年利20%の高配当をうたう違法な社債を販売し、1300人から80億円を集めた事件です。そのうち、およそ20億円を売りさばいた女の手口が明らかになりました。
■弁護士「絵に描いた餅」「全く実態のないもの」
「財務会計支援機構」理事
竹井和徳容疑者
「トラステールを何としても生き延びさせて、何とか再生させないと。本当にこれが一番最悪なので。(社債が)とんで紙くずになったら、これ、もう本当にとんでもない話になっちゃう」
これは去年2月、自転車操業で資金繰りが悪化し、顧客からのクレームが増加。緊急会議が開かれた際のやり取りです。
「ザ・グランシールド(THE GRANSHIELD)」営業
秋元宙美容疑者(38)
「首の皮一枚、すでに」
「トラステール」取締役
鈴木成樹容疑者
「それこそ3カ月以上かかる」
「ザ・グランシールド」営業
鍵井チエ容疑者(34)
「3カ月は絶対お客さん待てないと思います。もうこれになると、詐欺なのかもはや分かりませんけれども、募集をしてそこからお返しするなど」
「ザ・グランシールド」営業
佐武敬子容疑者(35)
「仕組み自体、配当自体、私たちも守られるような形の募集の仕方で方向チェンジしていくのもありなのかなと」
16日、年利20%の高配当の社債を無登録で販売した疑いで送検された「ザ・グランシールド」社長の中村佳敬容疑者(46)ら8人。およそ1300人に実態のないとされる社債を販売し、80億円を集めたとされています。
社債を発行していたのは、ザ・グランシールドの関連企業で、経営コンサルティング会社「トラステール」です。「医療機関が支払う保証料が、社債購入者への配当金となる」とうたっていましたが…。
被害者弁護団 団長
加藤博太郎弁護士
「よくわかんないですよ。絵に描いた餅というか。それは(トラステール社長)高橋容疑者自身が全く実態のないものということを認めていまして」
そんな社債の勧誘に大きく貢献していたのはザ・グランシールドの秋元容疑者、佐武容疑者、鍵井容疑者です。3人のなかでも、中村容疑者を崇拝し、およそ20億円を集めていたのが佐武容疑者でした。
■中村社長が“救世主”
2018年に開かれた中村容疑者らの誕生日パーティーの映像です。
佐武容疑者
「中村さんと知り合って、あり方ですとかやり方、色んなものをご指導頂いて今やっと自分の成功に向かって、一歩一歩踏み出せたという状況です」
佐武容疑者はザ・グランシールドに入社する前は、夜の飲食店や保険会社で働いていたといいます。
ザ・グランシールド 元社員
「がむしゃらに馬車馬のように働いて、もがいてるみたいなところに、救世主の中村社長が現れてどんどん稼いでいったという感じ。とにかく売り上げを立てていくっていうのが欲求というか、願望のど真ん中というか。いいところに住んで、いいブランド品を身につけてどんどんお金を使っていって自分を磨いていくというのが、自分が満たされる、心が満たされるというので頑張っていましたね」
■“佐武チルドレン”で独自システムを構築
佐武容疑者は、どのようにして多額の契約を獲得していったのでしょうか?
ザ・グランシールド 元社員
「僕のイメージだと男性の目をずっと見て、目で落とす、目力みたいなのはあったと思いますね。だから投資の契約をするというよりは、佐武さんと契約をするというようなイメージ。ちょっと、まだまだ勉強不足で頑張っているっていう、アイドルを応援する感じじゃないですか。そういう演出がすごい得意だった」
佐武容疑者の周辺には、こんな人たちも…。
佐武容疑者
「あちらにいる方々ですね、私が“佐武チルドレン”と勝手に呼んでいる」
佐武容疑者自ら誇らしげに語る“佐武チルドレン”とは?
ザ・グランシールド 元社員
「佐武さんを崇拝する人たち。佐武をどんどん崇拝していく信者を作っていく仲間たち」
「(Q.それは社内の人ということですか?)社外のお客さんですね。お客さんからどれだけ紹介をもらえるかというのが重要だったので、お客さんにもっともっと周りへの営業マンになってもらうという感じですね」
勧誘した客が、新たな客を連れてくるという独自のシステムを構築していました。
■被害者「普通の友達の印象」から…
しかし、今回の逮捕を受け、だまされた被害者からの怒りは、特に佐武容疑者に向いたといいます。
加藤弁護士
「今回の逮捕があった時に、『真っ先に佐武さんも捕まったんですか』と。『絶対捕まえてください』というような強い意見が多かったです。非常に強い怒りを佐武さんに対して思った方が多かったのだと思います」
実際に佐武容疑者から勧誘され被害に遭った男性は、このように話します。
佐武容疑者の被害者
40代会社役員
「僕は600万円分購入をして300万円利息で返ってきたけれども、残り300万円が返ってきてないような感じです。普通の友達ですし、まめに連絡をする印象があったので普通にいい人だなという印象がありましたし、なので全く疑いみたいなものはなかったですね」
しかし、「詐欺ではないか」という情報が広がるにつれて、佐武容疑者の様子が変わってきたといいます。
佐武容疑者の被害者
40代会社役員
「だんだん連絡が取れなくなっていって、次第に(SNSが)既読スルーになってという感じでした。『自分は悪くない』と言っていて、『悪いことは一切何にもしてない』ともう言い切っていて。『なんだったら、その社債を購入したお客側の自己責任』というふうに言っていて。自分が販売したという責任は一切感じなかったですし、最後まで『すみません』とか『ごめんなさい』とか謝罪の言葉を一言もありませんでした」
中村容疑者らは、顧客に返済が必要となる満期のタイミングで社債の再購入を勧誘。返済金を社債の再購入資金に回させて、返済を逃れていたことも分かりました。
佐武容疑者
「みなさんに本当に感謝していますし、みなさんに今後恩返ししていけるように、一生懸命努力していきたいと思っていますので応援して下さい。よろしくお願いします」
警視庁は全容解明に向けて、調べを進めています。
(「グッド!モーニング」2024年5月17日放送分より)