から見えたオーロラではないかと考えられています。この時も大規模な太陽フレアが発生した可能性があるのです。
そもそも、どのようにして太陽フレアがオーロラをもたらすのでしょうか。
太陽フレアとは、太陽の表面で起きる爆発現象のことで、その際、電気を帯びた粒子である陽子や電子が放出されます。地球は大きな磁石と同じで、電気を帯びた粒子は、N極やS極に引き寄せられます。その際、大気中の酸素や窒素などと衝突することによって発光。これがオーロラです。
オーロラは、北極や南極付近で発生するため、通常、日本のような緯度の低い地域では見ることは出来ません。しかし今回は、大規模な太陽フレアが発生したことによって、通常よりも大きなオーロラが出現したため、日本からも見ることができたのです。ちなみに、オーロラは、高度によって色が変わるため、日本から見えたオーロラは高度の高い、赤い部分が見えていたということです。
■“大規模”太陽フレア 通信などにも影響
太陽フレアは、オーロラを発生させるだけではなく、人工衛星や通信機器などにも影響を及ぼします。今回、大きな被害は報告されていませんが、過去には、様々な被害が出ています。
1859年には欧米で、電報サービスが広い範囲で停止したとされ、1994年のリレハンメル・オリンピックの際には、テレビ中継が、中断するトラブルも引き起こされました。
2年前には、スペースX社の通信衛星の打ち上げの際、49基のうち40基が落下するという現象が起きていますが、これも太陽フレアの影響が指摘されています。
■太陽活動 次のピークは来年
歴代の最大規模は1859年に発生した太陽フレアと考えられていますが、太陽のさまざまな活動周期のデータから、実は、このクラスの太陽フレアが来年にも発生する懸念があります。
政府は、100年に1度、起きるかもしれない太陽フレアの影響による最悪のシナリオを公表しています。携帯電話やネットが2週間程度、断続的に使えなくなることや、無線機器の障害により航空機などの運航に支障が出ること、大規模な停電、などが想定されています。
「文明進化型の災害」と位置付けられる太陽フレアの問題。専門家は、「情報通信技術が日々進化しているため被害は未知数。今後、AIの発達や自動運転の普及など技術が進化するほど影響が大きくなる懸念もある」と指摘します。
来年は、今年より、広範囲でオーロラを見ることができるかもしれませんが、一方で、混乱に備える準備も必要かもしれません。
(「サンデーモーニング」2024年5月19日放送より)
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