子どもを持つ親を「子持ち様」と批判するような書き込みが、SNSで広がり、議論を呼んでいます。背景には何があるのでしょうか。
■「子持ち様が『お子が高熱』とか言って、また急に仕事休んでる」
「子持ち様」という言葉をご存じですか。街の人に聞きました。
子ども連れの家族・妻(30代)
「見た事あります。あまり良い印象では伝わっていないイメージ」
自営業(40代・子持ち)
「初めて聞きました。こういう風に言われてしまうようになってしまったという事ですね」
発端は2023年、SNSへのある書き込みでした。
SNSの書き込み(2023年11月)
「子持ち様が『お子が高熱』とか言って、また急に仕事休んでる。部署全員の仕事が今日1.3倍ぐらいになった」
投稿の表示回数は、3000万回以上。今、この「子持ち様」をめぐり、意見が割れる事態となっています。
SNSの声
「子供が熱出したら誰が面倒みるのよ!なんでそれがわからんかな?」
子ども連れの家族・妻(20代・専業主婦)
「子育てに一生懸命なので、周りに協力し合いながら働く環境が良い」
一方で…
SNSの投稿(投稿時間 午後9時すぎ)
「子持ち様の業務を巻き取ってたらこんな時間ですよ。子供を免罪符にすれば、何でも許されるんですかね?」
この投稿をした、よしありさんに経緯を聞くと…
よしありさん(30代前半)
「子どもがいる人は、突発的に子どもが熱が出て早退したり、遠方に出張する業務は子どもがいない人に回ってきてしまう傾向がありました」
人数が限られる中、会議や出張など、抜けた人の分をカバーするため仕事量が増加。体調不良になることも多かったそうです。
賛否両論の声が上がる「子持ち様」論争。その対策に街の人は…
子ども連れの家族・妻(30代)
「上司でも部下でも、子どもの体調は仕方ないことなので、優しい世の中になってほしい」
よしありさんもこの状況が改善される事を望んでいます。
よしありさん(30代前半)
「子どもがいる人もいない人も必死に働いて、正直、余裕がない状況だと思う。そこで不公平感が生まれてしまって、対立に繋がってしまうので、仕組みでリカバリーするしかないのかなというのが個人の見解です」
■背景には子持ち世帯の減少・男女間の賃金格差か
熊崎風斗キャスター:
「子持ち様」論争についてみていきます。
こうした発言に至る背景について、東京大学大学院の藤田結子准教授にうかがいました。様々な要因がある中で一つは、子持ち世帯が減っているという点です。
厚労省が2022年に行った国民生活基礎調査によると、“子持ち世帯”が1986年は46.2%だったのに対し、2022年は18.3%になっているそうです。※子ども:18歳未満
東京大学大学院の藤田准教授は「自分だけではなく、親戚にも子どもがいないという人も珍しくない」としています。
子どもがいるというのは当たり前の環境ではなく、少数派になってきているという現状があります。
さらに、男女間の賃金格差もかなり開いています。
2023年に厚労省が行った賃金構造基本統計調査によると、平均賃金の月額は、▼男性は35万900円ですが、▼女性は26万2600円だということです。
藤田准教授は、「近くに両親や親戚がいない場合、妻が休まざるを得ないケースが多い」と指摘しています。
子どもが突然熱を出し、病院に連れて行かなければならない場合、妻側が多くなり、不公平感を感じる状況があるということでした。
■13人以下の職場・3か月以上の育休取得で同僚に10万円支給の企業も
熊崎キャスター:
企業に求められる点について、東京大学大学院の山口慎太郎教授は「業務のカバーをした社員に対し、手当の支給や高く評価するなどの仕組みづくりが必要」としています。
三井住友海上火災保険では2023年7月から、育休職場応援手当という制度が始まっています。「育休」を取得した社員の同僚に、一時金を支払うというものです。
13人以下の職場で3か月以上の育休を取得した社員の同僚に、10万円を支給しているということです。
井上貴博キャスター:
子育てに限らず、介護や病気でも仕事を休むことはあると思いますが、不公平感が生じているということですね。子育て世帯からすると、キャリア形成がしづらかったり、収入が減ってしまうという点でも不公平感が生じるように思います。
三井住友海上火災保険の取り組みは素晴らしいですが、体力がない企業には難しいことかもしれません。どう折り合いをつけるかということなのでしょうか。
萩谷麻衣子弁護士:
制度として不公平感を解消する仕組みを作るしかないと思います。子育てと仕事の両立の支援は非常に大事ですが、子育てをする人をカバーするために、より働いた人を支援・評価する、インセンティブを与えるという仕組みは中小企業でも作らなければいけないのではないかと思います。
三井住友海上火災保険の取り組みのように、一時金などのインセンティブがあれば休む社員も休みやすくなり、企業がコストをかけることで、仕…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20240501-6154579)
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