自民党の派閥の裏金事件に端を発した政治資金規正法の改正議論。自民・公明が実務者協議を行い、与党案を取りまとめました。自民党の茂木幹事長は「大筋で合意した」としていますが、与党案にはあいまいな部分が残っています。政治担当・宮本記者の解説です。
■政治資金規正法 改正めぐり自公が与党案とりまとめ
藤森祥平キャスター:
どんな案がまとまったのか、どこまで改革に対して本気の姿勢を示しているのか、与党案のポイントを見ていきます。
<政治資金規正法改正 与党案の概要>
▼政治家の責任・外部監査の強化
▼デジタルによる透明性向上
▼「政策活動費」の使途公開
▼政治資金パーティーの公開基準引き下げ
23ジャーナリスト 宮本晴代 記者:
かなりあいまいな案が出てきたと言わざるを得ません。特に注目したいのが、▼「政策活動費」の使途公開、▼政治資金パーティーの公開基準引き下げの2点です。
「政策活動費」とは、政党から議員に渡されるお金のことです。今は議員が何に使ったのか、使い道を公開する義務がないため、「ブラックボックスではないか」、「不透明ではないか」と批判されてきました。
今回の与党案では、「議員が使途を報告し、収支報告書に記載する」されていますが、これしか記述がありません。1円以上なのか1万円以上なのか5万円以上なのか、いくら以上から使い道を公開するのか、わかりません。領収書を添付するのかなど、公開の方法もわからず、あいまいさが残ります。
小川彩佳キャスター:
「使途報告」の「使途」に、どこまで報告義務があるのかということもわからないわけですよね。
宮本記者:
もう一つ、すごくもめた点ですが、政治資金パーティー券購入者の公開基準額です。
■「大筋合意」も残る“あいまいさ” 与党案の本気度は
現状は「20万円を超える」場合、つまり20万1円以上を購入した人は名前が公開される仕組みです。
これについて公明党は、「5万円を超える」に引き下げるよう求めていましたが、自民党はこれに難色を示しました。簡単に言うと収入が減ってしまうからです。
パーティー券を購入者は、今までは名前が非公開だから「20万円分ギリギリまで買いましょう」となっていたかもしれません。しかし、「5万円を超える」になった場合、名前を公開されたくないということで、「5万円ギリギリまでしか買えません」となり、収入が単純計算で4分の1となってしまいます。
今回、与党案は「公開基準額を引き下げる」ということで合意しました。いくらかというのは明記せず、いわば宿題を先送りした形です。
小川キャスター:
政治改革の本気度というのは細部に宿ってくるものだと思いますが、その細部が全く示されていません。
クイズプレーヤー 伊沢拓司さん:
この後に及んで具体性がない案が出てくるのを見ると、1回上がった支持率が下がっていきそうに思いますが、それよりもお金が大事だということなのかと思っていまいます。
政治にお金がかかるというのは分かるのですが、何にどれぐらいのお金がかかっていて、それは本当に必要なのか、そういった詳細を知りたいという気持ちになってきます。
もっと減らせるところがあるのではないか、もっとやりようがあるのではないかといったところにまで、本当はメスを入れてほしいのに…この具体性のレベルで議論をしているというのは、遅々として進まずという感じがします。
宮本記者:
これからが与野党で改正案をどうするかという議論の本番です。与党はもちろんですが、野党も本気なのかを見ていかないといけません。国会議員全員のお金の使い方の話ですから、決してお手盛りにならないよう、骨抜きにならないよう、ちゃんと見ていく必要があると思います。
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<プロフィール>
宮本晴代 記者
23ジャーナリスト 政治部で与党や外務省を担当 NY支局時代は国連を取材
北朝鮮渡航は10回超 「ゼレンスキー氏来日へ」をスクープ
伊沢拓司さん
株式会社QuizKnock CEO
東京大学経済学部卒 クイズプレーヤーとして活躍中
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